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2章 誘拐隠蔽工作3

誤字脱字報告ありがとうございます。助かります。


更新ちょっと早いですが、話続くので、気持ちサクサクいきます。

私は、レオとルトともに王都を出て目的の都市に向かって走っていた。


私を先頭に、レオはルトを俵担ぎして走る。側から見たらちょっとおかしな集団だが、かなりのスピードで走っているので、見られても多分問題ない。



「ルト…騎士団って普段からこんなに多かったかしら?」


「いえ…こんなには……というか、酔って吐きそうです。」


「このスピードなら服に付くことないから、吐いてもいいぞ。」



王都や関門には多くの騎士が巡回をしていた。


私の魔法は魔封じでも使えるように出来るので、姿を消して、ものすごい速さで強引に正面から関門を突破する。

騎士たちはちょっとした突風が吹いた程度にしか思わないだろう。私がよく使う手段だった。



ここまで騎士が多いとなると、もしかして、リフレット伯爵令嬢の捜索が始まって2、3日経っているのかもしれない。


私は、彼女がいなくなって4日目である今日あたりに、騎士団へ捜索願が出されると思っていた。


リフレット伯爵家は社交界でも力を持っている家門。

娘がいなくなったとあれば、娘の名誉を守るために、まず伯爵家だけの力で娘を捜索するだろう。そして、それでも娘が見つからない場合に騎士団へ依頼するという形になると思っていた。


もう、騎士団で捜索されているとなると、最初から騎士団へ依頼し、騎士団の数に頼った戦術を採用したということだ。


名誉をとるか、娘の命をとるか。


リフレット伯爵家は娘の名誉をすぐに捨て、まず命を守ることに決めたらしい。

娘が社交界に出られなくなってもいいから、命を助けてほしいと願うのも、きっと親心なのだろう。


私は、予想が外れたと思うと同時に、思っていた以上に騎士団の手が回っており、時間がないことを知った。



「はぁ……はぁ……っ……」



リフレット伯爵令嬢がいる都市が近付いてくるが、ギラの魔力を使ったせいで、身体が痛い。



(殿下やお兄様に今回のことがバレたら…怒られる、よね。『命』や『身体』を大事にしろとか言われそうだわ。)



確かに命は大事だと思う。でも、名誉だって大事だと私は思う。


特に女の子にとって、誰かに襲われた、というのは一生心に残る痛い傷だ。それを他人に噂されてしまうかもしれないなんて…それが親しくなろうとしている子なんて…私には見過ごせなかった。


たとえ、野次馬の如く、噂をしなくても、そんな経験をした女の子に「命があって良かったね。」と簡単に言っていいわけでもない。

考え方は人それぞれだと思うが、特に貴族なんて何より名誉を大事にする人間だ。


しかし、私には、リフレット伯爵の判断が正しいとも間違っているとも言えなかった。



都市に入り、彼女がいる建物を目指す。


彼女の居場所が変わっている可能性も否めないが、衰弱している人間を2時間で遠い場所に移動できるとも思えなかった。

多分、レオや私みたいな存在もいないだろう。


エルの魔力が届く範囲まで近付く。


私は足を止め、様子を探った。ルトは吐いた後、周辺の様子を確認しに行ってくれた。



「ミリア……エドナはいるか?」


「ええ。………いるわ。男も4人。」


(………4人。衰弱していることから考えて、暴力を振るわれたのは間違いない。………どうしてこんなことになったのかしら。どうして彼女が………)



胸を刃物で刺されたように、痛い。


ただの誘拐なら良かったのに。身代金目当てのただの誘拐。


でも、ダン・アルアイカが絡んでいるとなると、身代金じゃなくて、多分……腹いせ。ジョイル君の話を聞いた時から、彼女は無事ではないと分かっていたけれど、悲しい。


そうこうしているうちに、ルトが戻ってきた。



「騎士団はまだこちらに向かってきておりません。でも、それも時間の問題でしょう。広場に一般騎士が集められておりました。」


「分かったわ、ありがとう。なら、さっさと救出した方が良さそうね。」



私は、レオを見張りに立たせて、ルトを建物の正面から突入させた。


ルトは、最初男たちにビビっていたが、レオとの特訓の成果が出ているようで、大男も難なく薙ぎ倒す。

彼は、剣を抜くことすらなかった。



「体術も問題なさそうね。」


「…師匠より力の強い人はいませんから。」


「…それもそうね。」



レオに比べれば、足元に転がっている大男なんてアリのようなものだった。


ルトも状況を分かっているのだろう。

彼は何も言わずとも、上着を貸してくれたので、私は先に彼女がいるであろう奥の部屋へ向かった。


床に倒れている彼女を見つける。



「……酷いわね。それにこの匂い、本当に最悪だわ。」



ルトが男を縛り上げてる間に、私はリフレット伯爵令嬢にルトの上着を被せる。


彼女の服はボロボロに破かれて、血も付いていた。

そして、彼女がいた部屋に充満している匂い。……吐き気がする。


彼女の顔は腫れ上がっており、何度も殴られたことが分かる。

怖かっただろうに、彼女は勇気を出して抵抗したのだろう。


フェレスとして、盗賊や犯罪組織を壊滅させた時、乱暴された女性達には殴られている人と殴られていない人がいる。

その違いは抵抗したかどうか。

抵抗していないから同意のもとだったとかいう冒険者も見たことがあるが、そんな奴は死んでしまえばいいと思っている。


私は、込み上がる怒りや悲しみをぐっと堪えて、彼女の身体を修復していった。


彼女の傷が綺麗になくなっていく。

私は彼女の外側だけではなく、内側も視て、完全に綺麗に元通りにしていった。


しかし、暴力を受けた事実までは治らない。

彼女は気を失ったままだった。


私は彼女に私の血を飲ます。

血を流したついでに、ルトが捕らえた男達にも血を飲ませた。


ここであった事実を全て()()()()()()()()()()()()



