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1章 最後の日2

本日2話更新です。

私が冒険者へ指示をするにあたり、不満をいう者もいた。非常事態だとしても、文句を言う人間は少なからずいる。

しかし、ハーバーさんも私の指示に賛同してくれたため、なんとか30ブロック全てに人員を配置することができた。


私は、1番最初に男を捕まえた位置から動いていない。ここは男が爆破するように指示された場所なので、男を無力化した今、1番安全な場所になっている。今では、住民の避難所として機能していた。


しかし、人が集まれば、テロリストは考えるだろう。ここを爆破すればいいと。


私の役目は、騎士団や冒険者に指示するのに加えて、避難してくる住民に混ざっているテロリストを見つけ出し、捕縛することだった。


「もう3人目……。」


「ミアは……人の心が読めるのか?どうやってテロリストを見分けてる?」


隣にいるハーバーさんは不思議そうに聞いてくる。私は曖昧に微笑んで誤魔化した。ハーバーさんは納得していないようだが、ここで口論をしてる暇もないことはお互いわかっている。



遠くで爆発が起きる。


すぐにこの場を離れて様子を見に行きたかったが、ハーバーさんに止められた。代わりに数名の騎士団が向かってくれて、しばらくすると負傷者を抱えて戻ってきた。


亡くなったのは自暴自棄に爆破させたテロリストのみ。冒険者が住民を庇ってくれたようだった。


治癒(ヒール)が使える者も何名かギルドで確保してくれていたので、治療もスムーズに行われた。




「これでテロリストは24名捕まえたな……まだ気は抜けないが、峠は越えたとみていい。」


「そうですね。怪我をした住民はいましたが、皆が無事で良かったです。」



ずっと避難してくる人の魔力を監視していたので、既に手持ちのポーションは使い切ってしまった。頭がクラクラする。隣にずっとハーバーさんがいるので、ポーションを飲むたびに魔力で姿を消すのが面倒だった。



「ミア、この騒動を起こしている人物に心当たりがあるのか?」


「…はい。もしかしてとは思っていましたが、情報が足りず……後手に回ってしまいましたが……。」


「そっちにも事情があるだろうから、あまり言わないが、もっと前情報が欲しかった。……結果的になんとかなったがな。それにしても、そいつは王都を滅茶苦茶にして何がしたかったんだ?」


「それは……」



私は言いかけて、考え直す。


レギイラ侯爵の目的。はっきりとは分からないが、セレリィブルグ王国での地位を固めるためというのは間違いないだろう。国を創り変える。国家転覆。この際、もう理由なんてどうでもいいが、王都でテロを起こしただけで、それは叶うものなのだろうか。


当初、お兄様とオズリオ様の命が狙われていた。オズリオ様は誘拐犯を追わされたので、王都にオズリオ様を残したくなかったというのが分かる。オズリオ様の統率力があれば、テロが抑えられる可能性が高くなるからだ。


では、お兄様は?


テロが成功しても、王宮にお兄様がいれば、レギイラ侯爵の目的は達成するはずがない。陛下からの信頼も厚いお兄様は必ずレギイラ侯爵の邪魔をするだろう。


今、騎士団はほとんど王都に駆り出されている。「王国法審議会」が開催されているにしても、流石に王宮にテロの事実が報告されているだろう。皆、テロによって影響されるそれぞれの業務や立場のために動き出しているはずだ。



もし……もし、私だったらどうする?

私が、レギイラ侯爵であれば……


混乱に乗じて、邪魔者の暗殺をするはずだ。



お兄様が……危ない!!



テロ自体も誘導で、今日の本命がお兄様の命の可能性に気づき、私はすぐにハーバーさんに街のことを頼んだ。


「このテロ自体が誘導かもしれません!!私は王宮に向かいます!後のことは頼みました!」


「え。お、おい!!」



(どうか……無事でいて……)



