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1章 人身売買と麻薬取引8

予定より1日早いですが更新です。

これで人身売買と麻薬組織は終わりです。

女性達とジノイを騎士に引き渡した後、私とレオは村のご好意でこの村で1番高い宿にタダで泊まらせてもらった。朝から晩まで休むことなく動き続けたので流石に疲労困憊だった。


朝起きた後、レオを宿に残し、この村の役所に向かった。私自身、魔力の消費も激しかったせいか、起きる時間も遅く、役所に着く頃にはお昼に近い時間になってしまった。


(あれ…?こんなだったかしら…?)


昨日は夜だったので騎士の数を把握できていなかったが、それにしても大勢の騎士が役所にいた。


「あ!フェレスさんだ!」


若い騎士が私に気付き近寄ってくる。その声に反応し、多くの騎士がこちらを見た。


「昨日はお疲れ様でした!あ、握手してもらってもいいですか?」


「あ、あぁ。」


若い騎士に圧倒され、思わず握手をしてしまった。若いと言っても私と同じくらいの年齢だろうか。


「ああ!!ずるい!!俺も握手を!!」

「俺も!!」

「お願いします!」


(え…え……?)


私たちの様子をみて他の騎士がわらわらとやってくる。あっという間に大勢の騎士に囲まれてしまった。村に常駐する騎士の数にしては多すぎる。どうしようと考えていた時、低い大きな声が響いた。


「おい!!お前ら!!いい加減にしろ!!」


騎士達に比べれば私の身長は低いので、ほとんど見えなかったが、騎士団長のような人がチラリと騎士の壁の隙間から見えた。私は足に魔力を流し、高く跳んだ。助走もない跳躍で騎士達を飛び越え、団長の前に着地する。


「フェレスだ。騎士団長とお見受けす…」


「「「「おおおおおおおおおおお!!!!」」」」


団長に挨拶をしようと声をかけたが、騎士達の歓声で声がかき消されてしまった。近衛騎士はもっと落ち着いているが、ここにいる騎士は一般の騎士団所属なのだろう。それにしても近衛騎士とは雰囲気がかなり違う。


(扱いづらいわ…)


「いい加減にしろ!!……ふぅ。すまない。フェレス殿。私は騎士団第十ニ団長のクラークだ。よろしく。」


クラーク様の声は騎士達にあまり届いていないようだ。私達の周りには変わらず野次馬のように群がっている。普段からかなり苦労をしているのだろう。それに第十ニといえば、王都所属であったはず。何故ここにいるのだろう。


「こちらこそよろしく。…何故、王都所属の騎士団がここにいるんだ?」


「ああ。昨日の夜、フェレス殿がこの村で犯罪組織を捕らえたと一報があったので、第十ニ団が馳せ参じたのだ。」


(おそらくそうなのだろうとは思っていたけれど、それにしても早すぎるわ。私とレオですら走って4時間かかった距離なのに。馬を使っても6時間はかかるはず。それをこの人数を揃えて既に到着しているのはおかしいわ。)

私が疑問に思っていると気付いたのだろう。こちらから尋ねる前にクラーク様が説明してくれた。


「実はな、フェレス殿がギルドに来たと騎士団に連絡が入った。しかも依頼は犯罪組織。依頼が達成されてもされなくても最後には必ず騎士団に連絡が入る内容だ。ただ、受けたのがフェレス殿だったのでな、これは2.3日で依頼が達成されるだろうという話になったんだ。それであらかじめ騎士団を待機させておいたのだが、まさか1日もかからないとは。」


クラーク様はどうやって1日で犯罪組織の居場所を発見し、制圧できたのか不思議に思っているようだ。しかし、それについては説明できないことの方が多いので触れないことにした。


「納得した。私のせいで急かしてしまったようだ。それで今回の件で詳しく話をしたいんだが、いいだろうか。」


「ああ。勿論だ!部屋に案内するぞ。ついてきてくれ。」


私はクラーク様へ付いていき、今回の件と今後について話し合った。奴隷として捕らえられていた女性達は騎士団が保護することになった。また、第十ニ騎士団はこの村にしばらく滞在し、常駐の騎士の中で裏切り者がいないか、他にも組織に絡んでいる人間はいないか調査することになったらしい。さらに、ジノイを尋問し余罪がないかも調べるようだ。

私の方はというと、アリーさんと一緒に王都へ戻り、ガイルさんに引き渡して報酬をもらう。それでフェレスとしての役目は終わりだ。一応、犯罪組織を捕らえたということで国からも報奨金が出るようだが、辞退した。報奨金を受け取ったことによって、国からフェレスへ直接依頼が来たり、爵位とか色々言われて囲われてしまう可能性があるからだ。今後もフェレスとして活動することがあるかもしれないが、積極的に活動しようとは思わない。これは偽の姿なのだから。


その他、細かいことを取り決め、話し合いは終わった。話し合いのついでに、指名手配犯の報酬をギルドの代わって支払ってくれたので、この報酬で昼食をとることにした。


私は宿へ戻り、レオを昼食に誘った。お店で食べることも悩んだが、結局、屋台のものを色々買って、食べることになった。広場の噴水に腰掛け、食べながら今日中に王都に帰ることをレオに伝える。レオは私に防音の結界を張るように促した。


