表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/189

1章 キーシャス・レギイラ侯爵

誤字脱字報告ありがとうございます。本当に助かってます。

投稿日は水・金・日です。


レギイラ侯爵目線です。

計画が佳境にきた。


「ライルとオズリオは確実に殺せ。あとは、魔法騎士団長のセイルズは暫く使いものにならないくらいに痛めつけろ。」


「かしこまりました。」


10年以上前から計画していた王国のテロ。フュナンゼ国と取引し、邪魔な芽は少しずつ確実に消してきた。あと、残すは目立つ若い芽を刈り取ること。それを完了すれば、大規模な無差別殺人(テロ)に計画を移行する。




セレリィブルグ王国は絶対的な世襲制。王を殺してしまえば、国が滅びる。血族にのみ開く扉、血族にのみ引き継ぐ能力、この国には王の血族にのみ行える儀式が多数存在した。宰相として国王を側で見てきた限り、王を殺すことは出来ないと判断せざるを得なかった。


今の国王、ガイナス・セレリィブルグには、コネクションも権力も能力もある。この国を牛耳るには彼に引退してもらうほかない。私は陛下の子、アレクシル殿下を操ることを早々に決めた。


この国を思うままに動かすためには、アレクシル殿下が王に、王妃に娘のリーナを、宰相として私が君臨する必要がある。そして、王は私の傀儡にする予定だった。


王を傀儡にするには、王の周りにいる有能な者達を排除しなければならない。私はその排除に何年も費やした。疑われてしまえば信用を失う。私の評判を下げないように、私の思うままに王宮の人材を入れ替える。簡単なことではなかったが、時間を使って私はそれを成し遂げてきた。



外交官を殺し、無能なエリオス・レノヴァティオを就任させる。公爵家当主であり、身分は私よりも上だったが、能力は低く、その優しすぎる性格でギリギリ家門を守っている。無能ゆえ、本来、外交官が担う業務の一部を私が担うことができた。フュナンゼ国との交渉もその1つだった。


外交官を殺した罪で、陛下の側近、その一族を殺した。彼は陛下に心底忠誠を誓っており、アレクシル殿下の教育係を担っていた。また、その息子は将来、殿下の補佐官に抜擢されていた。新しい教育係は、私の息がかかった、優しく無能な者にした。


優秀な近衛騎士団統括を殺した。事故に見せかけた。代わりにハイノール伯爵を就任させた。彼は私に恩があり、ある程度の融通をきかせることができた。



その他にも多くの者を手にかけてきた。慎重な行動のお陰か、今まで私が疑われることはなかった。



しかし、何も問題なく計画が進んできたというわけではなかった。上の者がいなくなれば有能な若い芽が育つ。ライル・レノヴァティオはその典型的な例だった。



私は、レノヴァティオ公爵家はもう落ちぶれていくと、たかを括っていた。当主は無能。そして、まだ幼い子らを残して、夫人は流行り病で死亡。優秀な後継を育てることは不可能だと思っていた。

しかし、私の予想に反して、ライル・レノヴァティオは優秀という言葉では収まらないくらいに成長を遂げた。妹のミリアリアが無能に育ったのが、せめてもの救いと言えた。


ライルの影響は幼なじみの殿下にも及び、アレクシル殿下は今となっては完全無欠の王太子とまで呼ばれるようになってしまった。殿下の教育係を人を使って操り、他人の助けがないと生きていけない愚王に育てるはずだった。しかし、殿下を傀儡にするため、人に頼る癖を付けさせたのは、かえって、部下達への信頼と受け止められるようになった。



ライル・レノヴァティオが憎い。

何かされたわけでも、侮られたわけでもない。

ただただ、邪魔で目障りだった。



ライルが宰相補佐官に就任する前、私はライルを公爵家ごと消してしまおうと企てた。当時はフュナンゼ国の第一王子と取引をしていたので、暗殺部隊を借り受けることができた。公爵家の諜報員や護衛部隊がいない隙を狙って送り込む。しかし、部隊は全滅。皆殺しされたようだった。公爵家には戦闘力の高い化け物がいる。私は公爵家にいる者で戦えそうな者は調べ上げるようにした。



