それでもあなたを…。
報われなくても、想うことは各々の自由。
自分の気持ちに嘘をつく必要は、決してない。
その想い、なかったことにしなくていい。
その気持ちはとても素敵なものだったんだと、そう思えますように。
いつも、雨。
あなたと会った後は、全てを洗い流すかのように雨が降る。
横を見れば、目線の先に肩がある。
平均的に見ても、がたいのいいあなた。
見た目のように、頼りがいのあるあなた。
上を見上げれば、「どうした?」と優しく笑顔で声をかけてくれるあなた。
あなたといる時間、全てが楽しかった。
どんなあなたも、どんなあなたを知ることも…。
それでも、あなたは私を選ばない。
私の、一方通行だから。
「もっといい人がいるよ。俺なんかより。」
降り頻る雨は、私の代わりのようだと。
そう思うのは、都合のいいことなのかもしれないけれど。
そう思ってしまうほどに、ちょうどいい雨だった。
小雨じゃなくて、洪水を招いてしまうほどの大雨じゃなくて。
渇ききった土を、適度に濡らし、また蘇らせるような。
優しい、優しい雨だったから。
どうしてか、どうしても憎めない。
突き放されても、ダメだと分かっていても。
あなたを嫌いになることは、きっとないのだと、そう思う。
この雨のように、優しく私の心に染み渡った。
そして、浸り切りこぼれ落ちるそれが私の目から流れるものと同じなんじゃないかと錯覚するほどに。
あなたの優しさが、私を支配する。
離してほしいのに、離れたくない。
そんな自分が、ここにいるの。
それでもあなたを…。大切に思う。
それが一方通行だったとしても。
側に居ることが出来るなら、もう少しだけこの雨を感じていたい。
頬を伝うそれが、まるであなたのように感じるから。
例え抜け出せなくなったとしても、
それでもあなたを…まだ感じていたいから。
幸あれ。