表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
109/189

2章 誘拐隠蔽工作2

誤字脱字報告ありがとうございます。


ミリア目線とアレク目線です。

エドナ・リフレット伯爵令嬢が姿を消して4日。


もう、彼女は王都にはいないかもしれないが、可能性は捨て切れない。

私は、ジョイル君の前では見栄を張ったが、リフレット伯爵令嬢の居場所の検討すら付けられないでいた。


理由としては、ダン・アルアイカと関係のある暗殺者はただの雇われだったので、そこまで詳しくダンの情報を持っていなかったこと。そして、暗殺者の頭の中から絞り出した怪しい場所は、既にお兄様に伝え済みだということだ。


私が思い付く場所は、既に騎士団の手が入ってしまっている。

それでも、彼女の行方が分からないということは、騎士団に裏切り者がいるか、私の知らない組織・潜伏場所があるか、はたまた両方かということだった。



…時間がない、と思う。


というより、時間があるのかどうかも分からない。



所詮は他人の名誉・命。



でも、助けられる可能性があるなら、その可能性に賭けなければならないと思ってしまうのは、私の性格だからではない…はずだ。きっと、これが大きな力を持ち過ぎた代償なのだろう。



出来ることが増えすぎると、何をするのかの取捨選択をしなければならない。

Aさんの命を助けるか、Bさんの命を助けるか、もしくは自分の命をかけて両方の命を助けるか、という問いに似ている。


私に力がなければ、諦めて仕方ないと思えるのに。


…テレビで放送される事故のような感覚で「可哀想。」だと思いたい。

特に、呪われた私はテレビで放送される名前が、()()()()()()()()()()()と確認して「良かった。」とすら思っていた。


でも、今の私にはテレビの中の名前に手を伸ばすことが出来る。



『王様』というのはずっと、こういう気持ちなのだろうか。


アレクシル殿下は、生まれた時からこんな重いものを背負わされて、どうして逃げずに頑張れるのだろうか。



私は、色々な言い訳を考えつつも、リフレット伯爵令嬢を探す手段を1つ持ち合わせていた。


試してみたことはないけれど、恐らく出来るだろうと思われる力。いつも、常に、私がやっていることの規模を大きくしただけの力。


私は、近くに誰もいないことを確認し、両手の指を絡めて、祈るようなポーズをとった。


胸にある魔石が熱を帯びていく。



「………っ…」



ギラの魔力を大量に引き出して、私を中心に王都全域に広げていく。


魔力操作というほどではないが、大量の魔力を吐き出して、リフレット伯爵令嬢の魔力を探す。


王宮に知っている魔力があるな、とか、ギルドにいつものメンバーがいるな、とか、…余計な情報が入ってくるせいで、頭がパンクしそうになってしまう。



「ーーーー!!!」


パキッ………バキバキバキバキッ!!


(い、痛い……)



あ、この感覚、お兄様を修復した時に似てるな、と思った時には、身体中に鱗が生えて逆立っていた。


完全に、身に余る借り物の力。

それでも、死ぬことはない。殿下に、レオと同じ思いをさせることはない。


私は、パキパキと鱗の音を遠くに聞きながら、彼女の魔力を探した。



「…ごふっ…!!」



口から咳と共に血が噴き出す。

吐くのは私の得意技だ。今更気にしない。


ただ、身体中汗が吹き出すし、口の中の血の味のせいで気持ちが悪い。



(気持ち悪いだけ……まだ、余裕はある。)



私は、まだ無理をしても大丈夫そうだと判断し、さらに魔力を広げて、王都周辺の都市や街を捜索した。



「………見つけた。」



私は、王都の周辺に位置する大きな都市にリフレット伯爵令嬢の魔力を見つけた。


魔力操作を止め、一気に周りの状況が分からなくなる。



「か、はっ………………ゔぶっ!」



トドメとばかりに私はまた血を吐いた。

息をするのがやっとで、近くに誰が来たのかも把握出来ない。



「はぁ…はぁ…はぁ………はぁ……」


「ミリア、無茶しすぎだ。ギラの魔力はーーーー」



多分、近くにいるのはレオ。

でも、何を言っているのか、いまいち分からない。


意識がとびそうになる。本音はこのまま眠りについて休みたいが、そんなことも言ってられない。


彼女の衰弱した魔力の近くに、数名の興奮した魔力があった。ただの暴力ならいい。でも、きっとそれだけではない。


彼女の尊厳は手遅れだろう。でも、名誉はまだ守れるはずだ。

私なら、()()()()()()()()()()()()()

