第11話 魔勇者村長に感謝される
「ベリオンさん、この度は村を救うためにご尽力くださり誠にありがとうございます。」
村長宅に呼ばれたベリオンは、村長から謝辞を述べられた。
「俺はあくまで、マトモな寝床で寝られるのを邪魔されたくなかっただけだ。礼には及ばない。」
「謙虚な方ですな。ですが、村を救っていただいたのは事実。その分のお礼は必ずいたします。」
「ウルフの毛皮だけで構わない。金は欲しいが、まだ手持ちがある。必要以上に求める気はない。」
ベリオンは、自分にさらに報酬を渡したいと言う村長を制する。
「ますます謙虚な方だ・・・。できれば、あなたのような方が、この村の一員となってくだされば、どんなに頼もしいか・・・。」
「それがいい父さん。聞いた話だと、ベリオンさんは相当過酷な人生を歩んできた人らしい。この村は穏やかだから、きっと気に入ってくれるよ。」
(・・・俺は別に、過酷な人生で精神が摩耗しているわけではないのだがな・・・。)
「・・・いや、俺には大きな目的がある。村に定住するつもりはない。明日にでもなれば、隣町に出立する。」
「そうですか・・・。残念ですが、無理矢理引き留めるわけにはいきませんな。」
「・・・はい。彼に色々教わりたいと思ったんだけどな・・・。」
(・・・俺から学びたい・・・か。向上心があるのはいいことだ。故に、村一番の戦士なのだろうな。)
「・・・そうだ。ではせめて、隣町行く際、アイク達の護衛を頼めないでしょうか?」
「護衛・・・。」
「明日は、隣町に用事がありましてね。アイクと若い者数名が行くことになっているのです。隣町に行くのでしたら、アイク達と同行し、護衛してはくれないでしょうか?もちろん、報酬は支払います。どうですかな?」
「・・・構わない。そこまで急ぎではないからな。」
「ありがとうございます。」
「ベリオンさん、短い間ですが、よろしくお願いします。」
ベリオンは、二人と応対しつつ、ルシフと今後について相談していた。
(・・・隣町か。確か、ここからなら、三日かかる場所に一つあったな。それなりに大きな町が。そこに行って、ウルフの毛皮を売ったら、装備を整えるとしよう。)
[・・・それもいいけど、一応ここは、アユムの故郷だよ?色々聞いて回らなくてもいいのかい?]
(アユムの故郷であって、俺の故郷ではない。・・・それに、この様子では、有益な情報は期待できそうにないと思うがな。)
[それは早計だよ。そもそも君は、現在の世界のことを知らなすぎるんだ。いつまでも、山で修行して世間に疎い、なんて言うのはどうかとおもうよ?最低限の常識は知っておくべきだよ。]
(・・・そうだな。一応は情報を収集しておくとしよう。)
「・・・すまないが、この世界の状況を色々聞かせてはくれないか?何分、本当に世の中のことを知らないのだ。町に行くために、ある程度知っておきたい。」
ルシフとの相談で、ある程度の情報を収集することにしたベリオンは、アイクと村長に尋ねた。
「どうぞ。我々でよければ。」
「いくらでもお話しますよ。」
ベリオンの頼みを、快く二人は聞いてくれるのだった。