そうして、ライルを側で監視しながら計画を進めさせてきた。ライルは宰相補佐官、王太子補佐官、領地運営を兼任し、私が空けた穴を埋めてしまった。しかし、言い方を変えれば、ライルさえ消えれば、私の理想にぐっと近付く。表面上は素晴らしい上司のふりをして、内心は早く始末してしまいたいと殺意を煮やした。




オズリオの暗殺が失敗した。



「オズリオについては後で考える。次はライルだ。ライルさえいなくなれば、王宮は穴だらけになる。ライルさえいなければ…」



ライルの暗殺が失敗した。



ライルの護衛は2人。アーマードグリズリーに20名程度の盗賊。念には念を入れて、過剰戦力を2回続けて投入した。それでもライルは無傷で王都に帰ってきて、私に挨拶をした。


「何故だ!!何故こうも上手くいかない!!」


追い討ちをかけるように、フュナンゼ国のグレイル王子が取引から手を引いた。グレイル王子から誘っておいて、手を引くとはどういうことかと思ったが、病を罹ってしまったらしい。これからは第一王子を支援する立場に移ると言い、代わりに第一王子を紹介された。第一王子は過去に取引したことのある相手だったので、新しい取引相手としては悪くない方だった。


しかし、状況は悪化する一方だった。



ギルドにフェレスが現れた。


それに伴い、人口が増えた。人口が増えればテロを起こしやすくなる。私はそう考えて、ツキが回ってきたと思った。しかし、フェレスが現れるのを待っていたかのように、ギルドや商人組合で新しい制度やルールが作られていった。警備も厳しくなり、いつの間にかテロを起こしにくくなってしまっていた。


「どういうことだっ!!」


「そ、それが…思いの外、殿下や騎士団の対応が早く、手を組んでいた商会も、我らとの取引を辞めたいと言い出す始末で…」


「チッ!!」


テロ計画に際し、私は色々な賊や商会と手を組んできた。慎重に慎重を重ねているので、取引相手達は私と手を組んでいることを知らない。しかし、怪しい取引をしているという自覚はあるようで、手を引きたいと言う者が増えてきた。


「このままでは、商人組合に参加できない、あるいはブラックリストに載ってしまうとのことです。」


「…分かった。ある程度の準備は済んでいる。質が落ちてもいいから、人材と魔道具を集めろ。あと…あと、少しなんだ。何か別の手を考えなければ…」


「ミアについてはいかがいたしますか?」


「引き続き情報が欲しい。今まで通り監視しろ。」


「かしこまりました。」


アレクシル殿下に想い人が出来たというのは知っていた。状況から察するに、その想い人が殿下の(つがい)なのだろう。娘のリーナを王妃にするには邪魔な存在になる。私は(つがい)が何者なのかを調べた。名はミア、そしてライルの恋人だと街の人からは認識されている。しかし、実際のところは何も分からなかった。街の相談役や子供達の先生等、立場の情報はあるが、出生が分からない。彼女を尾けても、必ず撒かれる。ただ、彼女自身、国を出る予定ということなので、監視するだけで、特に何かを仕掛けるということはしなかった。


「新しい計画を考えなければ……。」


セレリィブルグ王国を牛耳るために、一度、王国を弱体化させる。その手段が無差別殺人(テロ)。そして私は無差別殺人(テロ)を収拾した人間として絶対的な立場を確立する。また、無差別殺人(テロ)が起きれば軍事力を強くしようとするのはおかしくない。私は、無差別殺人(テロ)を言い訳にして好きなように政治を行うつもりだった。


「とにかく、無差別殺人(テロ)の時、事態を収拾できる人間がいなければいい。…できるだけ混乱するように…そのためにライルを……そうだ。必ずしも先に暗殺を済ませる必要はない。それならば……もっと混乱するように……そうか、リーナを使えばオズリオを暗殺しなくても……私の娘だ。大丈夫だろう。」


私は新たな計画を考え、ほくそ笑んだ。フェレスは3ヶ月間だけセレリィブルグ王国に滞在するらしい。力を持つ冒険者がいれば厄介だ。それに、私はライルに疑われている可能性がある。もう、計画を長引かせるわけにはいかなかった。


あと2ヶ月余り…私はフェレスがいなくなってから計画を実行することに決めた。

読んでいただきありがとうございました。


ブックマーク&評価でやる気が上がります。お願いします。


次話からミリア目線に変わります。読んでいただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