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1章 友達2

1話更新です。

「それにしてもどうして倒れていたの?怪我をしているわけではないわよね。」


「あぁ。お腹すいたから。」


予想外の返答で一瞬時が止まる。そういえば、ドラゴンの食事ってどのようなものなのだろう。


「…魔獣を捕まえて食べるわけではないの?」


「まぁ、そうだけど。人間の食べ物の方が美味いからな。ミリアに会いに行けば食べられると思ったんだよ。」


「そ、そう…。まぁ、私も聞きたいことがあるし、ちょうどよかったわ。綺麗にしたらご飯を食べにいきましょう。」


「本当か!ありがとう!」


私がすんなり「ご飯に行こう」と言うとは思っていなかったようだ。安心したような顔を見せたと思えば犬が尻尾を振るように喜ぶ。相手がドラゴンなので、人間の政治や貴族階級は関係ない。レオ相手に何も偽る必要はないし、出会いが出会いなので気をつかう必要もない。私は1番楽な話し方でレオに接していた。

髪を洗った後、レオはセルー川に直接入り、汚れを落とす。もちろん私は近くにある大きめの樹木に隠れて、レオの身体を見ないようにした。


「ミリアー!服着たから大丈夫だぞー。」


「分かったわ。綺麗になったかし…ら…?」


そこには、かきあげた赤毛に整った顔立ちでスラリと背の高いモデル体型の男性がいた。ギラの人間の姿がとても整っているので、レオも整っているとは思っていたけれど予想以上だ。汚い人と言われていた面影がない。カイが買ってきてくれた服もサイズがぴったりというわけではないが、それなりに似合っている。


「濡れた髪や身体はどうしたの?」


「蒸発させた。器用な魔法は苦手なんだよ。」


「…流石、炎のドラゴンね…」


普通なら(ウィンド)で身体を乾かす。ただ、時間がかかるので、私なら水と身体を分離させて、水だけを持ち上げて捨てる。レオは炎特化のドラゴンなので、身体を燃やして、水を蒸発させたようだ。普通の人間なら死んでいる方法である。


「その格好、似合ってるわ。何か食べたいものはあるかしら?」


「おーよかった。んー最近全然食べてなかったしなぁ。ミリアのおすすめで頼む。」


「分かったわ。あと、街ではミアって呼んでね。」


「りょーかい。」


私は防音の結界を解除し、レオと私を包むように再度、防音の結界を緩めに張る。できるだけ周りに会話を聞かれたくないが、口だけパクパク動いているのは不自然だ。聞き取れないが、何か話しているようだと周りに思われるようにした。


「大衆食堂に行きましょう。品書きが豊富だからレオが食べたいものを選べばいいと思うわ。」


「色々あるんだな。楽しみだ。」


2人で大衆食堂まで歩く。殿下と初めて一緒に歩いた時と同じで、おばちゃん達にまた絡まれてしまった。レオは気にしない性格なようで、気さくにおばちゃんたちに接していた。結果、見た目は格好いいけど性格が天然で可愛いという評価をおばちゃん達からもらっていた。


(ドラゴンと人間の価値観は違うわ。でも見た目が良いと性格が天然で可愛いと捉えられるのね。)


なんて、新たな発見もあった。


お昼少し前の時間なので、大衆食堂は思ったよりも空いていた。これから混んでくるのだろう。私たちは窓側の席に座り、各々好きな料理を頼んだ。私はフェレスの時に盗賊討伐でそれなりに稼いでいたのでお金には余裕がある。せっかくなのでレオに好きなだけ頼んでいいと伝えると、また、レオは無いはずの尻尾を振った。

まだ食堂は混んでいないので、料理はすぐに到着した。その後も時間差で次々に料理がやってくる。好きなだけ頼んで良いとは言ったが、いったい何人前になったのだろう。レオは私に遠慮なく、お腹いっぱい食べるようだ。これを静かな店でされると流石に少し恥ずかしい思いをしただろう。大衆食堂を選んだ自分に心の中でこっそり拍手を送った。


