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亡き王女に捧げる滅亡の物語  作者: 文月 桐秋
王宮編
1/16

1.序章

 春も終わろうかという季節。

 青く澄みわたる空。


 そんな天上とは対照的に、地上は火の粉が舞い、あちらこちらで怒号が飛び交う戦場と化していた。

その只中に朝凪(あさなぎ)はいた。


 三年にも及ぶ内乱の末、連花(れんか)王国の王都白藤(しらふじ)は戦場となった。

 遠目には王城に大きな損傷は見えないし、煙も上がってはいない。しかし、城下町はあちらこちらから火の手が上がり、家々は破壊されている。

 逃げ惑う人々とそれを追う兵士。斃れた人々の血は石畳を伝い、どこまでも流れていく。


 反乱軍の兵士は、積年の恨みを晴らすかのように執拗に連花の民を傷つけていく。

 なぜだ、なぜ、なぜ、なぜ。

 声にならない悲鳴が白藤の都を埋め尽くす頃、力尽きたように、連花の抵抗がやむ。

 動かない息子を抱き、茫然と座り込む父親。

 冷たくなった母親に深く抱き込まれた幼子は弱々しい声で泣く。


 そんな中で朝凪は澄んだ空を見上げる。

 一つにまとめられた長い黒髪が風にそよぐ。

 朝凪が記憶の底の懐かしさと愛しさを思い出し、深い藍色の瞳を揺らす。

 王城を眺めれば、ひと際高い壁が目立つ。広大な敷地を囲むその壁は、所々煤けた外壁とは違い、まったくの無傷に見えた。

 その内側には連花王国の王族が住む。

「姫様・・・・・・できる事なら私は貴女に外をお見せしたかった」

 朝凪の小さな呟きは風に乗って掻き消えた。朝凪の姫は、そこにはもういない。


過去にさかのぼって展開していきます。

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