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1章 人身売買と麻薬取引7

2日に1話更新予定です。

私とレオはジノイという奴隷商がいるという地下への入口を見つけ、少し離れたところで様子を見ていた。


「そういや、どうしてここにアリーがいるって分かるんだ?」


「あぁ、そういえば話の途中だったわね。記憶の中のアリーさんの近くにいた男が、ジノとかヤルマとか言ってたのよ。ジノは何か分からなかったけれど、人の名前っていうのは分かったわ。」


「じゃあジノっていうのが、ジノイのことだとミリアは睨んでるんだな。じゃあヤルマは?」


「私達が追っているのは麻薬を扱っている組織でしょう?それでピンときたの。確か、ヤルマタっていう植物が麻薬の原料にあったなと思って。それでヤルマタを栽培できる地域の中で、1番悪いことが出来そうなところがコゼリ村だったというわけ。」


「なるほどなぁ。それであいつらからジノイの名前を聞いて、アリーがここにいるって分かったんだな。」


「そういうこと。」


まだアリーさんが売れていなければ、ここにいるはずだ。しかし、他の奴隷達もいると言っていた。人身売買はこの国では禁止されているが、許可されている国もある。人身売買によって報われる人生も少なくないからだ。例えば、借金を子どもに残さないために自分を売ったり、子どもを生かすために子どもを売ったり…皆それぞれ事情がある。もしかすると、この組織を潰すことにより不幸になる人達もいるかもしれない。ただ、何と言おうとこの国では犯罪であるし、オズリオ様を殺そうとしたのは間違いない。今、ここで組織を潰さなければ後々大変なことになる。それに、他にも気になることがあった。


「レオ、これはフェレスの依頼だから私が正面から敵を叩き潰していくわ。レオはさっきみたいに魔法で姿を消すから、臨機応変に動いてほしいの。あと、おそらく何処かに逃げ道を用意してると思うから、私が魔力で逃げ道を発見したら、まずそこを守りに行ってほしい。」


「分かった。アリーはどうすんの?」


「見つけ次第、私が保護するわ。私の速さがあれば大抵のことは同時にできるのよ。」


「ははっ。納得だ。」


もし、相手が盗賊で皆殺ししてもいいなら、敵にフェレスの素顔を見られても私の正体が知られても構わない。か弱い女性を演じて油断させ、後に実はフェレスでしたなんて真似もできる。真実を知られても最後には殺して精算することができるからだ。しかし、今回は救出だ。また、その後に騎士達によって余罪がないか尋問される。ギルドに依頼を出し、(おおやけ)にするとはそういうことだ。殺すわけにはいかない。だから今回は最初から最後までフェレスであることが重要だ。それならいっそ、レオもいるし、速さを利用して正面から侵入した方が簡単で早い。


私はフェレスの格好になり、入口の前に立つ。見張っていた限り、出入りしている人はいなかった。このままだと、ただ時間を浪費することになる。どうせ正面から侵入するので、突入しても大丈夫だろう。私はポーション飲み、魔力を霧のように変化させ、入口から魔力を流した。中には身体の大きな人間が複数おり、身体の小さな人間11名が一箇所に固められている。おそらく奴隷が11名ということだろう。中は案外広く、隅々まで魔力を行き渡らせるのが難しかったので、逃げ道も見つけることが出来なかった。しかし、大体の人の位置と中の構造は理解したので、再度ポーションを飲んでレオに合図する。


「突入するわ!」


私は魔力を足に流し、一瞬で侵入した。




「だ、誰…ぐあっ!」

「な……う…」


まずは2人。

出会った瞬間に後ろへ回り込み、意識を奪った。バタンッと男が倒れるので、何事かと別の男が様子を見に来ようとする。その前に私がその男の鳩尾を殴り倒す。


「その仮面、フェ……ぐっ!」


男達を倒しながら、奥へと侵入していく。


「お前!フェレスが来たと伝えろ!!」

「分かった!」


男が奥へと走る。私はその男の前へ移動し短剣の柄で顎を思い切り殴った。


ガッ


「がはっ!」


バタンッ


伝達を任された男が盛大に倒れた。


「何!?…うっ」


別の男が振り返る。伝達を頼んだはずの男が後ろで倒れたことに驚いたのだろう。何故、目の前にいた(フェレス)が後ろにいるのか理解出来ていないようだ。そしてその隙に男を倒す。流石に全員を無傷で捕らえるのは難しいので、手足の一本くらいは勘弁してほしいと思っていたが、やはり私の速さに対応できないようで、反撃すらされずに制圧してしまった。


(あとは奥の部屋ね。)


あと、奥には2部屋あり、その一つは商品である奴隷を囲っているので、制圧すべきはあと1部屋。おそらくその部屋に逃げ道が用意されているのだろう。私は再度魔力を霧状にして、奥の部屋へ突入した。


