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救世主魔王 魔勇者ベリオン  作者: レイス
第1章 魔勇者の資金稼ぎ編
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第47話 魔勇者町長を断罪する

 「ふーふー・・・まったく、全財産を持っていくのは骨が折れる・・・。」


 ブロンは一人、薄暗い通路を荷車を曳いて歩いていた。荷車には、たくさんを革袋が載っていた。中身は大量の金貨である。ブロンは、自身の財産を持って、自分だけ逃げだそうとしていた。町が異常発生で滅ぶかもしれないというのに。


 このブロンという男、町長であったが、町の政治などほとんど、いや、全く行っておらず、仕事は下の役人に任せっきりにしていた。唯一やっている仕事と言えば、税を巻き上げて自分の懐に入れることだけ。この町の問題がおざなりなのは、彼が何もしていないことに他ならなかった。


 今回、【闇の手】から要請を受け、それを快く承諾したのも、それが金になるから。この男は、根っからの守銭奴である。自分が金を手に入れるためなら、たとえ大勢の人間が死のうと、何も思わないのだ。


 「もうすぐ【闇の手】の部隊と合流できる。それまでの辛抱だ・・・。」


 ブロンは、肥満体の身体を揺らし、顔中汗まみれになりながら、通路を進む。そして、ようやく通路の出口に到着した。


 「ふー・・・。ようやく着いた。では、開けるとしよう。」


 ブロンが壁を押すと、目の前の壁は音を立てて崩れ落ちる。そこからは、外の光が差し込む。


 「ほほほ。これで全てよし。町は滅び、私は大金を手に入れて優雅に暮らす。完璧!」


 ブロンが醜い笑みを浮かべると、外へと出る。これから訪れるであろう、自身の輝かしい未来に思いを馳せて。


 だが、そんな未来など、訪れることはなかった。




 「こ・・・これはどういうことだ・・・!?」


 ブロンは目の前の光景が信じられなかった。自身を護衛してくれるはずだった【闇の手】の人間達が、皆もの言わぬ屍と化していたのだ。


 「・・・どうなっている!?・・・何故、皆死んでいるんだ!?こいつら、腕利きの工作員ではなかったのか!?」


 「ようやく来たか。待ちくたびれたぞ。」


 「!?」


 突然の声に、ブロンは声のした方を向く。そこには、背中に巨大な剣を二本背負いだ男が立っていた。ベリオンである。


 「お前が町長か。・・・驚いたなオークだったとは。」


 「お・・・オークだと!?ふざけるな!私は人間だ!」


 自身をオークと言うベリオンに、怒り心頭のブロン。だが、ベリオンはそんなことはお構いなしに、ブロンに詰め寄る。


 「・・・まあ、そんなことはどうでもいい。貴様には、己の過ちの償いをしてもらうとしよう。」


 「償いだと?何のことだ?」


 「とぼけるな。貴様がこいつらと組んで、町を異常発生で滅ぼそうとしたことだ。」


 「!?さ・・・さて、何のことかな・・・?」


 ブロンは、目を泳がせてとぼける。だが、ベリオンの話は終わらない。


 「では、何故貴様はここにいる?大量の金貨を抱えて。」


 「そ・・・それは・・・。」


 「まさか、財産だけ持って逃げようという魂胆だったか?」


 「言いがかりだ!証拠がどこにある!」


 どう見てもここにいることが証拠だというのに、白々しく吐き捨てるブロン。だが、次の瞬間、ベリオンの後ろから現れた人物を見て、ブロンは目を見開く。


 「・・・町長。」


 なんと、ベリオンの後ろから現れたのは、冒険者ギルド支部長のカミーラだった。ここにいるはずのない人物の登場に、ブロンは、完全に取り乱してしまう。


 「な!・・・貴様!何故ここに!?魔物共に殺されたのでは・・・!?」


 「変なことを言いますね。魔物は町に来てはいません。」


 「馬鹿な!あの町の冒険者共では抑え切れんほどの魔物の異常発生が起きたんだぞ!そんなわけ・・・!」


 「・・・本当に馬鹿な奴だ。」


 「!!!」


 「異常発生は起こらないんですよね?何故、異常発生が起こって私達が死んでいると?」


 「うぐ・・・!」


 「最初から貴様の嘘は分かっていた。だが、こうもアッサリボロが出るとは・・・。」


 ベリオンは、ブロンの頭の悪さに思わず苦笑する。全てを知られたブロンは、後退りをする。


 「ま・・・待て!私は悪くない!これは、全部奴らの考えたことだ!私は、仕方なく・・・!」


 「・・・仕方なく、大金に目が眩んだ、か。」


 ベリオンは、ブロンの足元に革袋を投げ捨てる。革袋の口が開き、中から金貨が溢れ出す。【闇の手】がブロンに渡すはずだった報酬である。


 「!いや・・・これは・・・!」


 「往生際が悪いぞ!」


 すると、いついたのか、ミランとフレム、フロストが現れ、ブロンを拘束する。


 「は・・・離せ!私を誰だと思っている!町長だぞ!こんな無礼なことをして、ただで済むとでも・・・!」


 「・・・状況が分かっていないようだな。貴様を守ってくれるものなどここにはいない。貴様の権力も地位も、ここでは何の意味もなさない。貴様の命は、俺達が握っている。」


 「!私を・・・殺すというのか・・・!?」


 ベリオンの言葉に、ブロンの顔は青ざめる。


 「安心しろ。チャンスをくれてやる。お前なら、生き残れるかもしれんぞ。」


 「!な・・・何をすればいい!?何でもする!」


 まだ生き残るチャンスがあることを知り、ブロンの顔に希望が戻る。だが、彼には、自身を拘束する三人の不敵な笑みが見えていなかった。


 「簡単だ。貴様の全財産、食え。」


 「・・・は?」


 「聞こえなかったか?お前の全財産、つまりは荷台の金貨を全部食え。それで許してやろう。」


 「な・・・何を・・・!?」


 「金が死ぬほど好きだと聞いたぞ。だから、好きなだけ食わせてやる。最高だろう?自分の一番得意な方法で生き残れるのだからな。」


 「ま・・・待て・・・!」


 「では始めよう。」


 ベリオンの言葉に、三人は、ブロンを立ち上がらせる。そして、ベリオンは、荷台の袋を手に取ると、口を開く。そして、それをブロンの口元へと持っていく。


 「!!!」


 ブロンは口を閉ざそうとする。だが、ミランに口を開かされてしまう。


 「ががが・・・!」


 「さあ、まずは一袋目だ。」


 ベリオンは、ブロンの口に勢いよく金貨を入れていく。ブロンは何の抵抗もできず、金貨を呑み込むしかなかった。


 「うぐぐぐぐ・・・!」


 ブロンは、苦しみながらも金貨を全部呑み込んでいく。そして、袋全ての金貨を呑み込むことができた。


 「げはは・・・!・・・もう・・・無理・・・!」


 「まだ一袋目だぞ。袋は、まだまだあるんだからな。」


 「や・・・やめて・・・許してくれ・・・!」


 「・・・ベリオン。どうやら町長様は、物足りないようだぞ。」


 「そうだね。一袋ずつではなくて、一気にやれないかな?」


 「無茶を言うな。一袋ずつでなければ、入れられない。さて、次だ。」


 「・・・もう・・・やめてくれ・・・!」


 ブロンは、必死に懇願するも、ベリオンはやめることはなかった。結局、ブロンは二袋目の金貨を呑み込んだ際、腹が破裂し、死に至るのだった。

今回の事件の犯人達は全滅しました。

今後出てくる犯人もこんな目に遭います。

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