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救世主魔王 魔勇者ベリオン  作者: レイス
第1章 魔勇者の資金稼ぎ編
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第24話 魔勇者剣を得る

 「・・・ここが、ガルドの店か。」


 ギルドを出たベリオンは、ミレイの描いた地図に書いてある通りに進み、その店の前にいた。その店がある場所は、異種族が暮らす地区だった。


 (異種族は肩身が狭いと聞いていたが、この店の様子を見ると、それなりに繁盛しているようだな。)


 ベリオンは、店の扉をくぐり、店内に入る。


 「いらっしゃい!」


 店の奥から、男性の声が聞こえてくる。店の人間が出てくるのを待つ間、ベリオンは周囲を見渡す。


 店に置かれている武器や防具は、どれも質がよさそうなもので、ベリオンが見てもいいものだと分かるものだった。


 (【アイテム鑑定】を使うまでもない。この店にある品は、どれも一級品だ。)


 「おう、冒険者か?悪いな、今、武器を打っていたところだったんだ。」


 その時、店の奥から一人のドワーフが出てきた。筋肉質の体躯、ドワーフ特有の低い身長とひげもじゃ顔の、まさにドワーフといった人物であった。おそらく、彼がガルドだろう。


 「ああ。さっき登録を済ましたばかりの新入りだ。受付のミレイに、装備を整えるにはこの店がいいと聞いてきた。」


 「・・・。」


 ガルドは、ベリオンをジッと見ていた。ベリオンは、そんな彼に気にせず、-だからといって、無警戒ではなく、警戒はしていたが-彼のそばまで行く。


 「・・・どうした?」


 「・・・お前さん、冒険者としては新入りだそうだが、全くのトウシロウじゃねえな。寧ろ、下手な中堅冒険者より経験あるだろ?」


 「・・・分かるのか?」


 「この道で何十年と食ってんだ。いろんな人間を見てきた。そいつがどんな奴か、オーラを見れば分からあ。」


 ガルドは、自信満々に言う。ベリオンは、自分の力を見抜いた彼を見、口元に笑みを浮かべていた。


 「そうか。なら、安心して任せられそうだ。・・・耐久力の高い武器が欲しい。いいのがあるか?」


 「ものにもよるな。お前さん、どんな武器は得意だ?」


 「どんな武器でも使えるが・・・よく使うのは剣だ。あと、弓もあれば欲しい。予算は、金貨六・・・いや、七枚だ。」


 「そうか。・・・なら、こいつなんてどうだ?」


 ガルドは、ロングソードを手に取ると、ベリオンに手渡す。ベリオンは、それをその場で振る。


 「・・・駄目だな。全然駄目だ。」


 「?どうした?」


 「お前さんの力と釣り合ってねー。これじゃあ一ヵ月もしないうちに使い物にならなくなっちまう。」


 「・・・そうか。なら、他によさそうなものはないか?」


 「待ってろ。とにかく耐久力を重視した奴を見繕ってくる。」


 ガルドは店内にある剣を一通り集めてくる。どれも、ロングソードやバスタードソード、グレートソードといった、大剣ばかりであった。


 「こいつらが、今ウチで売っている中で耐久力の高い剣だ。どれも俺の魂を込めた逸品だ。」


 「・・・どれもいい剣だな。一流の職人が、一流の素材で作った最高の逸品だ。これほどの剣を打てる職人、俺が知る中でも五人もいない。いくら鍛冶技術に長けたドワーフであってもだ。素晴らしい出来だ・・・。」


 ガルドの打った剣を見、ベリオンはその出来に感嘆していた。


 「分かるのかい?」


 「ああ、戦士たるもの、己の命を委ねる武器を見極められなければ話にならんからな。店主。お前の腕前は、かのドワーフの鍛冶職人バルカンに次ぐな。」


 「おいおい、ドワーフ史上最高の鍛冶職人バルカンに次ぐなんて、買い被りすぎだ。」


 「いや、謙遜しなくてもいい。それだけの腕前だ。」


 バルカンとは、ドワーフ史上最高の鍛冶職人と呼ばれた人物で、アユムの知り合いであった。


 彼の作る武器は、聖剣にも匹敵するとまで言われ、種族を問わず武器を頼む者は多かった。だが、彼は自分が認めた者にしか武器は作らず、彼に認められるということは、戦士としての誉れとまで言われていた。


 アユムは、自身の防具を作ってもらうため、彼を元を訪れた。最初は断られたものの、アユムが一生懸命彼に頼み込んで、防具作りを引き受けてもらったのだ。


 それから彼は、アユムのパーティのために、色々な武器や防具を作り、サポートした。バルカンは、アユム達が魔族を討伐することができた陰の立役者とも言える存在なのである。