私はハーバーさんの返事も聞かず、魔力を使って王宮に急いで向かった。



魔力が枯渇する直前で、王宮に入る門の前に到着した。


ここを通るには、貴族の紋章の入った馬車か、明らかに上級貴族の者である必要がある。

門の向こうの様子がなんだか慌ただしい。今日で1番嫌な予感がする。


頭の中で血だらけのお兄様が倒れている様子が浮かんできて、不安で不安で仕方がない。

心臓が頭の中で鳴っているようだ。


お兄様の命に比べれば、自分の秘密なんてもう、どうでも良かった。


髪と瞳の色を戻し、化粧を落とし、髪をほどく。私は門を守る騎士に堂々と名乗った。



「エリオス・レノヴァティオの娘、ミリアリア・レノヴァティオです。門を開けて、今すぐお兄様のところへ連れて行きなさい!」



騎士は戸惑ってなかなか門を通してくれなかった。しかし、1人の騎士がやってきて、私を通してくれた。見覚えのある騎士だが、思い出している暇はない。


王宮に入ると、思っていたよりも騒然としていた。やはり、何かあったようだ。私についてきてくれた騎士が知り合いの騎士にお兄様の居場所を聞いてくれた。


「大怪我」「血だらけ」「ライル様」


お兄様の居場所を知った騎士が向かう方角には医務室がある。そして、医務室に近づくにつれて嫌な単語が聞こえてくる。



(あぁ…もう、やめて……ほんとうに……)



足取りが重いが、急いで向かわなければならない。現実と向き合わなければならない。



(お願い……神様……!!)



医務室の入口が見えた。私は前を急いで歩く騎士を抜いて医務室に駆け込んだ。



「お兄様!!」



医務室には血だらけの人が何人かいる。でも、彼らは怪我をしているわけではない。



誰の血…?



(いやよ……ほんとうに………いや……)



私の姿を見て、ざわざわとする。


私はずっと姿を隠し続けてきた。しかし、私の容姿は、ライル・レノヴァティオの妹であると証明している。


私が医務室の奥に歩くと、血だらけの騎士や医師達は道を開けてくれた。


奥のベッドで倒れている人がいるようだ。その人の(かたわら)で泣きながら治癒(ヒール)を唱えている若い女性がいる。彼女の服装から、宮廷魔法士なのだろう。



(あぁ……私は…()()目の前で兄を失うの…?)



倒れている人…私の兄は、右腕を失い、脇腹を大きく抉られていた。


誰が見ても助からない致命傷。それでも宮廷魔法士はずっと治癒(ヒール)を唱えている。血は流れ、治るはずがないのに。


ぼたぼたと血の水溜まりが足下に広がっている。



目の前が歪む。



私の呪いのせいなのだろうか。



私の近くにいる人が死ぬ。


それが友達でも家族でも関係なく、私と一緒にいる時間が長い人から死んでいく。


前世から変わらない私の呪い。



「……………………。」


「まだ!!!死んでいません!!ライル様は!まだ生きています!!」



彼女の言葉でハッとする。


お兄様に目をやれば、確かに胸が上下していた。


まだ、生きている。


まだ、息をしている。


彼女の魔法のおかげだろう。もう死んでいる怪我でも何とか生きながらえている。


私の命1つでお兄様が生き返るなら、それに越したことはない。こんなに嬉しいことはない。



前世で何人も大切な人を死なせてしまった。


もう、大切な人を死なせたくなかった。



「そこの貴方!!ポーションを準備してください。最低でも20本。今すぐに!!」


「20本!?そんなに用意して…」

「助けられるわけ……」


「つべこべ言わずに用意して!!お兄様は私が助ける。助けられるわ!!」



私は近くにいた医師にポーションの準備を頼んだ。こんな大きな怪我は治したことがない。もう既にポーションを5本飲んでいる。私の身体はあと、何本のポーションに耐えられるのだろうか。


でも、私の身体はどうなろうが、もうどうでもいいことだった。お兄様を助けられるのならそれでいい。


近くの騎士の剣を借りて、私は手首を切った。とにかく血が足りない。お兄様と私の血液型は知らないけれど、こんなに容姿が似ているならきっと血液型も同じだろう。


ポーションが到着する。


私は宮廷魔法士の彼女に、お兄様を治す魔法をかけるために、タイミングを合わせて治癒(ヒール)を止めるようお願いした。


私はポーションを飲み、修復魔法をかけるために魔力を練る。


(私、きっと…ここで死ぬのね。)


私は修復魔法を発動させた。

読んでいただきありがとうございました。


ブックマーク&評価でやる気が上がるのでよろしくお願いします。


次話以降も読んでいただけると嬉しいです。

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