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2章 殿下の考え方2

更新遅くなりすみません。

殿下は照れたような、うっとりしたような、何というか今の状況では信じがたい表情をしていた。

い、意味がわからない。



「本当は怒っていたのだけれど、ミアがちゃんと答えてくれたのが嬉しくて…それに、あまりにも可愛い顔をしているから、怒る気力が失せてしまった。」


「え……え?」

(な、何を言っているの…?…もしかして、可愛い顔って…私の泣き顔のこと!?)



私は自分の秘密を話すことに必死で、途中から魔力操作がおざなりになっていた。いつから、殿下は、こんな恍惚とした表情をしていたのだろうか。殿下の剣幕や余裕のなさを怖いと思うことはあったけれど、今は違う意味で怖い。


私が怯えていることを知ったのか、殿下は「ごめんごめん」と軽く謝った後、真剣に考えを教えてくれた。



「……呪いのことは、正直予想通りだ。ライルから聞いたミアのことと、占い師から聞いたこと。それで予想はついていた。でも、私にとって1番大事なのはミアだ。他はどうでもいい。だから、私は気にしない。」


「き、気にしない!?…私の側にいれば、死ぬかもしれないんですよ!?」


「私が嘘を言っていないということくらい、ミアなら分かるだろう?」


「そ、それは……。」



魔力を見なくても、殿下が嘘をついていないことくらい分かる。でも、(つがい)だからと言って、死のリスクを無視できるわけない。それに、私が人殺しということに何も思わないわけがない。



「…それでも!殿下は気にしなくても、私は気にします。私がいるせいで人が死ぬ。もう…見たくないんです。」


「もう死なないから大丈夫だ。…ライルを救えたということは、死を回避することもできるのだろう。それに、呪いの効力は弱まった。何も問題はない。……私は、何と言われようとミアから絶対に離れない。」


「でも……」


「ミア、私にはミアの悲しみを測ることなんて出来ない。でも、今まで沢山思い悩んで傷ついてきたということは分かる。ミアが自分自身を許せないということも。」


「……。」



許せるわけがない。誰がなんと言おうと私が、私自身が許せなかった。呪いで殺してしまったことも、前世であれだけ大切な人達を殺したのに、この世界でも同じ過ちを繰り返していることも。「生きろ。」と言われて生きようとしてしまった自分にも。



「……ミア。これ以上、自分の言葉で傷つかなくていいんだ。傷つけなくていいんだ。」


「……え」


「自分自身を許せなくて、自分を傷つけようとしてしまうのはよく分かる。これでも王太子だ。私の指示で死んでいった部下は1人や2人じゃない。……厳しい言い方をしてしまうけれど、自分を傷つけても、結果は変えられないし状況が良くなるわけでもない。できることは、反省して次に生かすだけだ。」


「………はい。」


「私から見るとミアは十分反省して、次に生かしている。必死で努力して、皆を助けようとしている。だから、これ以上傷つく必要はないんだ。………急に言われても納得出来ないだろうから、少しずつ自分自身を納得させられるように努力することを約束してほしい。」


「……。」


「ミア、約束すると返事をするんだ。…今はそれでいいから。」



私が思い詰めないように、あえて命令口調で話す殿下。とても優しい命令だと思った。納得させる努力、そんな風に考えたことは、前世も含め、1度もなかった。



「……約束します。」


「ああ、約束だ。……それにしても、今日はミアの色んな表情が見れる。少しは距離が近付いたと自惚れてもいいのかな。」


「そ、それは……私に聞かないでください。」


「ダメ。ちゃんと顔を見せてミア。」



また、顔を下に向けようとした私を、殿下は拒否し、次は頬にキスをした。

私が殿下の涙を掬ったことから、顔へのキスは大丈夫だという謎のルールでも出来たのだろう。それに、私も嫌がるそぶりをしていない。といっても、心が揺れることもないが。



「それで?ミアにとって呪いのことはかなり言いたくなかったことだろう?」


「え、……ええ。」


「なら……外出した理由くらいは簡単に言えるな?」


「っ…!」



喉から肺に、空気がヒュッと入ってきた。

呪いの話で私も忘れていた。元はといえば、この状況は私が外出したことにある。

怒る気力が失せたとは言っていたけれど、私を許したわけでもないと、言葉に乗せた圧で伝えてくる。


つまり、殿下はまだ怒っている。



「どうやって外に出たのかは分からないが、ミアなら不可能じゃないだろう?私の知らない魔法なんていくらでもあるだろうし……」



殿下は大袈裟に「はぁ。」とため息をついて、言葉を続ける。



「…それに、ギラって誰?何となく想像はついているけれど、この後に及んで男の名前を出してくるなんて…ミアって本当に怖いもの知らずだね?」


「も、申し訳ござ……」


「今は謝罪よりも、私の質問に答えてくれるかな?…外に出た理由は?手段は?もしかしてレオに会いにいったとか言わないよね?それでギラって誰?関係は?」



殿下の遠慮のない質問攻めに圧倒されつつも、呪いの話に比べればと思い、私は洗いざらい話した。

この部屋の秘密の通路を見つけたこと。義手と義足の作成を武器屋に依頼しに行ったこと。レオが手伝ってくれること。そして、ギラは私を生かしてくれた随分前からの友達であること。ただ、ギラとレオ自身については私から話せないので、本人に直接聞いてほしいこと。


殿下に納得してもらうために1時間はかかった。


誤魔化しはもうきかない。最初は、外出時にレオに会ったことを誤魔化そうとしたが、結局話すことになってしまった。「外出時は誰に会った?」「レオに会ったんじゃないか?」「嘘じゃないよね?」…誤魔化すよりも、本当のことを言った方が無駄な労力を使わなくて済むと思っても仕方がない。うん、仕方がない。



「今後、この部屋の見張りを増やす。逃げられると思うな。」


「………はい。」



外出は、状況を鑑みて、殿下が同行するということに落ち着いた。しかし、状況を鑑みてということは、基本的に外出の許可は降りないだろう。


この部屋にいる私にできることは、見張りに気付かれないように魔力操作の練習をすることだけ。私は、魔封じの部屋で魔力操作ができるということがバレなかっただけでも良しと思うことにした。



『そんなことをしているから束縛されるんだ』


レオの言葉が頭の中を反芻する。

その通りだ。その通りだと思うし、身にしみて言葉の意味を理解した。


理解したけれど…


じっとしているなんて多分無理、だと思う。



読んでいただきありがとうございました。


ブックマーク&評価のおかげで頑張れています。ありがとうございます。

まだの方は是非!お願いします。


次話以降も読んでいただけると嬉しいです。

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