2章 (利害が一致した)友人との再会1
誤字脱字報告ありがとうございます。助かります。
「暇だわ……。」
お兄様と仲直りしてさらに1週間、あれからお兄様は殿下と毎日会いに来てくれるようになった。
やはり、家族は別格のようで寂しくはなくなった。
しかし、相変わらず暇を持て余していた。
魔力操作の練習をしたいが、見張りがいるので、碌に練習が出来なかった。見張りの近衛騎士と会話しようとしても、会話してくれる人と、してくれない人がいる。
そして今は、会話してくれない人が見張りだ。
しかし、どうやって時間を潰そうと考えていたら、エルから連絡が入った。
『ミリア、レオからの伝言。義手・義足が出来たらしい。微調整に来てくれと。』
「……え。もう出来たの!?素材は?サイズは?どうしたの?」
『素材は全部レオが出したらしい。サイズは、以前防具を作った時のが残っていたと。あと、武器を作る工程が面白いと、最近はずっと武器屋にいる。』
「そ、そうなのね…分かったわ。殿下に話をして、武器屋に行けるようにするわ。」
『………レオが迎えにいくと。』
「迎えに!?どうやって…………今?」
『今。』
その時、身体に魔力が宿る。
これは転移の前兆だ。しかし、いつもと何かが違う。その何かが分からないまま、淡く身体が光り輝いた。この部屋にいないはずの燃えるような赤髪の人物が召喚される。
「よっ!!武器屋行こうぜ!!」
「………レオ。」
頭に疑問符が浮かんでいる間に、レオがやってきてしまった。ついに魔封じを抑える方法を見つけたようだ。それより問題なのは、見張りの近衛騎士に見られた。
急に現れたレオに対して剣を向けている。近衛騎士はレオの赤髪に反応した。もしかして、殿下はレオを捜索していたのかもしれない。
(これは…怒られるどころじゃないわね。)
そんな私の心情は梅雨知らず、レオは私の腕を掴み、転移しようとする。本当に、どれだけ武器屋に行くのを楽しみにしているのか。
私のために動いてくれたのは違いないし、実際かなり助かっているので、咎めることもできない。
私は、せめてもの思いで、見張りの近衛騎士に叫んだ。
「伝えてっ!殿下に、心配しないでほし………。」
景色が変わり、見張りがいた場所に、ギョッとした武器屋の親父さんが現れる。親父さんからしたら、私たちが急に現れたのだろうが。
終わったことを考えても仕方がないことだが、見張りの近衛騎士は上手く殿下に伝えてくれるだろうか。できれば、私に非がないように伝えてくれるとありがたい。これ以上、束縛されたらたまらない。
それにしてもと私は足下を見た。まさか武器屋に魔法陣を設置しているとは。レオが通っているというのは本当らしい。
「……お邪魔してます。親父さん。」
「今度はお前さんもか………もう慣れたから気にするな。……はぁ。」
「…はは。」
(頑固親父がため息って……相当レオに悩まされてるわね。)
レオは慣れたように親父さんの工房の椅子に座る。以前来た時は、あんな椅子なかったはずだ。レオの専用の椅子なのだろう。
できれば魔封じについて知りたかったが、今は親父さんもいるのでやめておいた。転移時に違和感があったので、自分で謎解きするのも楽しそうだ。
それに、一応不可抗力だが、見張りなしで自由に行動できる時間は貴重だ。本音を言えば、さっさと義手・義足の微調整を終わらせて街に遊びに行きたい。
私は、早々に微調整を終わらせたいことを親父さんに伝え、義手・義足の見本のために、残っている右腕と左足を見せた。
精巧な人形のように、関節がある義手と義足。まだ完成には至っていないが、淡い赤色の魔石で作られた義手・義足は宝石のように美しいらしい。
残りの作業は、細かな削り出しと組み立てだけらしく、2時間後には完成するという。
親父さん曰く、レオの素材集めが早かったことと、レオが用意した上位魔獣の素材が最高級品だったことで作業スピード早まったらしい。また、魔石以外の素材をレオが放棄したので、素材を譲り受けた御礼として、義手・義足製作を最優先にしたとのことだった。