ただ、そのためには、騎士団よりも先に彼女を保護して、事実を隠蔽しなければならない。


私は息を整えて立ち上がった。

ふらふらとするが、誰かが支えてくれる。これはルトだ。



「ルト、ありがとう。ちょっと無理しただけだから心配しないで。」


「でも!ミリ……」


「レオ、事情は聞いた?」



私はルトの心配を聞かず、レオに確認する。

レオは私の血を舐めたらしく、大体見当ついたと言った。


私は掌を広げては拳を作り、身体が動くことを確認する。

さっきはギラの魔力を使ったから、エルの魔力はまだまだ残っている。大丈夫だ。



「レオ、ルト。今から走るわ。私はちょっと疲れたから、レオがルトをおぶってくれる?」


「は?走るんですか!?」


「ええ。馬だと目立つし、馬車だと遅いわ。走った方が速いし目立ちにくい。大丈夫よ。」



エルに乗っていけたら楽なのだが、それも目立ってしまう。王都から都市まで飛ぶにしては、ギラの影響を受けたエルは大きくなりすぎた。

ルトは納得してなさそうだが、彼は私の護衛騎士なので最終的には私の命令に従ってくれる。私が強引なことを言ってもなんやかんや了承してくれるし、覚悟を決めてくれるのでありがたい。


レオは私に心配そうに言った。



「ミリア、本当に大丈夫か?」


「ええ、大丈夫よ。だって…出来てしまうんだもの。」


「……。」



私は、王都を抜けた先の都市にリフレット伯爵令嬢を見つけたことを伝え、着替えることもせず、走り出した。

体調と魔力を考えても、2時間くらいで辿り着けるだろうか。

目的地の都市側に、レオの転移(テレポート)用の魔法陣がないことが悔やまれたが仕方がない。出来ることをするだけだ。



私はこの時、既に騎士団が動き出していたことと、殿下がギラの魔力を感じ取っていたことを知らなかった。



………………



リフレット伯爵令嬢が行方不明になったと連絡を受けて2日が経っていた。

そして、不敬罪として捕らえられていたダン・アルアイカが権力とお金の力で伯爵家に帰って1週間が経過していた。


私は、騎士団統括であるハイノール伯爵とリフレット伯爵令嬢の捜索について話していた。



「殿下。2日間王都を探しましたが令嬢の手がかりすら見つけられておりません。おそらく、もう王都にはいないと考えていいでしょう。」


「そう、かもしれないな。ライルからの情報提供で、他の怪しい者達は捕まえられたが、皆今回の件には関係ない者たちだと言っていたな?」


「ええ。………殿下、この行方不明の件については騎士団が受け持つので、殿下ご自身が動く必要はないかと……」


「いや、私も動かなければならない。……理由があるんだ。」



恐らく、ダン・アルアイカの釈放時期からも考えて、この行方不明事件の首謀者はダンで間違いないだろう。

しかし、証拠がない。


そして、アルアイカ伯爵家は私に反発しており、私が王太子ということに納得していない貴族だった。捜査の協力を断るどころか、責任転嫁してくる始末。


きっと、この件がリアの耳に入ってしまえば、彼女は責任を感じてしまうだろう。

ダン・アルアイカが不敬罪で捕らえられるきっかけになったのはリアなのだから。


でも、決してリアの責任ではない。


誰がなんと言おうと、犯罪は犯す方が悪なのだ。

それに、ダン・アルアイカの犯罪を立証できなかった私たちの尻拭いをリアがやってくれたのだ。報復の形がどうであれ、私はどうにかリアが心を痛めないように動くしかない。


ただ、騎士団が動いた以上、リフレット伯爵令嬢が犯罪者から受けた仕打ちは、箝口令(かんこうれい)を強いても、噂になってしまう。彼女がたとえ生きていたとしても社交界に戻ってくることは絶望的だ。


リアが彼女をお茶会に誘うことはもう出来ないだろう。



その時、何か恐ろしい力が辺りを包んだ気がした。



「……!?」



一瞬だが、確かに感じた。

ブワッと冷や汗が吹き出てくる。



「ハイノール伯爵!今の感じたか!?」


「え……何のことでしょうか……?」



彼は何も感じていない。私だけなのだろうか?

すると、後ろから魔法騎士団長のセイルズが走ってきた。



「殿下ー!何か大きな力を感じましたよ。これってもしかして100年周期の大災害だったりするんですかねぇ?やばいんじゃないですか?」


「セイルズも感じたなら間違いないな!…となると、リアも感じているはずだ。……こんな時に!」


「ライルを連れて妹ちゃんのところに行った方がいいかもしれないですねぇ。災害が起こるのなら妹ちゃんと協力した方が絶対いいと思いますよー。」


「……そうだな。仕方ない。今すぐレノヴァティオ公爵邸に行くぞ!」



もし、大災害が本当に起こるのなら王都が消えて無くなってしまうが、今は確証がない。

今から住民を誘導しても恐らく間に合わないし、もし、王都で大災害が起こるなら、父上はここで王都と共に死ぬと約束している。


大災害に向けた対策はいくつか講じているが、そのほとんどが()()1()0()0()()()()()()()()だ。


私の代でやるべきは、大災害の正体を掴むことだとずっと前から覚悟している。


私は、ハイノール伯爵に、引き続きリフレット伯爵令嬢の捜索を命じ、ライルとセイルズと共にレノヴァティオ公爵邸へ向かった。


読んでいただきありがとうございます。


ブックマーク&評価のおかげで頑張れています。

本当にありがとうございます。


もし、まだブックマーク&評価されていない方がいましたら、ぜひよろしくお願いします。


参考になりますので、面白いと思っていただいた話には「いいね」をお願いします。


次話以降も読んでいただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