王族の事情を聞いてしまいました。
「王族を捨てる、って……、そんな簡単に出来ないと思いますが」
「それが出来るんだよ」
フレイ様は困った様に笑いました。
「父上は僕よりも弟の方を後継者にしたがっているんだよ。隙あれば僕を廃嫡しようと企んでいる」
「えっ!? 何故ですか?」
「僕と父上は考え方が違うんだよ。僕は貴族よりも平民の生活を裕福にした方が国の為になる、と思っている」
「平民の方が貴族より多いからですか?」
「その通り、全平民が暴動を起こしたら多分この国は一瞬にして崩壊するだろうね。実際平民の不満は膨れ上がっている」
「そういえば、平民の方が税率が高い、と聞いた事があります」
「僕はたまに町に出て平民の暮らしを視察してこの目で現状を把握している。そして父上に進言しているんだが全く聞く耳を持ってくれなくてね……」
「はぁ〜、家とは偉い違いですね、家は必ず家族会議をしてますけど、お父様は娘の意見を聞いてくれますよ」
「……スチュアート男爵は領民の支持が高い、と聞いている。単なる貴族とは違うみたいだね」
「どうですかねぇ、ただ単に知恵が無いからだと思いますよ」
「でも、ざっくばらんに話せる関係は良い事だと思うよ」
うん、それは私も思っている。
そんな話をしていたらすっかり時間が過ぎていった。
「さて、そろそろパーティー会場に戻ろうか」
「そうですね」
「君と話せて気持ちが楽になったよ、また機会があったら会おう」
そう言ってフレイ様はパーティー会場に戻っていった。
一男爵家が王子と話すなんて奇跡みたいな話だけど確かにフレイ様と話したし盛り上がった。
なんか気が合いそうだなぁ、なんて思ってしまった。
こうしてパーティーは終わりを告げた。