12番目のしもべ1(クロ視点)
『まず、端的に言うと、オロチはオウリさんの配下になってるっス。』
そう、オウリさんが、オロチの心を折った時点で両者無意識の状態で【魔王】であるオウリさんとの契約が成立していた。
100-0の完全従属である。
こんな事は滅多に無い。
「そんな事あるのか?オロチは一応、神獣だぞ?」
『実際、そうなってんだから仕方ないっスよ。諦めるっス。』
そう、起きたんだからしょうがない。
この世界の法則なんか、アタシの感知するところでは無い。
「あの方が居られる限り妾はクホウト・・・いや、世界に害は与えぬ、そう主に誓おう。」
『そんで、コイツがオロチってバレると非常に不味い事になるっス。』
「まぁ、そうね。特にあの子には・・・。」
無限に取れる食材なんてオウリさんが聞いたら彼女は狂戦士になりかねない。
「妾は無限に食材にされとう無い。」
女はガクガク震えながら声を振り絞ってそう言った。
余程トラウマになったのだろう。
「さて、どうやって組合の書類を作ろうかな。」
「そこよね。」
そこなんだよな・・・。
今のオウリさん、料理以外の家事しないからな・・・。
・・・あ、閃いた。
『それなら、いつも通り登録は他のヘビ系統の魔物で登録して、戦闘時以外は料理以外の家事をして貰うメイドとして過ごすのはどうっスか?』
「神獣である妾を下級な蛇として扱い、人の様な生き方をせよと?」
贅沢言うな。生きたいなら受け入れてくれ・・・。
『ダメっスかね?』
「労働が終わったら酒を出してくれ。それなら構わぬ。酒は命の水じゃ、そこは譲れぬ。」
・・・酒が有れば良いんかい。
こうして、この家にメイドさんが転がり込んできた。