「ルト…ここで見たことは他言無用よ。」


「勿論です。……騎士団より先に見つけられて良かった……」



ルトも安心したように呟いた。


もし、先に騎士団が彼女を見つけていたら、見つけた騎士団や彼女を運んだ人間、診察した医者から噂が広がり、彼女の名誉が失われていただろう。


箝口令を強いたとしても、人の口を塞ぐ方法はない。

それに、リフレット伯爵家を嫌っている人間は、そういう情報をお金を払ってでも欲しがるものだから。



彼女はもう安全だ。


あとは、記憶を確認し、トラウマを消した後、彼女をリフレット伯爵家に連れて帰れば終わり。


リフレット伯爵令嬢の失踪期間は、彼女の両親が上手く言い訳してくれるだろう。



私は、記憶を消すために、まずリフレット伯爵令嬢の記憶に触れた。


読み取る記憶は勿論、ここ数日のものだけ。

こんな状況で言うのも何だが、これ以上、彼女のプライバシーに干渉するつもりはなかった。


ただでさえ、私の身体は悲鳴をあげているのに、さらに複雑な魔力操作をするのはきつい。

しかし、彼女が受けた恐怖を思えば、なんてことはないと思えた。



(……………)


(………どういうこと?)



彼女の記憶に違和感を覚える。


彼女が聞こえないふりをした言葉。

状況も状況だから疑問に思う余裕もなかったのだろうが、私は聞き逃さなかった。



『こんなに乱暴して、報復されたらどうするんだ?こいつ貴族だろ?』

『大丈夫だ。こいつの親は何も言ってこねぇよ。』



彼女が乱暴されている最中に男達が言った台詞。

どうしてこの男はそこまで自信を持って言い切れるのだろうか。


私は、彼女には悪いと思いつつも、この4日間以外の記憶も読み取った。



(……そんな………これってもしかして…)



優しくない両親。資金運営が悪い伯爵家。そして、アルアイカ伯爵家との奇妙なやりとりを、私は彼女目線で知った。


彼女にはそれが当たり前で、疑問を持つことすらしなかった。ただ、そういうものだと受け入れていた。


でも、他人の私からすれば明らかにおかしい。


私は、すぐさま彼女の4日間の記憶を消し去り、ルトが倒した男たちの記憶を覗いた。



私の嫌な予想が当たる。



(…だからリフレット伯爵はすぐに騎士団に依頼を。…命を選んだんじゃなくて、()()の見栄を選んだというわけ、ね……最悪。)



怒りで沸騰しそうだったが、ルトが「何かあったんですか」と聞いてくれたおかげで、冷静になることができた。



「……レオを呼んできて。やることが増えたわ。」


「……?…わかりました。」



私は、自分が着ているドレスを脱ぎ、リフレット伯爵令嬢に着せる。魔力も使ったので、時間をかけずに着替えさせられたが、私の下着姿はレオとルトに見られてしまった。



「ちょ、何をしているんですか!」


「着替えているのよ。それに裸というわけではないし、そこまで驚かなくても大丈夫よ。私は気にしない。」


「僕が気にしますよ!!」



レオは私の着替えを気にしないのだが、ルトは気になってしまうようだ。一人称が「僕」になってしまっている。


私は、とりあえず彼女にかけていたルトの上着を羽織った。


そして、この誘拐事件で、私が感じた疑惑と事実。そこから導き出される真相を話す。



「ーーーだから、私はここに残って報復する。レオとルトは彼女を連れて()()()()帰ってほしい。」


「…ミリア様を残していくなんて出来ませんよ!」


「駄目。これは命令よ。それに、これは私の個人的な報復だもの。見せしめでもあるしね。」


「…しかし……」



ルトは私が1人でここに残ることに反対のようだが、もう少しで、ダン・アルアイカと騎士団がここに来てしまう。

言い争っている時間はなかった。



「ルト。もう一度言うわ。『命令』よ。」


「…分かりました。……では、リフレット伯爵はどうするんですか?」



ルトが私に当然の質問をした。


しかし、私はどうすべきなのか分からない。所詮は他人。でも、だからといって彼女をそのままリフレット伯爵家に帰すわけにもいかなかった。



「まだ…決めていないわ。でも、彼女はこの4日間、レノヴァティオ公爵家で私と遊んでいたということにするつもりよ。私はここ最近外出していなかったし、なんとかなるでしょう。」


「分かりました。リフレット伯爵令嬢には、ミリア様が戻られるまで眠ってもらうようにします。」


「ありがとう。…レオ、3人分だけどお願い。」


「分かった。終わったら迎えに行くからエルに言えよ。」


「ふふっ了解。」



ルトが『エル』という名前に首をかしげる。

そういえば、まだ紹介していなかったと思ったけれど、今じゃなくてもいいだろう。


ルトにリフレット伯爵令嬢を任せて、よろしくという意味を込めて手を振った。


そして、私は3人が転移(テレポート)するのを見送った。




読んでいただきありがとうございます。


ブックマーク&評価していただきありがとうございます。

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次話以降も読んでいただけると嬉しいです。

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