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救世主魔王 魔勇者ベリオン  作者: レイス
第1章 魔勇者の資金稼ぎ編
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第46話 魔勇者犯人を断罪する

 「!ベリオン!戻ったか!」


 集合地点に既にいたフレムとフロストが、戻ってきたベリオン達に駆け寄る。二人共、ベリオンの無事な姿に喜んでいた。


 「無事にワイルドバードの縄張りも制圧できたみたいだね。大丈夫だとは思っていたけど、心配していたよ。」


 「心配は無用だったぞ。この男、一般的な戦士の枠には収まらん。剣ばかりか、凄まじい弓の使い手だった。」


 「弓!?僕の時は、体術だけで圧倒していたけど・・・まだ隠し玉があったんだね。」


 「確か、魔法の適正もあるそうじゃないか。しかも、全属性。お前、絶対大物になれるぜ。」


 フロスト達は、口々にベリオンの凄さを称える。当のベリオンは、そんなものに興味ないといった様子だったが。


 「それ、お土産だ。」


 ベリオンは、ワイルドバードの縄張りで確保したボロ雑巾のようになったフードの男を地面に下ろした。いや、落としたというのが正確だが。


 「・・・これで全員だな。」


 フレムの笑顔が一転、厳しいものに変わる。フロストも、険しい目で男を睨む。いや、二人だけではない。ここにいる冒険者全員の表情が、生き残れてよかったという喜びのものから、怒りや憎しみの籠った表情に変わった。


 フロストは、ベリオンの連れてきた男を引きずり、他の男達の許に連れて行く。既に、他の男達は、同じくズタボロの状態で一か所に集められていた。男は、仲間達の姿を見、朦朧とした意識から覚醒し、愕然とした。


 「・・・さて、何か言いたいことはあるか?」


 ベリオンは、最初に捕らえた男を蔑んだ目で睨む。男は、恐怖と絶望の入り混じった表情でベリオンを見ていた。


 「・・・嘘だろ・・・本当にやりやがった・・・!」


 「言ったはずだ。俺がいた時点で、お前達は負けていた。・・・さて、それでは尋問を開始するとしよう。」


 ベリオンは、拳を鳴らす。男達、全員恐怖で身を縮こませる。


 「これから俺が質問する。答えなければ、全員に苦痛を与える。」


 「な・・・何を・・・!」


 男の一人が何か言おうとする。だが、言い終わる前に、ベリオンはその男の足を圧し折る。


 「ぎゃああああ!?」


 「勝手な発言は許可しない。・・・お前達にそんな権利はない。」


 ベリオンは、有無を言わさぬ態度で男達に告げる。周囲の冒険者達も、全員が殺気立ち、男達にプレッシャーを与える。


 「では、最初の質問だ。お前達は何者だ?」


 「お・・・俺達は・・・さるお方の配下で・・・!」


 ズバッ!


 ベリオンは、話していた男の足を切り落とす。


 「ぎゃああああ!?」


 「さるお方など隠し立てするな。名前か立場を言え。知らんのなら知らんでもいい。・・・いや、さるお方などと言うには、知っているか。・・・話したくないなら構わないが、そのままだと失血死するぞ。」


 「わわわわ分かった!いいいい言うから・・・!」


 「・・・。」


 ベリオンは、自身のポーションを男の足にかける。男の足は、何事もなかったかのように元に戻った。


 「・・・それで、誰の配下だ?」


 「・・・帝国宰相・・・マクダフ・オーエン・・・!」


 「「!?」」


 男の言葉に、冒険者達は息を呑む。一方、ベリオンは、納得した様子で頷いた。


 (・・・なるほど。だから、ゴブリンがダゴンを持っていたわけか。予測はしていたが、まさか宰相が関与していたとはな・・・。)


 「つまり、宰相の命を受けて今回の異常発生を引き起こしたわけか・・・。だが、単なる使いっ走りではないだろう。何かしら組織に属しているのではないか?」


 「あ・・・ああ。俺達は、宰相様直属の工作機関【闇の手】の人間だ。」


 「【闇の手】?」


 男の言葉に、ミランが反応する。


 「?どうした、ミラン?」


 「・・・いや・・・何でもない・・・。」


 「・・・では、次の質問だ。どうやって異常発生を引き起こした?」


 「宰相様から与えられた、秘術を使った。」


 「秘術?それは、何だ?」


 「それは・・・俺達も分からない・・・。俺達は、これを使えと言われて使っていただけだ・・・。術の原理も知らなければ、どのようなものかも知らされていない。ただ、宰相様は、どこかで手に入れた秘術で、異常発生を引き起こせるとしか・・・。」


