第28話 魔勇者ゴブリンの大群を一掃する
「さあ、お前達の力を見せてみろ!」
ベリオンは、ゴブリンの群れに切り込んでいく。先頭にいたゴブリン達は、何の抵抗も反応もできずにベリオンの大剣に切られていく。ベリオンの足元に、ゴブリンの斬殺死体が転がっていく。
「ギギギィ!」
負けじとゴブリン達は、盾を構えてベリオンの攻撃を防ごうとする。それと同時に、槍を持つゴブリンがベリオンに突いてくる。盾で攻撃を受け止め、その隙にベリオンを仕留めようという作戦である。
「無駄だ!」
ベリオンは、なんと盾諸共ゴブリンを切っていた。そして、返す剣で槍を切り落とした。
「!?」
「脆い盾だな!」
盾持ちのゴブリン達は、なすすべなく全滅し、槍持ちのゴブリン達も、ベリオンを傷付けることができないまま蹂躙されていく。
すると、奥にいたゴブリン達が、一斉に矢を射る。味方すら巻き込みかねない攻撃。だが、ゴブリンは群れにとって脅威と判断すれば、同胞を巻き添えにすることも辞さないところがある。多産で繁殖力が高いからこそ、少しでも生き残っていれば群れを残せるが故の生存戦略。ゴブリン達は、ベリオンは同士討ちの危険を冒してでも倒さなければならない存在であると認識したのだ。
「・・・ふん!」
しかし、ベリオンが剣を一振りすると、飛んできた矢は吹き飛ばされ、地面に落ちていく。同時に、周囲にいたゴブリンも数体、切り殺されていた。
「!?」
「・・・弓の使い方がなっていないな。俺が手本を見せてやろう。」
ベリオンは、ロングボウを構えると、足元に落ちている矢を放つ。矢は、ゴブリン達の放ったものとは比較にならないほどのスピードで放たれると、多くのゴブリン達を貫通していく。そして、奥にいる弓を持つゴブリンを貫き、木に深々と突き刺さって止まった。
「!?」
「お前達のおかげで、自分の矢を使わないで助かった。」
ベリオンは、次々に矢で、ゴブリンの群れを一掃していく。気が付くと、ゴブリンの数は、数えるほどにまで減っていた。
「ギギギィ!」
すると、ゴブリン達は森の奥へと逃げていく。
「・・・逃走を選んだか?・・・それとも何かの作戦か?」
逃走するゴブリン達の姿に、ベリオンはただの逃走か、何か策があっての撤退か思案する。すると、ゴブリン達と入れ替わるように、大柄のゴブリン達が森の奥から出てきた。
「・・・ほう、ホブゴブリンか。」
ホブゴブリン。大人並みかそれより大柄の体格を持つゴブリンの上位種である。ゴブリンとは比較にならないほど力が強く、棍棒や大剣のような重いものを武器として扱うことができる。その上、知能も高くなっており、ゴブリンの群れを束ねるリーダーを務めることもある。ホブがリーダーの群れは、中堅冒険者パーティが討伐に向かわなければいけないほどの脅威度なのである。
そんなホブゴブリンが、何十体も現れたのだ。明らかに異常事態なのだが、ベリオンはそんなこと知る由もなく、ホブゴブリン達に向かっていく。
ホブゴブリンは、大きな棍棒を片手にベリオンへと振り下ろす。ベリオンは、剣で棍棒を切り裂くと、ホブを頭から叩き切る。ホブは真っ二つになり、その場に崩れ落ちた。
「グググ!」
他のホブ達は、仲間が倒されたことに怒ったのか、武器を振りかざしてベリオンに襲い掛かる。ベリオンは、ホブ達を攻撃を軽くいなすと、次々に切り伏せていく。一分もしないうちに、ホブゴブリンは全滅していた。
ホブゴブリンが全滅した後、それ以上ゴブリン達が出てくることはなかった。自分達より遥かに強力なホブゴブリンが勝てない以上、戦っても勝ち目はないと判断したのだろう。
周囲を静寂が支配するのだった。
「・・・終わりだな。それにしても、まさか上位種が出てくるとはな。驚いた。」
ベリオンは、周囲を見渡すと、自身の持つ剣に目をやる。剣は、あれだけ激しい戦いをしたにも関わらず、刃こぼれ一つなかった。
「・・・いい剣だ。あれだけ激しく打ち合っても刃こぼれ一つない・・・。あの店主の腕は本物だ。」
ゴブリンの群れを撃退したベリオンは、剣の良さを改めて確認し、この剣を作った店主ガルドを称えていた。
雑魚がいくら集まったところで無駄なのですw




