選挙結果について(一応)。
2024年11月18日
どうも、あじさいです。
前回のエッセイは読んでいただけましたか?
読んでくださった方々、ありがとうございました。
投稿後に読み返したら、信じられないような誤字ばかりで……、大変失礼しました。
他人様の論争に対して初歩的なミスをしていると指摘する内容でありながら、自分の文章は誤字だらけとは、情けなく、お恥ずかしい限りです。
カクヨムを始めた当初はこんなに誤字ばかりしていなかったと思うのですが、緊張感を失ったせいか、Wordではなくカクヨム上で推敲することが増えたせいか、ミスが深刻すぎてもはや笑えないレベルになってきました。
書き上がったものをその勢いのまま投稿することはなるべく控え、手を加えたらその翌日に再チェックするようにしていきたいと思います。
さて、選挙結果が出ましたね。
少し前のエッセイに書いていたように、自公政権はスキャンダルがあっても選挙に勝ち続けて長期化し、そのせいで緊張感を失っているというのが筆者の認識です。
安倍・菅・岸田各首相の手腕がどうとか、日本の左派政党が信用に値するかという話ではなく、政治に緊張感がないと嘘と犯罪が蔓延り続けるという話なので、自公の議席が過半数を割ったのは、ひとまず良かったと思います。
変化が起きただけでも御の字です。
選挙前は正直、今回も何だかんだで自公が過半数を取るのだろうと思っていたので、日本の「多数派」がようやく変化を見せたことに驚きました。
もちろん、散々言われている通り、今回は野党が勝ったのではなく、自民党が自滅しただけ、と見て良いでしょう。
都知事選の石丸氏の躍進もそうですが、有権者の間では、既存政党――あえてこの言葉を使うと「既得権益層」――への不信感が、かなり強まっていると推察されます。
おそらく、時間と共に消え去っていくような問題ではないでしょうし、現時点でそう断定して何の対策も取らないのは危険すぎます。
その点で、今、政党が打ち出さなければならないのは、
『今までの既存政党が拾い上げてこなかった人々の声をどう拾い上げるのか』
『有権者が(SNSでぼそりと)表明した多種多様な意見を、どんな理念、どんな優先順位に基づき、どんな利害調整を経て、具体的な政策に落とし込んでいくのか』
といったことに関する展望であるはずです。
嘘と犯罪を憚らない今の自民党は論外ですが、野党もまた、有権者の不信感にきちんと向き合い、価値観の変化や科学技術の発展に合わせた変化をしていかなくてはなりません。
特に、立憲民主党については、新代表が野田氏になったこともあり、『民主党政権の二の舞は勘弁してくれ』と思っている人も多いはずです。
あの時代の成果は何なのか、失敗は何だったのか、失敗にはどんな理由があったのか、それらを繰り返さないために今、立憲民主は何を考えているのかといった、民主党政権時代の総括は、あって然るべきだと思います。
さて、アメリカではトランプ氏が再び大統領になるそうです。
あの国に限った話でもないですが、主権者である国民が政治家の嘘と犯罪を批判しなくなったら、それはもう民主主義国家と呼ぶに値しない、と筆者は思います。
現行制度では、1人の人間が3期以上大統領の座に就くことはできない、つまり、2期目のトランプ氏は次の選挙のことを考えなくて良いので、1期目以上に周りを腰巾着で固めて好き勝手する方針のようです。
任期が終わったからと言って、あのトランプ氏が大人しく権力を手放すかは少々怪しいですが、(不正選挙ではないことを前提にするなら)アメリカの有権者たちが選んだのですから、仕方がありません。
筆者は大学進学の前に浪人しているのですが、予備校で世界史の先生がこんなことを仰っていました。
「世界史の法則! 全盛期を迎えた国はその後、衰退する!」
『全盛期』というのがそもそもそういう意味の言葉ではあるのですが、ここで先生が言っていたのは、
「一度衰退を始めた国は、基本的には下り坂のまま立ち直れず、やがて滅亡する」
という悲しい宿命です(もちろん例外もありますが)。
世界史の授業で多かったのは、周りの情勢が変化しているのに対応が遅れて新興勢力(外敵)にやられてしまうパターンと、財政難や政治体制の腐敗が進むなどして権力者が被支配層を搾取しすぎて国内からクーデターや武装蜂起(一揆や暴動、革命)が起きるパターン。
どちらも、「後世の人間の立場で大雑把に見るからそう見えるだけ」と言ってしまうこともできますが、一方で、
「なまじ成功体験があると過去に囚われすぎて時代の変化に乗り遅れる」
「権力の長期化による気の緩みは、時として政治体制そのものの滅亡を招く」
といった教訓を引き出すこともできるのではないかと思います。
現在の国際情勢に引きつけて考えると、経済的には資本主義、政治的には福祉国家であったものが、円熟期を迎えてそれ以上の「発展」が難しい局面に入ったことに対して、「先進国(developed countries)」(これも考えてみるとすごい言葉です)がきちんと対応できていないという状況があると思います。
こう言って良ければ、資本主義によって繁栄した国々が、全盛期を経て、衰退し始めているわけです。
もちろん、衰退といっても相対的なものですが、それによって新興勢力に取って食われないとも限りません。
さすがの筆者も、産業革命以前の農耕社会に戻れとか、共産主義に移行しろとは言いません。
ですが、だからといって資本主義や新自由主義に悪いところがないことにはなりません。
一口に西側陣営と言っても国ごとにバリエーションがあるように、資本主義は変わり得るものです。
総体としての人類が自問自答(再帰的近代化)を繰り返して発展を続けていくからには、社会のあり方自体が変わり続けるべきものだ、という言い方もできるでしょう。
そして、今、多くの先進国が直面している問題は、結局のところは、資本主義の悪いところに起因しているのではないかと思います。
「衣食足りて礼節を知る」、「貧すれば鈍する」、「民、信無くんば立たず」といった慣用句ですべてを説明できるわけではありませんが、そういう古典的な話が再び立ち現れてきている部分も確実にあるでしょう。
しかし、逆に言えば、もし国家が個々人の生活保障をきっちりして、資本主義の過激化を牽制すれば、自由主義・民主主義・法治主義(立憲主義)といった近代国家の理念は、これからも充分に機能する可能性があるはずです。
ポピュリスト政治家や「政治屋」にとっては、政治や経済を自分の思い通りにできないわけですから、不都合なことかもしれません。
だからこそ、石破氏やトランプ氏、あるいは野田氏でもカマラ・ハリス氏でもいいですが、そういった政治家たちがこれから何をするにせよ、「権力者の言うことだから従うしかない」、「どうせ変わらないのだから何を言っても無駄だ」と諦めるのではなく、「あまり図に乗るな」、「好き勝手は許さないぞ」と監視の目を光らせることが、自由主義・民主主義・法治主義(立憲主義)などを守っていくために重要になってくると思います。
ここまでお付き合いくださり、ありがとうございました。
今回は本当にカクヨムに関係ないことで、このエッセイの趣旨には反しているのですが、前3回にわたって現代社会や日本政治のことを書いておきながら選挙結果に言及しないわけにもいくまいということで、書かせていただきました。
せめて何らかの点で、少しでも皆さんに有意義な内容の文章になっていることを願います。
現代は考えることがどんどん増えている時代ですが、それだけに、文芸活動の出番も、潜在的には増えていると思います。
別に「カクヨムユーザーの皆さんは社会派の小説をどんどん書いてください」という話ではありませんが、思考停止する前に踏みとどまれるように、出来ることから頑張っていきましょう。




