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贈り物

作者: 四月朔日

家の土蔵に眠る巻物からサンタを呼び出す方法を知った主人公が望んだものは・・・?

心温まらないクリスマス短編小説です。

サンタは実在する。但し簡単には会えない。

普段は現界には居らず、精霊界に棲息している。

だから、サンタに会う為には精霊界から呼び出す必要がある。

呼び出すためには召還術が必要だ。

そして会えれば、年に一度だけ望みを叶えてくれる。

ごく稀に召喚に成功して、サンタの奇跡に恵まれるものがいる。

サンタクロースの伝説は、そういった奇跡に基づいて語られている。


俺の家の土蔵、なんでも俺の家は江戸末期から続くらしく

土蔵の中にあるものも最古のものは江戸時代までさかのぼるらしい。

『とんでも鑑定団』に出したら、きっと鑑定士も引くこと間違いなし

の家宝も、たぶんまだあるはず。

やたら高そうな陶磁器とか焼き物、絵が無造作に収納されている。

その土蔵に古い巻物があった。

中には古典のテストに出てきそうな文章で何かが書かれていた。

それがサンタの召喚方法だと分かったのは高校を卒業して10年も経ったある日。

一昨年の12月の事だった。

たぶんだけど、ポルトガル語で書いてあったものを当時の人が訳したんだろう。

訳した人自身、何が書かれているのか理解出来て無かったと思う。

だから理解するのにすごく時間が掛かった。うん、ほんの10年ほど。

古語の読解力には自信があったんだけどね。召喚術なんてものに全く馴染みが無かったから。

でも、ようやく召喚術が実践できるまで理解が進んだ。


一昨年のクリスマスの事。

俺はサンタを召喚した。


俺:世界が欲しい。(野望はでかいほど良い)

サ:靴下はあるか?

俺:(サンタさんの定番だな)

サ:ないなら駄目だ。

俺:・・・。


サンタは雪が溶けるように消えていった。

巻物には靴下の事は書かれていなかった。

次は靴下を用意しよう。

但し、次は1年後になる。



俺は学んだ。そして今回はちゃんと靴下を用意した。

それが去年のクリスマスのことだった。


俺:世界が欲しい。

サ:靴下はあるか?

俺:ここに!


俺はおろしたての真っ白な靴下をサンタに渡した。


サ:『ポケットから何かを取り出し靴下に入れる』

俺:おっ。これで今日から世界は俺のものっ!!


サンタはやっぱり雪が解けるように消えていった。

俺は靴下から何かを取り出す。

・・・なんだ?これは・・・鍵?


見たことが無い鍵のようなものが入っていた。

しかし、コインロッカーの鍵でも家の鍵でもない

複雑な、複製など出来そうもない重要そうな鍵。

もしかして・・・、これは代々のアメリカ大統領が引き継ぐといわれている

あの核兵器発射ボタンへのアクセスキーか?

もちろん、見たことは無いから断言はできない。

ただ、世界を支配できる鍵となるとあれくらいしか思いあたらない。

でも、ちょっと待てよ。

あの鍵って、確かもうひとり持ってる人間が居て二人同時に使わないとアンロックされなかったのでは?

ということは、この鍵だけあっても意味ないんじゃないか・・・。

俺は鍵への興味を一気になくした。

持っていてもしかたがない。

メルカルででも、売っちゃおうかな?

中国あたりが高値で買ってくれるといいな。


そして、今年のクリスマス。

俺は去年から学んだ。きっと去年は靴下小さすぎたんだ。

そして今年は巨大な靴下を用意した。


俺:世界が欲しい。

サ:わかった。


今回のサンタはものわかりが良かった。

余計な事はいわず、手早くプレゼントを靴下に入れてくれた。

ワクワク。

今回の靴下はとても大きく、ほんとに大きく。

さすがに地球が入ったりはしないけど、一抱えほどの荷物なら入る。

まさか、地球儀なんてオチは無いだろうな・・・?

いや、きっとあのサンタの事だからそんな子供騙しはしないはず。


俺はウキウキしながら、靴下の中を覗き込んだ。

靴下の中にはとても、とても大きなスズメバチの・・・巣があった。

巣の中には、きっとスズメバチ達の世界があるんだろうな。

サンタはこの、でっかい靴下にちょうど収まる大きさの世界を選んで入れてくれたらしい。

うん、なかなか気が利いているかもしれない。

但し、俺が望んだ世界ではなかったけど。

さっきから、カチカチ、カチカチとスズメバチの警戒音が煩い。

来年のクリスマスはどうしようかな・・・?

今はまだちゃんと考えられない。まあいいか、まだ1年あるし。


その後に俺に起きた事についてはあまり思い出したくはない。

翌年の正月、病院のベッドで過ごしたことだけは言い足しておこう。

初投稿作品です。

これからもたまに投稿するかもしれません。

そのときは、よろしくお願いします。

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