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救世主魔王 魔勇者ベリオン  作者: レイス
第1章 魔勇者の資金稼ぎ編
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第25話 魔勇者依頼を受ける

 「おはようございます、ベリオンさん。」


 翌日、ギルドに来たベリオンにミレイが挨拶をする。


 「今日から依頼を受けようと思うのだが、何か注意点があれば聞かせてくれないか。」


 「分かりました。まず、依頼には難易度があります。難易度は冒険者のランクと同様に八つあり、自分のランク以下の難易度の依頼を受けることができます。」


 「・・・つまり、俺は難易度GかFの依頼を受けることができるのだな。」


 「はい。そして、依頼を規定数達成するか、大きな功績を挙げることで加算される貢献度の高さでランクを上げることができます。」


 「どのくらい依頼を達成すれば、Eになれる?」


 「Fの依頼だけなら二十五件、Gの依頼だけなら五十件ですね。もちろん、複合して達成してもランクを上げることができます。」


 「・・・すぐに上げるには、Fの依頼を優先的に受けた方がいいわけだな。それに、当然、難易度の高い依頼の方が、報酬もいいのだな?」


 「はい。その代わり、魔物が強かったり、珍しい素材を手に入れなければいけなかったりと、難しいですが。」


 「・・・では、俺は適当なところで、魔物退治にするか。」


 「ですが、どんな依頼があるかは、掲示板に貼られている依頼書を見るまで分かりません。時期によっては、魔物退治の依頼がない場合もあります。まあ、幸い今は、そんなことありませんけど。」


 「なら、できるだけ実入りのよさそうで強そうな魔物退治依頼を探すとしよう。」


 ベリオンは、難易度Fの依頼を確認すべく、依頼書の貼られている掲示板へと向かう。それぞれの掲示板の上には、難易度の文字が書かれていた。


 「これがFランク用の依頼か。・・・【隣町までの護衛 報酬は銀貨三枚 途中倒した魔物の素材は冒険者のもの】。・・・【素材集め ヒーリング草を五十個 報酬は銀貨二枚】。・・・【ゴブリン退治 ノルマは百体 報酬は銀貨八枚 素材買い取りOK】。・・・では、ゴブリン退治を受けよう。」


 ベリオンは、依頼書を剥がすと、ミレイにそれを手渡す。


 「・・・いきなりゴブリン百体ですか?ゴブリンがいくら弱いと言っても、百体を相手にするのはいくらベリオンさんでも厳しいと思いますけど・・・?」


 「問題ない。早く受理してくれ。」


 「・・・分かりました。依頼を受理します。ですけど、失敗したら違約金が発生しますので、注意してくださいね。・・・もっとも、命が一番大切ですから、無理だと判断したら、すぐ逃げてくださいね。」


 「分かった。」


 「それと、どうも付近の森で、異常発生の兆候があるそうです。異常だと気付いたら、依頼の最中でも引き揚げて、すぐに報告してください。」


 (もう連絡が入っているのか。あの番兵、優秀だな。)


 「分かった。命あっての物種ということだな。」


 ベリオンは、依頼をこなすべく、ギルドを出ようとする。


 「待ってくれ。お前が噂のベリオンだろう?」


 そんなベリオンを呼び止める声があった。ベリオンは声のした方を向く。そこには、黒い衣服を着た、黒髪の猫の男性獣人がいた。


 「誰だ?」


 「俺は、ミランって言うんだ。ランクはD。お前が、今噂のベリオンだろ?」


 「ああ、俺がベリオンだ。それで、Dランクの先輩が、Fランクの新入りに何の用だ?」


 「お前、俺のパーティに入らないか?」


 「・・・俺のような低ランク冒険者を何故入れる?」


 突然のミランの申し出に、ベリオンは理由を尋ねる。Dランクということは、冒険者でも中堅の部類に入る。そんな冒険者が、わざわざランクの低い冒険者をパーティに入れるなど普通は考えられないことだと、冒険者初心者のベリオンでも分かることだった。


 「ゴドールに勝ったような人間を低ランク冒険者と見ると思うか?確かに、今のランクはFだが、お前ならすぐにでもランクが上がる。だから、早いうちにパーティに入れておこうと思ったんだ。」


 「今は別に、パーティを組む気はない。それに、DランクのパーティにFランクの人間がいては、色々面倒なことになるだろう?」


 「確かに、ランクの低いメンバーがいると、パーティのランクが下がって受けられる依頼に制限がかかったりする。でも、お前の実力を考えれば、そんなもの些細なことだ。寧ろ、将来のことを考えれば、早いうちに入れた方がいいと考えている連中の方が多い。」