 「・・・そうか。」


 ベリオンは、彼らの様子から、嘘を吐いていないと判断する。その判断は間違っていなかった。本当に男達は、この術がどのようなものか知らなかったのだから。ただ、異常発生を引き起こす術としか聞かされていなかったのだ。


 「次の質問だ。何故このようなことをした?何故この町を狙った?」


 「・・・冒険者の信用失墜のためだ。帝国は、冒険者ギルドを併合しようとしている。だが、冒険者ギルドはこの世界に大きな影響力を持つ。簡単にはいかない。だから、冒険者の信用を失わせ、併合する口実を作るのが目的だった。町を異常発生から救えなかったというスキャンダルは、信用失墜に大いに利用できる。これを足掛かりに、第二第三の異常発生を起こすつもりだった。それに、この町は冒険者の町だ。ここが落ちれば冒険者にとって二重の意味で痛手になる。」


 その言葉に、冒険者達が殺気立つ。ベリオンは、彼らの殺気を感じつつ、尋問を続ける。


 「冒険者の町なら、他にもあるだろう。何故、この町を狙った?」


 「理由など知るか。宰相様は、この町を狙えとしか言わなかった。・・・まあ、推察はできるがな。」


 「ほう?」


 「この町周辺の魔物の縄張りが、術に都合のいい分布だったからだろうな。宰相様が言うには、条件がいるらしいからな。・・・それが何かは言わなかったが。」


 「なるほど。」


 「それと、この町の戦力が少なかったからだろう。他の冒険者の町は、Aランク冒険者を筆頭に、強い冒険者が大勢いるからな。その点、この町には最大Bランク冒険者までしかいない。狙うには絶好だったのだろう。・・・想像だがな。」


 「なるほど。お前達は、この町の戦力を知っていたわけか。だから、俺の存在を知って驚愕したのか。情報にない俺の存在を。」


 「・・・お前はいったい・・・?」


 ゲシ!


 ベリオンの正体を聞き出そうとした男を、ベリオンは腹に蹴りを入れ、黙らせる。


 「ぐへ!」


 「お前達に発言の権利はない。俺の正体など、どうでもいいことだろう。ただのFランク冒険者だ。」


 「お前のようなFランク冒険者がいるか!」


 ドス!


 「げっ!?」


 ベリオンは、反論した男の腹を短剣で刺した。


 「!?」


 ミランはそれを見てギョッとする。それは、自分の短剣だったのだ。ミランが慌てて確認すると、二本ある短剣のうち、一本がなくなっていた。


 (・・・いつ盗った?・・・まるで気が付かなかった・・・!)


 「いい加減に学習しろ。ポーションの数は限られているんだ。」


 そう言って、ベリオンは短剣を引き抜くと、男にポーションをかける。


 「・・・すまんな。俺の剣では痛めつけるのに向かんから使ってしまった。」


 ベリオンは、すまなさそうに謝ると、刀身を拭き、ミランに短剣を返す。


 「・・・いや、構わない。」


 「・・・では、次だ。お前達の他に、仲間はいるか?」


 「い・・・いるこそはいる!あと・・・数人ほどだ!」


 「つまり、あと数人はいるわけか。どこにいる?」


 「こ・・・この町から離れた場所の・・・合流地点だ!そこで合流して、撤退する計画だった・・・。」


 「どこの辺りだ?」


 「・・・ここだ。」


 ベリオンが見せた地図の一か所を、男は足で示す。


 「ここか・・・。ここなら確かに異常発生が起きても逃れられそうだな。・・・さて、では最後の質問だ。・・・町長は今何をしている?」


 「!?」


 ベリオンの言葉に、男達の顔に緊張が走る。同時に、ミランや他の冒険者達も驚愕する。


 「聞こえなかったか?あの町の町長も、お前らの仲間なんだろう?今どこで何をしている?」


 「・・・どうして町長も仲間だと・・・!?」


 「・・・。」


 「!?だ・・・脱出している!町長は隠し通路を使い、町を出ている!異常発生が問題なく起これば、今頃町に魔物が来る予定だった!だから、既に脱出している!」


 無言で殴ろうとするベリオン。それを見て、慌てて男は理由を話す。


 「・・・そういうことか。支部長の話を聞いておかしいと思っていた。いくら証拠がないとは言え、異常発生をここまで軽視するなどおかしい。やはり、最初からグルだったか。」


