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救世主魔王 魔勇者ベリオン  作者: レイス
第1章 魔勇者の資金稼ぎ編
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第35話 魔勇者魔法の適正を知る

 ロナとロミは、帝都から離れた小さな村の出身で、幼い頃からいつも一緒に行動していたという。


 ある時、二人には高い魔法の資質があることが判明し、村の人達は彼女達の才能を伸ばそうと考え、色々やりくりして資金を貯め、魔法学校への入学を薦めた。二人とも魔法に興味があり、村の人達の期待に応えたいとの想いから、魔法学校への入学を決めた。


 そして、入学したのだが、二人とも学校では、貧しい村出身ということもあり、色々差別的な扱いを受けたのだという。それでもめげずに研鑽に励んでいたが、最初にロナの方がつまずいた。魔法があまりうまく使えなかったからだ。もっとも、これは教師の陰謀であることが今分かったが。


 そして、ロミの方も行き詰まっていた。適性のあるはずの回復魔法がまったく上達しなかったのだ。


 魔法には、適正と呼ばれるものがあり、適正がなければ魔法を使うことができない。火魔法は、火属性の魔法適正がなければ使えないのだ。特殊な手段を用いることで、無理に使うこともできなくはないが、その反動として、体調を崩したりするのだ。強化魔法や空間魔法のように適正がなくても使える魔法も一応あるが、そういった魔法は大半が誰でも使えるため稀少がられず、魔法使いの中には魔法として認めていない者もいるのだ。ただし、空間魔法のように高度な技術のいる魔法は例外だが。


 だがロミは、適正があるはずの回復魔法のレベルが上がらず、その上魔法を使えばすぐ倒れてしまう。こんなことが何度も続き、彼女も劣等生の烙印を押されてしまったのだ。


 それから一年後、自身の才能に見切りを付けたロナは、退学を決意。冒険者になることを決めた。それをロミに相談すると、ロミもロナがやめるのならばやめると言い、共に退学したのだという。そして、現在に至る。


 「・・・なるほどね。せっかく入学できても、生まれで差別されたというわけね。よくあることね。でも、あなた達を入学させるためにお金を用意してくれるなんて、優しい村の人達ね。私なんて、そんな余裕もなかったから。」


 「・・・でも、結局私もロミも、期待に応えることができませんでした。」


 ロナは、心底悔しそうな様子で俯く。この世界で学校に入学するのは簡単ではない。かなりの大金が必要なのだ。小さな村の人間が用意するなど容易なことではない。それだけ期待されていたのだ。だが、結果は一年で退学だった。そんな情けないことを、応援してくれた故郷の人間には話すことができなかったのも、冒険者になろうと思ったきっかけだった。