 「・・・連中ということは、お前以外にも俺を入れたがっているパーティがいるということか。」


 ベリオンは、周囲を見渡す。今日、ギルドに来た時から、何やら視線を感じると思っていたが、それが原因だったのかとベリオンは理解した。


 「ああ。低ランクパーティはもちろんのこと、俺達中堅、凄いところじゃ、高ランクパーティも目を付けてる。・・・あの【烈火】と【氷結】もな。」


 「・・・何だ?その【烈火】と【氷結】とは?」


 「この町を拠点とする冒険者パーティで、最強と言われているパーティだ。リーダーは、Bランク冒険者で、強さはお前が勝ったゴドールより上だ。」


 「そんな大物に目を付けられているのか。だが、悪いな。俺は今、誰とも組む気はない。」


 「そうは言うがな、ゴブリンを百体倒すなんて、いくらお前が凄腕でも難しいだろう。それに、ゴブリンを見つけるのだって楽じゃないだろう。十体程度ならともかく、百体なんだ。普通のやり方で見つけるのは大変だ。」


 「お前なら、できるとでもいうのか?」


 「ああ。俺は、パーティのリーダーであると同時に、盗賊なんだ。」


 (・・・密偵か。偵察に索敵、探索を行うクラスだな。)


 冒険者や戦闘者は、自分の戦い方に応じた職種-これをクラスと呼んでいる-を持つ。前衛で戦う戦士や剣士、敵の攻撃を受け止める騎士や盾持ち、魔法で戦う魔法使い、回復術を使う神官といったものである。


 盗賊は、戦闘ではあまり役には立たないが、探索や索敵といった戦闘以外の面でパーティを支える重要なクラスである。腕のいい密偵がいるかいないかで、パーティの生存率は大きく変わると言われている。


 「敵を探すのにもってこいだろ?それに、奇襲だってお手の物だ。」


 自分の実力を売り込むミラン。その様子からして、余程自分を入れたいのだとベリオンは思った。


 だが、今ベリオンは、パーティを組む気などなかった。将来的に組みたいと思ってはいたが、今は、今後のために資金を稼ぐことを優先するつもりだったからだ。


 「・・・いや、今回パーティを組む気はない。残念だが諦めてくれ。」


 「そんなこと言わず、一回だけでいいから・・・。」


 「それに、パーティを組めば、報酬を分配する必要があるだろう。そうなれば、俺の取り分が減ってしまう。俺は、金が必要なんだ。あの時の収入だけでは足りない。もっと稼がなければならない。他の人間と組んで、報酬を減らしたくはない。」


 「・・・分かった。なら、せめて俺とだけ組むっていうのはどうだ?それなら分配は半分で済む。」


 「・・・なるほど。つまりはお前をお試しで使ってみろということか。・・・。」


 ベリオンは、密かに【アナライズ】を使用し、ミランのステータスを確認した。



名前:ミラン Lv:20 種族:獣人族(猫族) 称号:パーティ【無音の猫】リーダー 盗賊

HP88/88 MP20/20 TP75/75


筋力80

耐久力78

器用度210

敏捷性230

知力25

精神力24


物理スキル

【短剣技Lv4】【剣技Lv2】【体術Lv4】


魔法スキル


補助スキル

【隠密・中】【忍び足・中】【罠設置・中】【罠解除・中】【鍵開け・中】


ユニークスキル

【暗視】【しなやかな身体】



 (・・・詳細なステータスが分かるのは便利だな。直観で分かるのは、精々レベルくらいだからな。なるほど、猫族の獣人だけあって、身軽で手先も器用だ。それに、【隠密】のスキルか。密偵にもってこいの男だ。)


 ベリオンは、しばらく考え込んだ。


 (・・・別に誰かと組む気はなかったが・・・確かにこの男、密偵としてはなかなかやるのだろう。将来的にパーティを組むことを考えると、今のうちに他の人間と組んだ戦いに慣れておくのもいいかもしれないな。それに、二人だけなら報酬の分配も少ない。・・・ならば。)


 「・・・いいだろう。今回だけ、お前と組んで依頼を受けるとしよう。」


 「ありがとう。絶対に損はさせない。」


 ミランはベリオンに握手を求める。ベリオンも手を出し、握手に応じるのだった。

ミランはステータスの高さではなく、スキルのよさが武器です。

報酬とミランのステータスを一部の変更しました。

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