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救世主魔王 魔勇者ベリオン  作者: レイス
第1章 魔勇者の資金稼ぎ編
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第42話 魔勇者ロード達を倒す

 「・・・さあ、お前達。俺と戦え!」


 ベリオンは単身、ロード達に向かって行く。


 「支援魔法をかけろ!ベリオンを少しでも援護するんだ!」


 「パワーアップ!」


 「アーマーアップ!」


 「スピードアップ!」


 暫定リーダーの指示を受け、サポーターはベリオンに支援魔法をかける。


 (・・・無理に支援してもらう必要もないが・・・せっかくの好意だ。ありがたく受け取っておこう。)


 ベリオンは、強化されたスピードで一気に間合いを詰めていく。


 「ぎゃー!」


 ロードはセージに何かを命じる。すると、セージは呪文を唱える。それは、土属性の上級魔法だった。地面から広範囲に亘って突き出た岩の波が、ベリオンへと向かっていく。


 「!アースブラストだ!サポーター!防御魔法を・・・!」


 「必要ない!防御はお前達だけに展開しろ!」


 ベリオンは、上級魔法のアースブラストに怯むことなく、剣を手に突っ込む。そして、魔法を剣で切った。


 「!?」


 「・・・マジか・・・!?上級魔法も切れるのかよ・・・!?」


 「!こっちに来るぞ!」


 だが、ベリオンの通り道は確保されたが、それ以外の範囲は影響を受けず、冒険者の方へと向かっていく。


 「ま・・・マジックプロテクション!」


 サポーターが数人がかりで防御魔法を展開してアースブラストを防ぐ。防御魔法にヒビが入るが、ギリギリのところで持ち堪えた。


 「あ・・・危なかった・・・!」


 「・・・なんて威力だ・・・!これだけの人数でやってようやく止められるなんて・・・!」


 「・・・ベリオンの言ったとおりだな。俺達が入る余地なんてない・・・。」


 「Cランク冒険者とサポーター、ヒーラー以外は全員撤退!急げ!さっきのを見て分かっただろ!俺達がいても足手まといだ!」


 暫定リーダーは、サポーターやヒーラー以外のDランク以下の冒険者に撤退を指示する。セージの魔法の威力とそれを諸共しないベリオンの実力を見た冒険者達は、素直に指示に従う。


 (・・・自分の分は弁えているようだな。これで心置きなく戦える。)


 ベリオンは跳躍し一気に間合いを詰めようとする。


 「ぎぎ!」


 すると、今度はハイプリーストが防御魔法を展開する。物理防御の上級防御魔法、グレートプロテクションである。下級魔法のプロテクションの比ではない強度を誇る魔法である。


 「・・・やはり、上級か。だが、相手が悪かったな!」


 ベリオンは、結界に剣を振り下ろす。普通の攻撃なら、アッサリと弾かれてしまうだろう。だが、ベリオンの剣は、易々と結界に亀裂を入れ、叩き割ってしまう。


 「!?」


 「・・・結界を破るコツは、ぶつける瞬間に力を込めることだ。対防御魔法の常識だぞ。」


 「ぐおおおお!」


 ロードは【支配者の咆哮】で、周囲のゴブリン達を鼓舞する。それに呼応し、ガーディアンとヒーローが動き、セージとハイプリーストは再度詠唱を開始する。


 「こい!相手になってやる!」


 ベリオンは、ゴブリン達を挑発する。まず、ヒーローが仕掛けてきた。巨大な大剣を振り回し、ベリオンに切りかかる。


 「があ!」


 そこに、ハイプリーストが支援魔法をかけ、ヒーローのステータスを上げる。一瞬で、ヒーローの動きがよくなった。


 (【支配者の咆哮】に加え、支援魔法の上級魔法ハイパーオールライズを使ったな。凄まじい強化だ。下級の支援魔法での強化では勝てないな。普通なら・・・・。)


 ヒーローは、目にも見えないほど素早い攻撃をベリオンに繰り出す。だが、ベリオンはそれを、ことごとくかわしていく。避けた場所は、地面が剣圧で抉れてしまうほどだが、ベリオンは涼しい顔をしてそれを軽やかに回避する。


 「・・・なんて奴だ・・・!見えないほど速い攻撃を、苦も無く回避している・・・!」


 「ベリオンには、見えているのか!?支援魔法に圧倒的な差があるっていうのに・・・!?」


 「・・・いや、違う。支援魔法の差でも覆せないほど、ベリオンが強いんだ・・・!」


 残った冒険者達は、ベリオンの戦い方に固唾を呑んでいた。目の前で見られる次元の違う戦いに、完全に圧倒されていたのだ。


 「ぎぎぎ!」


 ヒーローが仕留められないことに業を煮やしたのか、ガーディアンは自身も剣を手に切りかかる。ハイプリーストは、もちろんガーディアンにも支援魔法をかける。


 強化された二体のゴブリンは、同じくらいのスピードでベリオンを攻撃する。だが、二体になろうとベリオンを捉えることはできなかった。ただ、空しく空を切るだけだった。


 「ぎゃぎゃぎゃ!」


 今度はセージが魔法でベリオンを攻撃する。土属性の上級魔法であることは変わらないが、今度は範囲を絞って威力を重視した魔法グランドランスである。地面から、巨大な槍が突然突き出しベリオンを狙う。