 「ははは!お世辞でも嬉しいぜ!さて、どの剣がお前さんに一番合うかな?」


 「試させてもらおう。」


 ベリオンは、一振り一振り手に持ち、振ってみる。だが、どの武器を振っても、ガルドは険しい顔をして駄目だと告げるのだった。


 「駄目だな・・・どれもお前さんの手にかかれば、一ヵ月ももたねー。」


 「・・・これだけいい剣なのにな。残念だ。」


 「・・・いや、待て。あの剣なら大丈夫かもしれねー!ちょっと待っててくれ!」


 ガルドは、店の奥に行ってしまう。しばらくして、ガルドは凄まじい大きさの剣を持ってきた。それは、グレートソードのようだったが、店内に置いてあるグレートソードと比較しても大きかった。


 「こいつはどうだ?俺が採算度外視して作った作品だ。」


 「・・・これは・・・グレートソードか?だが、それにしても大きいな・・・。」


 「とにかく、威力を追及して作ったんだ。まあ、そのせいであまりにデカくなりすぎた上に、重すぎて使える人間がいなかったんだがな・・・。こいつで試してみてくれ。」


 「・・・分かった。」


 ベリオンは、剣を手に取ると、軽く振ってみる。すると、今までにない感覚をベリオンは感じた。


 (・・・これは・・・いい感触だ。手に馴染む。それに、この重量感・・・悪くない・・・。こいつはいい・・・!)


 ベリオンは、剣の感触に、思わず笑みを浮かべていた。


 「・・・とんでもねー奴だな。そいつを振り回せるなんてよ。だが、どうやらそいつが一番合ってるみてーだな。耐久力も申し分ない。」


 「ああ、今までの武器の中でこいつが一番だ。こいつをもらおう。いくらだ?」


 「採算度外視で作ったもんだ。本来なら、金貨七枚程度じゃ買えねーんだが・・・。特別だ。サービスしてやるよ。」


 「いや、こんないい剣をもらっておいてただなど失礼だ。何か言ってくれないか?」


 「そうだな・・・。じゃあ、いつでもいいが、俺が欲しい鉱石を持ってきてくれれば、それを報酬の換わりにしてやるよ。」


 「鉱石・・・となると、ミスリルかオリハルコンか?それともアダマンタイトか?」


 「いや、一般的には知られていねーんだが、白金鉱石って鉱石があるんだ。そいつを持ってきてくれりゃいい。」


 「白金鉱石!?」


 「何だ、知ってたのか?」


 「・・・ああ。」


 白金鉱石とは、文字通り白金のような色と輝きをする鉱石である。強度はミスリルとは比較にならないものだが、この鉱石の真価は、合金となることで発揮されるのだ。これを含んだ合金は、強力な武器を作るためのいい金属となるのだ。


 だが、一般的にこのことは知られていない。このことを知っているのは、ドワーフの鍛冶職人くらいなのである。


 ベリオンがこれを知っているのも、バルカンと面識があったアユムの記憶のおかげである。


 「そいつをまあ、一キロ・・・いや、五百グラム程度でもいい。持ってきてくれれば、そいつを金の換わりに受け取ろう。」


 「分かった。頑張って探してみよう。」


 「ああ。だが、無理はすんなよ。俺は、お前さんを気に入ったからな。無茶して死んでほしくはねーんだ。・・・ところで、弓も欲しいって言ってたな。一応、弓も置いてはあるが、品揃えはそこまでよくはねーぞ?全部取り寄せの品だ。一般的なレベルのものしか置いてねー。」


 「あくまで補助用だ。メインでは使わん。だが・・・一応、丈夫な奴を頼む。」


 結局、ベリオンはガルド特製のグレートソードを鉱石と引き換えに、一番丈夫なロングボウを銀貨五枚で購入した。


 防具に関しては、重戦士のような頑丈で重いものではなく、軽装で動きを阻害しないものを選んで揃えた。代金は、合計で銀貨三枚だった。


 「・・・悪くねーな、お前さん。似合ってるぜ。」


 ガルドはベリオンに、似合っていると太鼓判を押す。


 「ありがとう。店主もいい仕事をしている。評判になって当然だ。もしかしたら、武器を作ってもらうよう頼むかもしれんな。」


 「ははは!その時は、ただで引き受けてやるぜ!」


 「いや、報酬は必ず払う。俺は、優れた者には相応の対価を払う主義だ。」


 「ははは!律儀だな!まあ、無理せず頑張れよ!」


 店を出て行くベリオンを、ガルドは愉快そうに見送るのだった。

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