 「魔法の才能があるなんて言われて・・・魔法に興味があったから・・・頑張ろうと思いましたけど・・・私達は駄目でした。」


 「お前は何を言っている?それは、お前のせいではない。お前に嘘を吹き込んだ教師のせいだ。お前が自分を無能だと断じるのは筋違いだ。」


 ベリオンは、ロナの自分を卑下する発言を否定する。ロナの件は、明らかに悪意ある者による陰謀だったのだ。否定して当然である。


 「・・・でも、ロナはともかく・・・私は適性があるはずの回復魔法がうまくいかないんです。こんなの・・・魔法使いとして・・・致命的です・・・。」


 今度はロミが、自身を卑下する発言をする。適性のある魔法を使うだけで倒れてしまうなど、彼女の場合はある意味でロナ以上に深刻だった。


 「その適正だが、本当に正しいのか?」


 だが、ベリオンはロミの発言に対して疑問を呈する。


 「・・・え?」


 「ロナの件でもあったが、お前も教師に嘘を吹き込まれている可能性もあるだろう。もう一度、適正を調べなおした方がいい。」


 「・・・でも、どうやって・・・?」


 「レベッカ。冒険者ギルドでも、魔法の適正を見ることは可能か?」


 「ええ、できるわ。だいたい、冒険者になる魔法使いの大半が、学校に通えなかった人間なのよ。適性を調べる方法は用意されているわ。」


 「よし。それで調べ直すとしよう。どこにある?」


 「受付のミレイが知っているわ。今日は、異常発生のせいで依頼がないから、手が空いていると思うわ。」


 「分かった。彼女に聞いてみることにする。」




 「これが、冒険者ギルドで使われている魔法適正を調べる魔道具です。」


 レベッカから適性を調べる魔道具の存在を知らされたベリオンは、ミレイに頼むことでそれを使わせてもらうことにした。


 ミレイが持ってきたのは、水晶の玉のようなものだった。


 「これに触れることで、その人がどの魔法が使えるかが分かります。」


 「・・・これは・・・俺はものの価値などよく分からんが、相当貴重なものではないか?」


 ベリオンは、その魔道具に見覚えがあった。それは、アユムがかつて、勇者になれる資質があるかの検査をされた際に触った魔法の適正を調べる魔道具にそっくりだったのだ。


 「鋭いですね。ですが、ご安心を。これは、国宝級魔道具【真実の水晶】のレプリカです。貴重ではありますが、それでも支部に最低二つはあります。」


 「・・・そうなのか。」


 「まあ、レプリカであるため、かなり大雑把なことしか分かりませんが、調べる分には問題ないと思いますよ。」


 「大雑把とは、どの程度だ?」


 「オリジナルなら、適正ばかりか、得意不得意も分かるそうですよ。」


 「ああ・・・適性があってもうまく使える魔法と使えない魔法があるらしいな。・・・師匠が言っていた。」


 「でも、適性を調べるだけならこれで十分でしょう?まず、私が試してみるわ。」


 レベッカは、水晶の手を乗せる。すると、水晶は赤い光を放った。


 「・・・私の適正は、火なの。それ以外の魔法は使えないわ。当然、回復魔法もね。」


 (・・・適性を示す光が出るのはアユムの使ったものと同じか。・・・だが、それ以上は分からないようだな。ミレイの言う通りだ。)


 「じゃあ、あなた達触ってみて。」


 「はい。・・・まずは私が。」


 レベッカに促され、まずはロナが水晶に手を乗せる。すると、水晶は赤と緑と白と桃色の光を放った。


 「!嘘!四属性!」


 「凄いわ!あなたの適性は、火と風と光と回復の四属性よ!」


 通常、魔法使いの持つ属性は、一つか二つなのである。三つ以上の属性を持つ魔法使いは重宝されるのだ。うまくいけば、魔法使いとして最高の地位である宮廷魔法使いも夢ではないのである。四属性となれば、将来が約束されたも同然と言われているのである。


 「え?・・・私、四属性持ちだったんですか?」


 驚愕するミレイと興奮気味のレベッカとは対照的に、ロナは困惑気味だった。自身が四属性も使えることを知らなかったのだ。


 「え?・・・まさか、火属性だけだと思っていたの?」


 「は・・・はい・・・。入学前に受けた適性試験の結果は、入学式が終わってから張り出されて、そこには火属性だけと・・・。」


 「・・・なるほどね。あなたが嘘を教えられた理由が分かったわ。あなたが四属性持ちだったからよ。」


 「え?・・・どういう・・・?」


 「プライドの高い連中にしてみれば、僻地の村人が四属性持ちだなんて認めたくなかったのよ。だから、嘘を教えてあなたを潰したのよ。」


 「そんな・・・。」


 (・・・まさか、そんな馬鹿馬鹿しい理由で彼女は潰されたというのか?・・・ふざけた話だ。)


 レベッカの推察に、ベリオンはなんとか顔には出さないようにしていたが、不快感を募らせた。


 「じゃあ、次はロミ。あなたの番よ。」


 「は・・・はい。」


 ロミは恐る恐る、水晶に手を触れる。すると、水晶は青と黄色と黒と白の光を放った。


 「!まさか・・・彼女も四属性!?」


 「嘘でしょう!?四属性持ちなんてほとんど現れないのに・・・それが二人も!?」


 「!?よ・・・四つ・・・!?」


 ロミは、自身の適性が複数あることは知っていたが、それは光と回復の二つとしか聞いておらず、四つもあることに驚きを隠せなかった。


 「・・・色的に言って、ロミの適正は水と土と闇、光だな。」


 「・・・ベリオンさんの言う通りです。どうやらロミさんは、回復魔法の適性がないようですね。あるのはロナさんの方です。」


 「・・・そう・・・だったんですか・・・。」


 「・・・レベッカ。どうやら俺は、勘違いしていたようだ。先ほどの彼女の体調不良は魔力欠乏ではなく、不適正な魔法を使ったことによる反動のようだな。この二つは、症状が似ているせいで間違われるらしい。・・・師匠の言葉だが。」


