偉い人と緊急対策案件
謁見の間
この国で一番偉い人と会う為の部屋。
無駄に奥行きのある部屋で奥の方に簾がある。
偉い人は簾の向こう側に来るそうだ。
「上様のおな〜り〜!」
「はは〜。」
何をして良いか判らなかったのでとりあえず、父様と頭の真似をした。
「面を上げて下さい。」
この国の一番偉い人が簾越しから声をかけて来た。
声を聞いた感じだと国主様は女性。しかも未成年。(あ、でも母様みたいな人もいるから一概に歳は判らないか。)
「それで緊急対策案件イ号だと聞きましたがどの様な内容でしょうか?」
「末娘のお瓜が、促進の壺の有効活用方を見つけた様で・・・。」
「成る程、それでイ号なんですね。お瓜ちゃんがわかっていなさそうなので簡単に緊急対策案件について説明しましょう。」
早く帰って料理がしたいので別に説明しなくてもいいんですが・・・とは偉い人相手に言える訳ないじゃないですか。
ここは大人しく聞きます。
「この国では日々、様々な事が起こります。予想外な事が起きた時、起こりそうな時私達は国として対処しなくてはなりません。緊急を要する案件に対策を講じるから緊急対策案件と呼びます。イ号とは経済、ロ号は魔物、ハ号は迷宮、ホ号は外交の案件といった種別を表す記号です。」
壺の価格が変動するから経済なんですね?
「ええ、そうです。
お瓜ちゃんは、促進の壺で何をしたんですか?」
「梅の果実酒を造りました。」
「本来は梅の果実酒を造るのには時間が掛かりますからね。成る程、食べ物を腐らせるだけの壺をそういう風に使うとは・・・。グッド、豆腐屋と酒蔵、それと納豆売りに声をかけて登城するようにと伝えて下さい。」
「承知。」
グッドと呼ばれた男性が何処かへ行ってしまった。
「お瓜ちゃんは下がっていいです。御二方はまだ、お話したい事がありますので残って下さい。」
国主様が指をパチンと鳴らすと玄関まで戻されていた。