 「おっと。」


 だが、分かっていたとばかりにベリオンはそれを避ける。


 「!?」


 「何故分かったか、といった顔をしているな。味方が多い状態の乱戦で使える魔法となれば、範囲が狭い魔法に限られる。そして、ここは森だ。なら、使う魔法はさらに限られる。そこまで絞れば、どんな魔法を使ってこようと回避もできる。」


 「・・・ぎ!」


 ロードは、再びゴブリン達に指示を出す。すると、ヒーローとガーディアンは攻撃をやめ、ベリオンと距離を取る。


 「ぎゃあ!」


 今度はセージは、範囲の広い風属性の魔法で攻撃してきた。これも上級魔法である。


 「かわせなければいいと思ったか?甘いぞ!」


 ベリオンが剣で周囲を一閃すると、風の魔法は易々とかき消された。


 「!?」


 「さあ、今度はこっちの番だ!」


 ベリオンは、動揺するヒーローとガーディアンに切りかかる。ガーディアンは、ヒーローを守るべくカバーする。


 「無駄だ!」


 ベリオンは、盾に切り付けるが、今までとは違い、盾は切れず、そのまま攻撃は止まってしまう。


 「ぎ!」


 それを見たヒーローは、ベリオンの攻撃が止められたの見て、反撃に移る。巨大な剣が、ベリオンに向けて振り下ろされる。


 「!危ない!」


 暫定リーダー達は、ベリオンがやられると思い、思わず声を上げる。だが、その剣がベリオンを切ることはなかった。なんと、ヒーローの両腕が、切断されていたのだ。


 「!?ぎゃああああああ!?」


 切られた腕から夥しい血を流し、ヒーローはあまりの痛みに絶叫する。


 「・・・うるさいぞ。」


 間髪入れず、ベリオンはヒーローの首を刎ねる。ヒーローの頭部が宙を舞い、地面に落ちた。


 「!?嘘だろ!?いつ切ったんだ!?」


 「!おい!あれを!」


 冒険者の一人が、ガーディアンの方を指差す。なんと、ガーディアンも、盾諸共胴体を切られていたのだ。


 「・・・どうなってるんだ!?止められたんじゃないのか!?」


 「・・・わざとだ。初撃はわざと止められる・・・・・程度・・の攻撃をしたんだ。奴らを誘うために・・・。」


 「・・・マジかよ。」


 自分達が気付かぬうちに、ヒーローとガーディアンを瞬殺したことに、冒険者達は驚愕する。


 「・・・お前達も邪魔だな。」


 そう言い終わるか否や、ベリオンはセージとハイプリーストの側まで移動していた。


 「!?」


 「ロードと差しでやりたい。お前達には消えてもらおう。」


 そして、その二体もベリオンによって切り刻まれていた。


 「・・・後はお前だけだな。」


 取り巻きを全滅させたベリオンは、ロードの方を向く。ロードの方は、自身の配下を殺されたことで、誰が見ても分かるほど怒りを露わにしていた。剣を手に、ベリオンに切りかかる。ベリオンはそれを、自身の剣で受ける。間髪入れず、ロードは攻撃を続ける。ベリオンは、それを器用に受け切る。


 「やはりロードだな!強さは他のゴブリンとは違うようだ!・・・?」


 ベリオンは、自然とロードの使う剣に目をやっていたが、その剣に見覚えがあるように感じた。


 (・・・あの剣・・・どこかで見たような気がするな。・・・アユム?・・・ブライ?・・・いいや、両方の記憶にあるぞ?)


 ベリオンは、この剣がアユムとブライ双方の記憶にあることに気付いた。そして、ようやくこの剣の正体を思い出した。


 (・・・!そうだ!あれは、大昔の魔族の戦士が使ったとされる魔剣ダゴンだ!)


 魔剣ダゴン。かつて、魔族の英雄が使用し、多くの戦いで勝利を収めてきたとされる魔剣である。その英雄の死後、当時の魔王に献上され、王城の宝物庫に保管されることになったのだという。


 (だが、アユム達が魔族を滅ぼした際、魔族の所有する武具は回収され、王国が管理していたはず。何故こんな所に!?)


 ベリオンは、ダゴンがこんな所にある理由が分からなかった。アユムの記憶が正しければ、こんな所にあるはずのない剣なのだから。


 「ぎぎぎぎ!」


 ベリオンが考え事をしている間も、ロードは攻撃の手を緩めることなく続ける。ロードの剣術は、巧みな、それでいて力強いもので、並の剣士なら簡単にやられてしまうだろう。だが、ベリオンはそれを、ことごとく防ぐ。


 「・・・その魔剣、どこで手に入れた?」


 「ぎゃぎゃぎゃ!」


 「・・・答える気はない・・・か。まあ、ゴブリンとの意思疎通は不可能か。」


 「ぎゃあ!」


 「!」


 突然、ベリオンの周囲に風の渦が巻き起こる。この風が魔法によるものだとベリオンは直感した。


 「・・・魔法も使えるタイプか。しかも、上級だな。相当優秀なロードだな。」


 「ぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃあ!」


 ロードは勝利を確信したかのように笑う。だが、風がベリオンを切り裂くことはなかった。風がどんなにベリオンに吹き付けようと、ベリオンはダメージを受けなかった。


 「!?」


 「この程度の魔法では、俺にダメージなど与えられん。切ってもよかったが・・・これ以上長引かせる必要はない。お前の力のほどはよく分かったからな。そろそろ仕舞いだ・・・!」


 そう言い終わるや否や、ベリオンはロードの四肢と首を切断していた。ロードは、自身の身に何が起きたか分からぬまま、絶命した。

ちなみにブライの使っていた魔剣の名はハスターです。

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