「そうか。それで?ミリアが気になってたことはどうなったんだ?」


「そのことね。これから調べるつもりよ。ガイルさんの記憶の中で、オズリオ様を殺すように命令した男に見覚えがあったの。それでその男との繋がりを昨日、ジノイに尋問したのだけれど、有力な情報は得られなかったわ。ただの取引相手だそうよ。」


「ふーん?」


「つまり、オズリオ様を殺そうと考えた首謀者は直接手を下さず、証拠も残さず、のらりくらりと隠れたままということね。今回みたいに、証拠は麻薬で誤魔化して、表沙汰になる時は取引相手となっていたジノイのせいにする。これは予想だけど、ジノイは私が見つけずとも、騎士団への依頼となって後々捕まっていたはずよ。」


「え?なんで?」


「私達がガイルさんを攫った後、オズリオ様が強面集団を捕縛したはずだわ。きっと強面集団はジノイに雇われたと言うようになっているのではないかしら。しかも、証拠を漏らされないように、本命の暗殺は麻薬漬けにしたガイルさんにだけ命令する。オズリオ様の暗殺に成功したらそれでよし。失敗したら取引相手を切り捨てる。」


「なんだか複雑だな。でも、首謀者はガイルが生きてオズリオに捕まってたらどうする気だったんだ?」


「その場合は誰かに命令されたっていう別の犯人像が出てくるわね。でもそれもジノイのせいになるでしょうね。それか…もし私が首謀者だったら、オズリオ様に任務を授けた時に、『敵は殺しても構わない』って言うかしら。ガイルさんは本気で殺しにくるわけだからね。これで証拠は完全に消えるわ。」


「なるほどな。でも、ガイルに命令した奴に見覚えがあったんだろ?じゃあミリアはもう首謀者について分かってるのか?」


「いえ…それが見覚えっていうほどでもないのよね。だから首謀者に関してはあまり自信がないの。この男に関してはお兄様と相談するわ。王宮ならお兄様の方が詳しいもの。」


「そっか。じゃあ、とりあえず今回は、アリーを届けて終了というわけだ。」


「ええ。本当にありがとう。助かったわ。」


私達は残りのご飯を食べてしまい、アリーさんを迎えに行った。もう2.3日、身体を休ませた方がいいのだろうが、アリーさんもすぐにガイルさんに会いたいということで、すぐに村を出発することになった。馬は騎士団が報奨金の代わりということで用意してくれた。



「アリー!!!」


「お父さん!!」


私達はギルドに到着して、アリーさんをガイルさんの下へ連れて行った。2人とも涙を流して抱き合って喜んでいる。アリーさんが見つかって本当に良かった。


「何とお礼を言えばいいか…」


「依頼を達成しただけだ。気にすることはない。」


「そんなわけには…何かお礼をさせてください。」


お礼はいらないと伝えるが、ガイルさんもアリーさんもお礼がしたいと言って聞かない。確かにガイルさんからしたら情報を提供しただけなのだろう。しかし、その情報のおかげで今後、国を守れるかもしれないのだ。それに比べれば、数日の労力とお金くらい大したものではなかった。


「いや、こちらも情報を得ることができた。礼はもらっている。では…」


別れは誰かがきっぱり終わらせないとどんどん長引いてしまう。私はさっさと終わりにして、ギルドを出て行った。



「お疲れー。」


「ありがとう。レオこそお疲れ様。」


私はささっとミアの格好に着替えて、レオと広場を歩いていた。コゼリ村で一泊、帰りに一泊したので、3日ぶりの王都だった。


「レオはいつまで一緒にいるつもりなの?」


「俺がいたらまずいのか?」


「いや、そういうわけではなくて…レオがいると頼ってしまうから申し訳ないのよ。ここ数日、レオには助けてもらってばかりだわ。」


「そうか?ミアと一緒にいるのは面白いからな。1回本格的に寝始めると数年経っていることなんてざらだから、たまにはこうやって動いた方がいい。まぁそろそろ別のところにいくつもりだが、その前に王太子の様子を見ておきたくてなー。」


レオはニヤニヤとこちらを見る。この数日、忘れられていたのに嫌なことを思い出させる。私はキッとレオを睨んで反抗した。


「でも本当に気をつけろよ?(つがい)のためなら親でも殺せるからな。ギラを殺すのは実力的に無理だけど。」


「え…それはどうい…」


「せんせー!!!」


物騒なことを言ったレオに対して聞き返そうと思った矢先、カイが私を呼びながら走ってきた。


「カイ!急に伝言を頼んでごめんね。」


カイには殿下へドタキャンの伝言をしてもらっていたので、その時の殿下の様子を聞きたいと思っていた。


「赤髪のにーちゃんもいたのかよ。……その伝言なんだけど…ちょっと俺、まずいこと言ったかもしれなくて…」


「まずいこと?」


ちょうど今、殿下の(つがい)について話していたところだけに、余計に嫌な予感がする。


「その赤髪のにーちゃ…」


「…ミア?」


カイの声と重ねるように私の名前を呼ぶ声が聞こえた。カイの目線に合わせていた視線を、声が聞こえた方へ向ける。


(噂をすれば何とやら…ね。それにしても皆、タイミングが悪いわ。)


笑顔とは裏腹に、怒りの感情を携えた殿下がこちらを見ていた。

読んでいただきありがとうございました。

次話以降も読んでいただけると嬉しいです。


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