 「ええ。普通ならそんなことあり得ないけど、彼女達の生まれと資質を考えれば納得ね。彼女達は、お偉いさんにとって都合が悪かったから、潰された・・・・ようね。」


 「・・・。」


 (・・・不快な話だ。生まれが貧しい村人だから、優れた資質を持とうと認めず、騙して潰すだと!?そんなことが、何故まかり通る!?人間ではそれが当たり前なのか!?アユムが過去受けた仕打ちも、人間の世界では当たり前のことなのか!?・・・ふざけている・・・!)


 ベリオンは、怒り心頭だった。身分や生まれを理由にして、如何に優れた力を持とうと認めぬばかりかそれを潰す。そんなことがまかり通っている現実に、ベリオンは激怒していた。


 「・・・ベリオンさん?どうしたんですか?・・・怖い顔をして?」


 「・・・何でもない。・・・少し、考え事をしていただけだ・・・。」


 ベリオンは、平静を装って答える。だが、明らかに不機嫌そうな様子に、周囲は困惑していた。


 「・・・!そうだ、ベリオンさん。あなたも触ってみてはどうですか?」


 場の空気を変えようと考えたミレイは、ベリオンに水晶に触るよう促す。


 「?俺もか?・・・だが、俺は戦士だぞ?」


 「戦士でも、魔法の適性を持っている人はいます。それに、魔法を学ぶかどうかは本人の自由です。物は試しにどうぞ。」


 ミレイはベリオンに水晶を差し出す。


 「・・・まあいい。気晴らしにやってみるか。」


 ベリオンは水晶に手を置く。すると、水晶は虹色の光を放つ。


 「!まさか・・・全属性の適性を!?・・・間違いありません・・・!火、水、風、土、光、闇、回復・・・全部の属性が使えます!」


 「嘘・・・全属性なんて、賢者クラスじゃない!」


 「・・・ベリオンさんって・・・。」


 「本当に凄い人なんだ・・・。」


 ベリオンの結果に、ミレイとレベッカは驚愕する。ロナとロミに至っては、尊敬の目でベリオンに見ている始末である。


 「ベリオンさん!あなた、魔法も学ぶべきです!全属性の適正持ちなんて、現在、世界に五人もいないんですよ!それだけ貴重なんです!」


 「ええ!あなた、魔法戦士になればいいと思うわ!」


 「!?」


 ミレイとレベッカは、ベリオンに魔法を学ぶよう迫る。あまりの迫力にベリオンは困惑した。


 [ははは、迂闊だね、ベリオン。君は、アユムとブライの融合体だ。なら、双方の適正も融合していることを考えておかないと。]


 困惑するベリオンに、ルシフが愉快そうに告げる。


 (・・・そうだった。アユムは全属性の適正があって、大人どもは大いに驚いたんだったな。神に選ばれた子だとか云々言われていたな。それに、ブライの方も五属性持ちだったな。・・・忘れていた・・・。)


 [うっかりさんだな。・・・ていうか、ステータスを確認した時、気付かなかったのかい?]


 (アユムは、魔法より武術で戦う方をメインにしていたから、それなりのレベルまで学ぶにとどめ、魔法のメインは仲間に任せていたからな。ブライの方は・・・面倒臭くてほとんど学ばなかったからな。それに、俺自身も魔法にそこまで興味がないからな。必要だと思った時に覚えればいいと思ってそこまで気にしていな・・・。)


 [・・・二人が言っているけど、君は魔法を学ぶべきだと思うよ!いや、学ぶべきだ!]


 (!?)


 ルシフは、どこか怒った様子でベリオンに魔法を学ぶよう促す。ベリオンの方は、ルシフが怒る理由が分からず困惑するのだった。

実は、アユムの仲間のマギとセイも全属性持ちでした。これも、ベリオンがうっかりした理由です。


若干修正しました。

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