お瓜ちゃん(11)と父と姉
私の名前は瓜。
11歳の女の子です。
みんなからはお瓜ちゃんと呼ばれています。
「お早うございます、ウタコ姉様。」
「おはようございますじゃないですわ。」
居眠りをしていたので姉様は呆れていた。
姉様は、この世界の事の持ち得る限りの知識を叩き込むつもりだったのだが開始して数秒で寝るとは・・・という表情で見ていた。
この人は私の実の姉でウタコ姉様。
職業は【イタコ】で19歳。
「ウタコ姉様、後ろに幽霊が!」
「ヒィィ!」
【イタコ】なのに幽霊が苦手な人である。
しばらく右往左往した後冷静さを取り戻し
「もぉ〜いい加減にしなさい!」と言った。
ウタコ姉様がお瓜を冷やかな目で見ていると廚から声が聞こえて来た。
「ウタコ、お瓜、夕餉の準備が出来たわよ。お父さんとジュンコを呼んできて。」
「はーい。今呼んできます。行きますよ、お瓜。」
ウタコ姉様は私に手を差し出した。
ウタコ姉様の手を取り手をつないで2人で勝手口に行く。
何故勝手口というと、そちらの方がお父様がいる所へと行くのに近道だからである。
勝手口から出ると竹林が広がっていた。
お父様がいる目的地までは竹林が伐採されている所を歩けばいい。
しばらく竹林を歩くと出口が見えてきた。
竹林を抜けると砂浜に出た。
今日も地平線に浮かぶ太陽や向こう側の別の大陸がよく見える。
桟橋の上で釣り糸を垂らしている男性がいる。
彼は呑気に昼寝をしている。
男性は私達に気が付き声をかけてきた。
「ウタコとお瓜か。何か用か?」
この人は彼女達の父親で名を虎次狼という。職業は【風来者】。
近所の人たちから風来の虎と呼ばれている。
生まれも育ちもこの地らしい。
「お母様が晩御飯になるからジュン姉様とお父様を呼んできなさいって。」
それを聞いた虎次郎は釣り道具を片付け始めた。
「あら?ジュンちゃんは一緒じゃないのですか?」
「墓地に用があるみたいだったな。ぼちぼち帰ってくるんじゃないか?」
「はぁ、くだらない事を言わないでください。」
私達が呆れていると1人の少女が墓地の方から歩いて来た。
「お父様〜陽が沈み始めたので帰る支度をして下さ〜い。あれ?ウタコ姉様と瓜ちゃん?呼びに来てくれたんですか?」
彼女は三姉妹の次女で名前はジュンコ(17)。私のもう1人の姉で職業は【偶像】。なかなか成れない職業らしいです。容姿端麗な方なのですが・・・
「ジュン姉様はお墓で何をしてたんですか?」
「幻の枝豆の苗木と伝説の小豆を探してたんです。美味しいずんだ餅を作るためです。」
枝豆と小豆が絡むと残念な人です。