 「・・・ベリオン、じゃあ、町長はこうなることを知っていて、町の兵を出さなかったというのか!?」


 話を聞いていたミランが、憤慨した様子でベリオンに尋ねる。ベリオンは何も言わず、ただ頷く。


 「・・・あの豚野郎が・・・!」


 「隠し通路の出口はどこだ?」


 「ご・・・合流地点だ!町長を回収して撤退するために、そこを合流地点にしたんだ!」


 「・・・そうか。これくらいだな。」


 ベリオンは、男達から聞き出したいことを聞き終えると、冒険者達の方を向く。


 「さて・・・冒険者の諸君。こいつらの処遇だが、これは、諸君に委ねようと思う。俺の無理を聞いてくれた諸君には、その権利がある。・・・何が妥当だと思う?」


 「殺せ!」


 「絶対に許せるか!」


 「有罪だ有罪!」


 「ぶち殺せ!」


 ベリオンが、冒険者達に犯人達の処遇を声高に尋ねると、冒険者達は男達を殺す、またはそれに類する言葉が怒号となって飛び交う。


 「そうだな。こいつらがやったことは、万死に値する。下手を打てば、諸君も町の人々も皆殺しにされるところだった。では、判決は死刑!」


 ベリオンからの死刑宣告に、男達は震え上がる。


 「それで、こいつらの処刑の方法だが・・・。」


 「俺がやる!」


 「俺にやらせろ!」


 「いいや!俺だ!」


 冒険者達は、自身が男達を始末すると言い出す。このままでは、それで争いが勃発しそうな勢いだった。


 「・・・ベリオン。このままでは収集が付かないぞ。どうする?」


 「実はだな、こいつらに相応しい処刑方法を考えていた。・・・直接手にかけることはできなくなるが・・・。」


 「?どんな方法だ?」


 「・・・。」


 ベリオンは、ミラン達に耳打ちする。それを聞いたミラン達は、一瞬驚くも、納得した様子で、冒険者達の所へと行く。彼らが冒険者達に何かを伝えると、冒険者達は一斉に静まり返る。が、それも一瞬のこと。冒険者達は、不気味な笑みを浮かべていた。


 「・・・どうやら賛同してくれたようだな。自ら手を下すのとは違うが、奴らに対してこれ以上の方法はあるまい。」


 「・・・おい・・・俺達を・・・どうする気だ・・・!?」


 異様な雰囲気に、男の一人は耐え切れず、ベリオンに自分達がこれからどうなるのか尋ねる。


 「お前らに相応しい方法で処刑する。・・・お、持ってきたな。」


 冒険者の一人が、大きな革袋を担いでベリオンの許へとやってきた。


 「やはりあったか。さすがは冒険者ギルド。」


 「新米冒険者用にとってあったものだ。こんな形で役に立つとは思わなかったがな。」


 持ってきた冒険者は、嫌らしそうな笑みを受けベて言う。


 「お・・・おい!何だそれは!?」


 「これは、魔物寄せの餌だ。かなり強力な餌だ。ばら撒けば、あっという間に魔物が群がる。」


 「そ・・・そんなものいったい・・・どうする・・・!?」


 「・・・こうするんだ。」


 ベリオンは、革袋の中の餌を男達にかける。男達は、餌塗れになる。


 「べっ!べっ!な・・・何しやが・・・!」


 「これだけでは不安だな。」


 そう言って、ベリオンは男達の身体を軽く切り付ける。傷口からは、僅かに血が流れる。


 「いてっ!おい!何のつもり・・・!」


 「・・・これだけの餌と血・・・魔物を呼び寄せるには十分だな。」


 「!?まさか・・・!」


 ベリオンの、いや、冒険者達が自分達に行おうとしている処刑方法に、男達は戦慄する。


 「お前達は、魔物の餌にする。異常発生を引き起こした連中を裁くのに、これ以上相応しいものはないだろう?」


 「ひっ!や・・・やめてくれ・・・!」


 「・・・お前達は、何の関係もない町の人間と冒険者達を殺そうとした。上司の命令で動いただけなのは分かるが・・・お前達の罪は許されない。自分達が魔物に食われる報いを受けるんだな。」


 そう言うと、ベリオンは彼らから離れる。冒険者達も、その場から姿を消す。


 しばらくして、森の奥からウルフが姿を見せる。いや、ウルフだけではない。グリズリー、ワイルドバードと、この町周辺を縄張りとする魔物達が集まってきたのだ。異常発生を食い止めたとはいえ、魔物を完全に全滅させたわけではない。生き残った魔物達は当然いる。異常発生が起きた直後の魔物達は飢えている。仲間や他の魔物が多すぎるせいで、満足な食料が確保できないからだ。冒険者達に撃退され、さらにその空腹は強まっている。そんなところに、生きのいい肉が転がり込んでくればどうなるかは、自明の理である。


 「や・・・やめろ・・・来るなー!」


 男達は、悲鳴を上げて命乞いをするも、魔物達が聞き入れるはずもなく、彼らは何の抵抗もできないまま、魔物達の餌食となった。そして、男達を食い終わった魔物達を、冒険者達は恨みを晴らすかのように始末するのだった。

実行犯の始末は終わりました。次回は町長を始末します。

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