幕間 母として統治者として
私の名前はフランチェスカ・エア・ヨモヒロ。
先祖に様々な種族の方が居るので見た目は幼な子ですが成人しております。
娘も3人いるんですよ?
仕事はこの国の国主【女王】です。
「ヨモヒロ様、本日は謁見があります。」
側近のグッドが本日の職務内容を確認に来た。
普段の仕事内容は城の中に居るだけなのですが、今日は緊急案件が入りその応対をします。
ただ、その相手は・・・。
「虎次郎さんと氷山様、それに町娘でしょ?」
「良くご存知で。旦那様に聞きました?」
「ええ。町娘は私の末娘で、今回の案件はその娘がやった事だから大体察しがついてます。」
昨日客人に振舞っていたお酒、促進の壺を使っていた。
という事は促進の壺の活用方法と市場の調整の話。
「それなら話が早い。謁見の間に来ておりますので、急いでくださいませ。」
謁見の間に行き簾越しに娘達と話をした。
お瓜にはまだ経済の話は解らないだろうから部下に豆の加工業者を呼ぶように言い、お瓜に転移の妖術を使い門へと送った。
業者達が謁見の間までやって来て話し合いをする。
話し合いは思っていたよりいい反応であった。
「大変です!組合通りで若い娘が襲われました!」
この国で人が襲われた場合、どんな身分の者でも私の耳にすぐに入るようにしている。
この国に住んでいるなら身元がすぐわかるので被害者が誰だかもすぐにわかる。
「娘の名は、お瓜と言います。」
え?誰が襲われたって?
「何だと!?そんなことをしたやつはいったい誰だ!」
お瓜という名を聞いた瞬間、旦那様は立ち上がり叫んでいた。
この時の私は頭が真っ白になってしまっていた。
「落ち着け、虎!上様、人払いを。」
頭・・・氷山様の咄嗟の判断で我に返り頷きこう言った。
「皆さま、此度の件は又話し合うとしましょう。」
そういうと、加工業者達は部屋から出て行った。
「虎、ふらんちぇすか、転移の妖術で家まで飛ぶぞ!」
氷山様が妖術を使って我が家の前まで転移した。
「お瓜は無事か!?」
旦那は戸を力強く開け我が家に入っていった。
「父様、あの子の部屋ですわ。」
長女のウタコが虎次狼と共に瓜の部屋へ走っていった。
私も慌ててお瓜の部屋へと行く。
寝ているお瓜を見ると刺されたという胸は傷口が塞がっていた。次女のジュンコが回復の妖術をかけたのであろう。
「・・・母様、御免なさい。私の力が足りなくてお瓜ちゃんを助けられなくて・・・。姉様曰く未知の呪いらしいんです。今の私には・・・」
次女のジュンコが泣きそうになりながら話しかけてきた。
「良くやったわ。回復の妖術の使い手は少ないから助かった。」
そう言ったもののジュンコは泣き出してしまった。
「私も手を尽くしたのですが、この呪いは見た事もないです。お力になれず申し訳ない・・・。」
偶々、うちに来ていた赤髪の元冒険者の女性で名前は・・・何だったかな・・・。
「ウタコさん、師匠に取り次いでもらえますか?師匠なら何かできると思います。私だと神殿まで行かないと師匠と会話ができないので・・・。」
ウタコは目を腫らしながら頷き、目を瞑りブツクサと何かを呟いていた。暫くして
「何とかして呪いを解いてくれるそうです。具体的には5年程時間を要するみたいですが・・・どうしましょう?」
と言った。
5年か・・・。
5年掛かってもお瓜が助かるなら・・・。
「ウタコ、お願いしなさい。」
母として、統治者として、お瓜が戻ってきた時に娘達が笑顔になれる様な国にしなくては。