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1章 ギルドと商人組合1

誤字脱字報告ありがとうございます。本当に助かってます。

久しぶりに予約投稿ができました。


更新日は水・金・日です。

今回、ちょっと長いです。

「本日は、急な呼びかけにも関わらず、集まっていただきありがとうございます。」


「ミアちゃんのお呼びであれば、皆駆けつけてくるさ!」

「そうよ!ミアちゃんにはいっぱい助けてもらったんだもの。気にしないで!」

「俺なんて今日の業務はぜーんぶ、(せがれ)に任せてきたからな!がっはっはっ!!」


今日は冒険者ギルドの会議室に、ギルドマスターや商人組合の組合長をはじめ、運営に主要なメンバー12名に集まってもらった。まだ、「運営について提案したいことがある。」としか伝えていないのだが、皆さん快く集まってくれた。数年かけて築いてきた信頼関係をこういう場で実感することができる。本当に感謝でしかない。


「ありがとうございます。皆さんの今日の時間は絶対に無駄にしないと約束します。」


「おお!自信満々だな!今日は何を聞かせてくれるんだ?楽しみだ!」


ギルドマスターのハーバーさんが早く話を聞かせろと急かしてくる。彼の現役時代のランクはS。なるべくしてなったギルドマスターだ。魔獣に左腕を食いちぎられているが、新人冒険者への指導や講習には問題ないようだ。たとえ片腕を失っても彼の実力は上位ランカーと大差がない。なので、彼を慕う冒険者も多い。


「ハーバーは声が大きい。もう少し小さくしろといつも言っているのに…聞きゃしない。それで?提案とはなんだ?言っとくが、俺はそこまで暇じゃない。」


「分かっていますよ。クロイツさん。商人の時間をもらうなんて真似をさせていただいていますからね。早速、本題に入らせていただきます。」


彼はクロイツ・イクシタン男爵。今日の集まりの中には貴族出身の方も何人かいるが、爵位をもった貴族は彼だけだ。彼の手腕は素晴らしく、一代でセレリィブルグ王国一の商人になった。男爵ではあるが、貴族が嫌いでわざと貴族らしくない話し方をする変わった方だ。冷たい雰囲気を醸し出しているが、取引相手として認められれば大事にしてもらえる。私はクロイツさんの下で何度か働いたことがあり、お礼として商品を融通してもらうことがあった。


「集まっていただいたメンバーでお分かりいただけると思いますが、ギルドと商人組合で連携し、新しい制度を作りたいと思っています。」


「新しい制度だと?………考えたのは銀髪か?」


「流石、クロイツさん。当たりです。」


銀髪というのはお兄様のことだ。お兄様は変装せずに私に会いに来ていたので、私がライル・レノヴァティオと関わりがあるというのは調べればすぐに分かることだった。


「続けますね。まず共通認識の確認を。当たり前ですが、商人は商品を運びますが、その道中は安全とは限りません。ですので、商人は商品を守るために護衛を雇います。護衛はどこで依頼しますか?クロイツさん。」


「基本的にはギルドに依頼をかける。しかし、冒険者の質は当たり外れが大きい。うちみたいなデカいところはお抱えの護衛がいる。」


「手厳しいな。これでも冒険者は選定しているんだがなぁ。」


ハーバーさんは頭を掻いた。魔獣退治や素材集めの依頼と違って、護衛依頼は礼儀や気遣いも必要になる上に拘束時間も長い。依頼主とトラブルになることも多く、ギルドへクレームが入ることも多いだろう。つまり、護衛依頼についてはギルドも商人も困っているということだ。


「私はその問題を解決するための制度の提案をいたします。まず、クロイツさんには商会の管理を徹底していただきたいのです。商人組合に参加する商会から会費を集め、その会費の一部をギルドへ納付してください。ギルドはその会費を使って護衛任務や盗賊討伐等、商人の利益になる依頼の報酬金を傘増し、吊り上げてください。」


「「「………。」」」


皆が黙る。話し合いたいのは、もっと実用的な内容だ。なので、大まかな概要は先に伝えておく。しかし、これだけでも彼らには言いたいことが伝わるだろう。私は彼らを納得させ、制度を施行・運営させなければならない。お兄様が望むのは過程ではなく結果だ。レギイラ侯爵がいつ、計画を実行するのか分からないので、できるだけ急いだ方がいい。


「ミア。簡単に言ってくれるがね。全ての商会を管理するのはかなり難しい。商人組合に参加しない者もいる。勿論、今でも商人組合に参加する商会からは会費をもらって運営はしているがね。小さな商会はほとんど参加していないのが現状だ。」


「ギルドもそうだ。報酬金を釣り上げれば、多少はマシな冒険者が護衛依頼を受けるかもしれんが、それでも今の問題を解決するには至らない。運営には人件費もかかる。成果が見込めない制度にかけるお金なんてないぞ。」


私は皆の魔力を見て本心を伺う。心から私の提案を拒否している者はこの場にはいない。話し合いはまだまだ序章だ。クロイツさんもハーバーさんも、それを分かった上で、皆が簡単に思いつく建前を言っているだけだ。お兄様が考えた制度が、私が発言した制度が、これで終わるわけがないと確信している。魔力を見れば、内心わくわくしているのが見え見えだった。


「はい、おっしゃる通りです。しかし、皆さんも色々と考えていらっしゃると思いますが、やり方はあるのです。例えばですが、商人組合に参加した場合、王都でブランドとなる称号を与えれば、参加する商会は増えるでしょう。ギルドでも同じことです。護衛任務の講習もしくは試験を行い、修了した者にブランドを付けるというのはどうでしょうか。」


