第27話 魔勇者駆け出しパーティを助ける
「くそ!何だよこいつら!?」
その頃、悲鳴が上がった場所には、四人の冒険者パーティが苦戦していた。
彼らは、ベリオンは冒険者になる前の日に冒険者になった面々で、ベリオンが試験を受けていた時も、依頼でギルドを出ていたため、ベリオンとの面識はなかった。
今日、彼らはゴブリン退治の依頼を受け、ゴブリンを探していたのだが、ゴブリンからの不意打ちをくらい、すっかり浮足立って防戦一方となっていた。
彼らは、駆け出し特有の聞きかじった知識でゴブリンを過小評価しており、ゴブリンの縄張りに深入りしてしまっていたのだ。そんな油断していたパーティなど、ゴブリンの格好の獲物だった。圧倒的な数を活かした物量作戦で圧殺してきたのだ。このままでは遅かれ早かれ、このパーティは全滅してしまうだろう。
「たかがゴブリンなのに・・・くそ!」
「こいつら意外と強い!ゴブリンは雑魚のはずなのに・・・!」
前衛の丈夫そうな鎧を着た青年が、盾で攻撃を受け止めながら悪態を吐く。隣にいた剣士風の青年は、剣でゴブリンを切ろうとするが、簡単にいなされて困惑していた。駆け出しであるが故の経験のなさからくる自身の実力の過大評価と緊急事態への対応力のなさが露呈してしまった格好である。
「に・・・逃げないと・・・!」
「だ・・・駄目よ!二人を置いていけない・・・!」
後衛の魔法使い風の女性と神官風の女性は、突然の事態に混乱し、オドオドするだけであった。本来なら、前衛が抑えている間に魔法で攻撃して援護したり、味方を強化したりするのだが、混乱して自分の役割を忘れてしまっていた。これではただの案山子である。
そうしているうちに、盾役の青年は限界が来て、地に膝を付けてしまう。もう一人の剣士も、剣を弾かれてしまう。
「くっ!ここまでか・・・!」
前衛が崩壊した以上、もはや全滅も時間の問題。四人の顔に、絶望が見て取れた。
「何をやっている!」
突然、男のものと思われる怒号が聞こえてきた。
「!?誰だ!?」
すると、何かが彼らの前に現れると、目の前にいたゴブリン達は、一瞬のうちに上半身と下半身を切断されていた。
「!?」
目の前の光景に、駆け出し四人は驚愕した。自分達が苦戦していた敵が、一瞬で倒されてしまったのだ。当然である。
「・・・四人もいてただ突っ立っているだけとは・・・。お前達、駆け出し・・・だな?」
目の前に現れた人物は、四人の方を向く。その人物は、冒険者風の装備をした軽装の男性で、手には身の丈以上の大きさの大剣を持ち、左顔半分が灰色の仮面で隠れ、表情や年齢は読み取れなかった。だが、声からして、若いことだけは分かった。
「・・・ああ。・・・あんたは?」
剣士はその人物に何者か尋ねる。
「・・・俺の名はベリオン。お前らと同じ、冒険者だ。」
ベリオンと名乗る人物は、視線を目の前にいるゴブリンの大群に向ける。
「・・・五十は下らないな。こいつはいい。一気にノルマを稼がせてもらおう。」
ベリオンは、そのままゴブリンの群れに向かっていく。
「お・・・おい!無茶だ!あんな数に勝てるわけ・・・!」
「いいや、あの男なら大丈夫だ。」
突然、ベリオンとは違う声が聞こえ、四人は声のした方を振り向く。そこには、黒髪の猫族の獣人がいた。
「・・・あなたは?彼のパーティメンバーですか?」
「俺は、ミランだ。あいつとは、臨時でパーティを組んでいる。それより、お前達は下がっていろ。」
「下がれって・・・あの数を相手に勝てるわけ・・・!」
「そうです!早く助けに行かないと・・・!」
あんな目に遭ったというのに、ベリオンを助けようと言う駆け出しパーティに、ミランは苦笑すると、首を横に振る。
「・・・あいつは別格だ。ゴドールに勝利して特別規定で最初からFランクになったんだ。」
「!特別規定!?ゴドールさんに勝った!?」
ミランの言葉に、四人は言葉を失う。彼らも試験の際、ゴドールと戦ったが、ボロボロになってようやく合格をもらえたのだ。だが、目の前の人物は、そのゴドールに勝ったのだという。いきなり言われても信じられるわけがない。
「本当だ。ギルドに行けば分かる。・・・そして、確実にDランク冒険者である俺より強い。」
「え?Dランク?・・・あなたはDランクなんですか?なのに、Fランクの彼と?」
「・・・まあ、下がって見てろ。あいつがどれだけのものかをな。」
ミランは、今まで見せたことのない鋭い視線でベリオンを見るのだった。
次回、ベリオンの無双が炸裂します。