「本当にレオのおかげね。ありがとう。」
「いや、そんな大したことはしてない。それに、今後世話になるのは俺だからな。…ごめん。」
レオは困ったように下を向いた。
謝るのはやめたと以前話していたのに、まだ申し訳ないと思っているらしい。
「…そうね。ギラとの約束だから守るわ。でも、お互い様という話だったからレオが謝ると私も謝らないといけないわね。」
「あー……ありがとう。」
「ふふっ。どういたしまして。」
レオにいつもの笑顔が戻る。
それに、ギラに頼まれなくても誰かがやらないといけないことだ。私が人間でレオに対抗できるなら尚更。
レオは親父さんの作業を見ていたいと言うので、私は1人で街に遊びに行くことにした。
街に行くと伝えれば、親父さんが仮の義足を貸してくれた。魔力操作が上達したので、違和感なく歩けることができる。
ただ、状況把握に右足の操作、そして必要に応じて魔法の行使は大きな負担になる。
移動だけじゃなく遊ぶとなれば……まぁ、魔力操作のいい練習になるだろう。
私はマントを羽織り、髪色を枯葉色に変えて、街に出た。
周りを気にしながら、自由に街を歩くのは、テロの日以来だ。あれから街は、国はどう変わったのだろう。
私は屋台で串を買い、食べながら王都を歩く。街の賑やかな音、屋台の呼び込みに、子どもたちの笑い声。全部が懐かしくて、温かくなった。
「ミアちゃんはどこに行ったのかねぇ。」
「テロの時に、ミアちゃん色々と頑張ってくれただろう?もしかしたら死んでるんじゃ……」
「騎士様がね?ミアちゃんを探していたのよ。最近は捜索もなくなったのかしら?」
私の名前が聞こえた。皆、私を心配してくれている。
ここにいると、私がミアだと名乗りたい衝動にかられたけれど、我慢した。殿下を受け入れる努力をすると言ったが、私は具体的にどうなりたいのだろう。それが分かっていないのに、無責任に名乗るのは避けたい。
今後、ミリアリア・レノヴァティオとして活動するのは明白だ。しかし、殿下もお兄様も私については何も話さない。
世間での私は、今どう思われて、どういう立場になっているのだろう。
私は屋台にある商品を目の前にして、ぼーっと考え込んでしまっていた。
そのせいで、隣の人とぶつかってしまう。
「あ、すみません。」
「いえ……こちらこそ。」
考え事に夢中で、目の前以外の状況を確認し忘れていた。どちらからぶつかったのかは分からなかったが、ぼーっとしていたのは事実なので、すかさず謝る。
しかし、謝った拍子に、また別の人にぶつかり、バランスが取れなくなってしまった。
「え、あっ……!」
(……倒れる!)
いつもなら絶対に転ぶことはないが、なにせ慣れない義足である。私は、ガクンッと身体を崩して倒れそうになった。
しかし、最初にぶつかってしまった人がすかさず、私の身体を支えてくれた。
「大丈夫ですか?ここは人も多いので気を付けてください。」
「あ、ありがとうございま……す…」
ぶつかった人が優しい方で良かったなんて考えながら、私は魔力操作をして、相手の顔を確認した。
そして、すぐに見覚えのある顔だと気付く。私は、そんな筈ないと、相手の魔力を確認した。
疑惑が確信に変わる。
「なんでグレイがここに……………あ。」
「…は?…………まさか………ミリアか?」
声に出して相手の名前を言ってしまったと気付いた時には後の祭り。一瞬で私の名前を言い当てられてしまった。
「やっぱり生きてたんだな。」
運悪くぶつかってしまった人、そして、私の身体を支えてくれた…もとい、そのまま腕に力を入れて「逃さないぞ」と言わんばかりに掴んできた男性…
フュナンゼ国の第2王子であり、最近の功績が認められ、王太子となった人物、グレイル・フュナンゼがそこにいた。
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