私もクロイツさんとハーバーさんに合わせて、皆が思いつくような解決策を提示する。別にこの解決策は採用されなくていい。寧ろ、私ではなく皆で話し合って考えてもらいたいことだ。今、そこを話し合っても仕方がない。私にとって、まず制度の運営を確約してもらうことが優先事項だ。


「ある一定の基準をクリアすれば、ブランドを与えるということですね。ですが、そのブランドの価値が一体どれほどのものというのですか?」

「そうですね。制度が周知され、運営されていけばブランドの価値は上がるでしょうが、誰が最初に価値のないものを求めるというのでしょうか?」

「制度を運営していっても、結果が出るのは数年後になるでしょう。それまでのお金がどこから出るのでしょうか?」


(その通りよ。だから、お兄様は企画を発案しただけで、そこから先にまだ進んでいなかったわ。)


今はギルドと商人組合向けにしかこの制度を説明していないが、この制度の目的は()()()()()()()()()だ。つまり、元々は王都の流通と人口を増やすための制度で、ギルドと商人組合のための制度ではない。最終的にはギルドも商人組合も恩恵を受けるが、最初の負担が大きすぎるので、どう納得させるか、どう運営に漕ぎ着けるかというのが課題だった。この制度の成果がある程度見込まれれば、王都だけではなく、国全体でこの制度を採用するため、今後国から助成金等が出るようになるだろうが、それは将来の仮定の話だ。そんな話を今この場でしたところで胡散臭さに拍車をかけるだけになる。それに、この制度の細かな運営は私よりも彼らの方が色々と有用なことを思いつくだろう。国で管理するという話を出せば、どうしても貴族の運営を連想してしまう。ここには貴族が嫌いな人も多い。私が今すべきなのは、彼らが言ったように、()()()()()をどう解決するかを提示することだ。


「ミア、まさかこれで提案は終わりというわけではないだろうな。」


「勿論ですよ。クロイツさん。もったいぶっても仕方ないですからね。…私は、今日から数えて3ヶ月で納得のいく結果を出すつもりです。」


「な!なんだと!?」

「3ヶ月!?」

「不可能だ!!」

「しかも、制度を開始したわけでもないのに今日から3ヶ月!?」

「そんなことは無理よ!」


私はわざと皆に否定の言葉を言わせた。そうすれば、皆は次に「どうやって!?」と考えるだろう。私はミアとして出来ることを地道に行い信頼関係を築いてきた。そして、クロイツさんが言った銀髪…次期宰相であるお兄様の計画はいつも堅実で正確。となると、こんな無茶なことを言うということは、策を用意しているはずだと皆()()するはずだ。これで期待外れならば計画は失敗。期待通りなら今後検討。しかし、期待以上となればどうなるか…すぐにでも実現したいと思うのではないだろうか。


「いいえ。できます。勿論、それには皆さんの協力が不可欠ですが…この制度のため、もう1人協力者を用意したのです。」


「協力者?」

「1人増えたことでどうなるというんだ?」

「まさか貴族か?」


「おいおいおい。まさか…まさかじゃねぇだろうなぁ?」


「ハーバー!何か知っているのか?」


「あ…いや……」


皆の中で1人、ハーバーさんだけが反応する。やはり、ガイルさんの依頼の時に探りを入れていたようだ。音沙汰なかった有名な冒険者が運よく現れるはずがない。それに、ガイルさんと一緒にギルドに訪れたレオは私に付いて依頼に向かった。一応(ミア)について伏せるようにガイルさんには言ったが、ギルドマスターから責められれば仕方がない。寧ろ、ハーバーさんならガイルさんの行動だけで私の手引きだと、ある程度気付いた可能性もある。


「ハーバーさんの考えている方で合っていますよ。価値が低ければ、無理やり上げてしまえばいいのです。お金がなければ、人を集めてしまえばいいのです。」


「マジかよ……。」


「ミア。もったいぶらないと言っただろう。結論を言え!」


クロイツさんが急かす。まずは制度の採用を約束することが大事だ。そして、今この場で制度の詳細を決めて、すぐにでも運営にかかりたい。お兄様が求めているのは制度を運営して得られる結果だ。レギイラ侯爵を止めるためには、この結果が必要だった。私はここで切り札を投入した。


「失礼しましたクロイツさん。制度の運営を今すぐ開始してくださるなら、広告塔としてフェレスが協力します。協力期間は今日から3ヶ月。しかも、協力を惜しみません。制度に関することならフェレスに講習を開かせるもよし。雑用を任せるもよし。この3ヶ月間、フェレスは私たちが独占できます。流石に、毎日というわけにもいきませんし、彼にも人権がありますが、常識的な範囲でなら協力すると約束していただきました。」


会議室の空気が一気に変わった。


「「「んな!?」」」

「フェレスだと!?」

「今も王都にいるのか!?」

「確かに最近姿を現したが…可能なのか?」

「この国も、他国も彼を囲うことはできなかった。それを私たちが…」


反応は上々。それにフェレスが協力するのは今日から3ヶ月。そして手伝うのは制度に関すること。となれば、フェレスを有効活用するには()()()()()()()()()()()。制度の運用を早めれば早めるほど、フェレスの恩恵を受けられる。特に商人はこういう機会を無駄にしようとは思わない。


期待をさせて、期待以上の切り札を切る。そして、追い討ちをかけるように期限を定める。これで制度の採用が決まらなければどうしようもないが、皆の反応を見たかぎり、大丈夫だろうと私は確信した。

読んでいただきありがとうございます。

ブックマーク&評価でやる気が上がるのでお願いします。


次話以降も読んでいただけると嬉しいです。

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