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救世主魔王 魔勇者ベリオン  作者: レイス
第1章 魔勇者の資金稼ぎ編
39/49

第37.5話 異常発生の裏で

敵視点の話になります。

 「・・・首尾はどうですかな?」


 ネイバーの町の町長の屋敷の一室にて、町長のブロンは椅子に座り、黒ずくめの集団と話していた。集団は、全員フードを被り、顔を窺うことができなかった。


 「順調です。冒険者共がいつ来ようと、魔物共をけしかけられます。」


 黒ずくめの一人が、町長にそう告げる。声からして男のようである。


 「結構。順調のようでよかった。」


 「それよりも、そちらはどうなのですか?」


 「問題ありません。冒険者共だけが行くように仕向けられました。異常発生の証拠なしということで、兵士は一切使わせません。あなた方の要望通りですよ。」


 町長は、邪悪そうな笑みを浮かべて言う。


 「結構。今回の作戦は、冒険者ギルドの信用失墜が目的。町の兵力を共に使われては防がれる恐れがありますからな。」


 「まあ、あれだけの数なら、仮に町の兵力があったとしても、返り討ちに遭うのが関の山でしょうが。」


 黒ずくめの一人が、口元に嫌らしい笑みを浮かべて言う。


 「ははは!それにしても、あの狐女の悔しそうな顔、今思い出しても愉快だ!亜獣人のくせに、私に意見などするからだ!」


 「まったくです。この町も、随分と穢れてしまいましたな。町を歩けば、異種族がよく顔を見せる・・・。しかも、町の人間の中にはそれを許容しようと思う輩もいる。・・・不愉快な話です。」


 「だからこそ、一度この町の腐った住人達を異常発生で一掃する。そして、その後に人間だけの町に作り直す。素晴らしいですな。」


 町長は、町の人間が大勢犠牲になるであろうというのに、まるで意に介しておらず、そんな風に宣った。


 「しかし、あなたは仮にもこの町の町長でしょう。良心は痛まないのですかな?」


 「良心?そんな一文にもならないようなもの、何の意味もありませんよ。たんまりと褒美がもらえるというのなら、私は町より褒美の方を取りますね。それに、私は自分の命が一番大事ですからな。町の人間を救うためにあなた方に逆らって死ぬなど真っ平です。あなた方の上司に逆らうなど、馬鹿がすることでしょう。そもそも、私は町長。町の長ですよ。私のために彼らが死ぬのは当然でしょう。寧ろ、長のために死ぬるなど名誉なことでしょう。」


 とても、町長の言葉とは思えないようなことを、町長は平気で口にする。そう言って町長は、机に置いてあるワインをグラスに注ぐ。


 「しかし、あなたはいつ逃げるのですか?今姿を消せば、冒険者ギルドに不審がらせる恐れがあります。必要なら、こちらで手引きを・・・。」


 「問題ありません。この屋敷には、避難のための隠し通路があります。あれを使って私は、町の人間が気付かぬうちにこっそり逃げるつもりです。」


 「ほう。そんなものをいつ作ったのです?」


 「この屋敷を作った時にですよ。異常発生が起きて町に魔物が迫った時、私だけ・・が避難する用にね。まさか、本当に使う時がくるとは思いませんでしたがね。」


 「抜け目のない方だ。」


 黒ずくめの一人が、皮肉っぽく言う。


 「まあ、手引きしていただけるのなら、出口付近で迎えをお願いします。その分の代価はお支払いしますよ。」


 「いいえ、結構です。我々は、仕事をしているだけなので。」


 「がはははは!真面目な方々だ!こんないい部下を持って、あなた方を上司は幸せですな!羨ましい限りですな!」


 「・・・では、我々はこれで。あなたへの約束の報酬は、ことが終わった後にお渡ししましょう。」


 「ありがとうございます。あなたの上司には、よろしくと伝えてくださいね。」


 「分かりました。」


 黒ずくめの集団は、部屋から出て行く。残された町長は、ワインを片手に醜い笑みを浮かべていた。


 「・・・帝国の宰相様直々のご命令とは・・・。あんな薄汚い冒険者ギルド風情を潰すのに、何でここまでするかは知らんが、私には興味がない。金さえもらえれば、な・・・。がはははは!」


 町長はワイン仰ぐと、とても下品な笑い声を上げる。それは、人間の醜さを凝縮したような酷いものだった。

露骨に死亡フラグ立てる敵達。

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