バタンッ


扉を蹴り倒す。


「何者だ!!」


手前の部屋で何かが起こっているとは気付いていたのだろう。奥にいるでっぷりと太った男が荷物をまとめていたところだった。そして、その前に6人の男が私に向けて剣を構えている。


「フェレスだ!気を引き締…メロ…」


私は1番近くにいた男の首を捻って殺した。確かこの男は指名手配されていた殺人犯だ。騎士達が逮捕のため奮闘したが、返り討ちにあって何人か殺されていたはずだ。ただ、瞬きの内に移動して、顎を持ち、捻ねり上げれば呆気ないものだった。


(後で首を切ってギルドに持っていかないといけないわね。)


指名手配犯を倒したと同時に霧状にした魔力が逃げ道を見つける。私はレオに向かって叫んだ。


「机の下だ!!」


レオが姿を消したまま、逃げ道の確保に向かった。逃げ道が見つかったので、魔力を女性達がいるもう一つの部屋に集中させる。そこにも見張りがいるようだが、見張りは困惑しているようで、狼狽えている。この様子なら女性達は後回しにしても問題ないだろう。私は意識を自分がいる部屋に集中させた。


私の目の前にいる男達は剣を構えてこちらの様子を伺っている。私はさっさと終わらせるために右手に短剣、左手にナイフを持った。姿勢を低くし、足をバネのようにしならせ一瞬で移動する。


私の速さについて来れる人間は今のところいないが、念のために、まず、全員の手を切り落とした。手がなければ大抵の人間は戦意喪失する。


「「ぐあああああ!!!」」

「「ああああああ!!」」


「この!!ぎゃあああああ!」


最後の1人だけが、一応、武器を私に振り下ろしたが、当たるわけもなく、振り下ろした隙に、私がナイフで男の指を切り落とした。指がなければ武器は掴めない。


「「「「「ああああああああ!!!」」」」」


手がなくなった男達が痛みに叫んでいる。やはり、戦意喪失しているようで、このまま放っておいてももう問題はないが、煩いので1人ずつ意識を奪った。


「えげつない…」


レオが私の方を見て呟いた。レオはレオで、でっぷりした男の服の襟を掴み持ち上げていた。まるで猫を持ち上げているようだ。私からするとレオもなかなかえげつない。おそらく、この男がジノイなのだろう。私はレオに、ここにいるようにと伝え、もう一つの奥の部屋に行く。その際、部屋に常備してあった布を11枚拝借した。


コンコンッ


一応、女性達を怖がらせないようにノックして扉を開ける。その瞬間、男がこちらに剣を振りかぶってきたが、普通にかわした。男はかわされると思っていなかったのか、そのまま前に倒れそうになる。その隙に手刀を首の後へ入れて意識を奪った。


女性達は、何も服を身につけていない状態で管理されていた。しかも、首輪に鎖を繋いで、腕には手錠をしてある。この様な場面は何度か遭遇したことがあったので、レオを別部屋に待機させ、一応、布を人数分持ってきたが正解だった様だ。


とりあえず私は持ってきた布を1人1人に身体を隠せる様にかけていった。


「あ…あり、がとう…。」


女性たちは泣きながらお礼を言った。物音である程度の状況の把握ができているのだろう。ほっとした表情を見せた。私は手錠と首輪に鍵穴があることを確認し、一度レオのいる部屋に戻る。


「やっぱりこいつがジノイだ。はい、欲しいのは鍵だろ?」


部屋に戻ると顔がボコボコになっているジノイと笑顔のレオがいた。先に尋問を始めていたのだろう。…楽しそうだ。


「ありがとう。助かる。」


私はレオにお礼を言い、鍵を受け取った。女性達のいる部屋に戻り、1人1人の首輪と手錠を外す。布を渡すときに目星をつけていたが、今、彼女達は髪がボサボサで人相が判別しづらい。念のために、声をかける。


「君がアリーか?」


下を向いていた少女が顔を上げる。


「え…?……あ、はい、アリーです。」


ガイルさんと同じ色の瞳がこちらを見る。間違いではなかったようだ。ガイルさんも喜ぶだろう。


「ガイルさんの依頼で来た。お父さんが待っている。」


「ほ、ほんと?…う、うっ…よ、かった…」


アリーが泣き出したのに連れて周りも一緒に泣き出した。ここには、自らの意思で奴隷になりに来た女性はいないようだ。私は胸を撫で下ろした。


この後、この村に常駐している騎士を呼び、ギルドの依頼で来たことを伝え、女性達を保護するように頼んだ。もしかすると騎士達の中にも賄賂を掴まされて協力していた者がいるかもしれないが、その犯人探しは別の騎士がするだろう。ジノイに対しては、騎士達が来るまでに尋問し、欲しい情報を得た上で、引き渡した。


怒涛の一日が、終わった。

読んでいただきありがとうございました。

次話以降も読んでいただけると嬉しいです。

人身売買と麻薬組織は次回が最終話になります。

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