「それで?聞きたいことってなんだ?」


「あぁそれね。何から言えばいいのかしら…ドラゴン並みの魔力量を持つ人間がいるのよ。」


「…へぇ!珍しいな!先祖返りか?」


「先祖返り?どういうこと?」


緩く張っていた結界を完全に防音になるように張り替える。人も増えてきたので、声があっても、周りの音にかき消されてしまうはずだ。なら、声を完全に消してしまっても違和感はないだろう。また、本当はギラに聞こうと思っていたことだが、 レオに聞けるならそれでいい。図書館で調べる必要もなくなりそうだ。


「過去にドラゴンと人間の力を引き継いだ子が生まれたんだ。それでその子孫は魔力量の高い人間になった。確か、その子孫はどっかの王になったって聞いたことがある。」


「…この国、セレリィブルグ王国には神話があるのよ。神が世界を創り、この国は神の力を引き継いだって…」


「…ん?どういうことだ?」


「私が言った魔力量の高い人間はこの国の王太子のことなのよ。そしてセレリィブルグ王国の王族は皆、人より魔力量が高い。」


殿下の魔力量を確認した時に不思議に思った。ただの人間がドラゴン並の魔力量を持つことがあるのかと。突然変異や偶然で、ある程度高い魔力量を持ってしまったなら理解出来る。しかし、ドラゴン並みだ。人間の域を遥かに超えている存在だ。偶然という言葉で片付けられるものではない。

この国の魔力測定器は水晶型で魔力量に応じて色が変わる。魔力量が低ければ水晶の色は薄く、高ければ濃くなる。色の判断は曖昧であるし、元々、ドラゴンの魔力量を測れるようにはなっていない。殿下も今の魔法騎士団長も水晶の色が黒だと聞いた。しかし、同じ黒でもその差は天と地ほどもある。王族の魔力量は圧倒的だが、まさか誰もドラゴン並みの魔力量だなんて分かっていないのだろう。だから誰も殿下の魔力量についてそこまで疑問に思わない。「殿下は人より魔力量が高い。」の一言で終わりだ。魔力量を確認できる私だから疑問に思い、気付けたことなのだろう。


「…ということは、この国の王族が、その子孫というわけだ。そして話を聞くに今の王太子が先祖返りということだな。」


「先祖返りって…今の話と言葉から察するに、ドラゴンの特徴が顕著に発現している人間ということね。」


「そういうことだ。」


「でも人間の身体でドラゴン並みの魔力量なんて耐えられるはずがないわ。ドラゴンの血を引いていると言っても、王族の身体は人間と同じだもの。」


「さぁな。そこは知らん。この国が続いているってことは、どうにかしてきたんだろ。」


身体は人間で魔力量はドラゴン並み。でも、今の王は殿下ほど魔力量が高いわけではない。王は先祖返りではないということだろうか。


(劣勢遺伝子なのかしら…いや、でもおかしいわ。)


「…そもそも、ドラゴンと人間で子を成せば、亜人が生まれるのではなくて?身体だけ人間というのはやっぱりおかしいわ。」


「…。」


「レオ、何か知ってるのね?」


「悪い。そこは詳しく答えられない。教えてはいけないことになってる。」


「……そう。」


群れを作らないドラゴンにもルールというものがあるのだろう。ただの人間である私が言及することなどできるわけもない。気になるがこればかりは仕方ない。


「そうだな…他に答えられることとしたら…俺たちは簡単に子孫を残すことが出来ない。」


「…長寿で強者のはずなのに、ドラゴンは個体数が少ないわ。子を成すのが難しいということなのかしら?」


「それもある。でも、1番の理由は、(つがい)を見つけるのが難しいことにある。」

読んでいただきありがとうございました。

次話以降も読んでいただけると嬉しいです。

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