食の勇者3(食の勇者視点)
オウリは誕生したばかりの魔王だ。
それでも、炎の妖術なんか放ったらこの辺りは焦土と化すだろう。
黒猫、どうすればいい?
『その、まな板で炎を受け止めるっス。』
まな板は木製だ・・・絶対に俺ごと燃えるよな?
『大丈夫っス。勇者の盾を信じるっス。』
勇者の盾?
『アンタの力っス。アンタは【勇者】っス。』
俺が勇者ね。イマイチ実感が・・・。
オウリが火炎の妖術を放った。
俺は火炎の妖術の前に行きまな板を当てた。
まな板に妖術が当たると妖術は消滅した。
『タス・・・ケテ・・・。モウ、キラレタク・・・・。』
大蛇が懇願した。だか、オウリと俺には距離がある。
『まな板を投げて、防ぐっス。』
投げたら俺、丸腰だよな?
『戻れって念じれば手元に来るっス(多分)。』
念じれば戻ってくるね。まぁ、やってみるか。
俺はまな板を大蛇を斬りかかるオウリの前に投げ包丁を受け止めた。
「邪魔するな!」
オウリは俺に向けて雷の妖術を放ってきた。
まな板よ、戻れ。
そう念じると手元にまな板が瞬間移動しできた。
『その魔法を防ぐっス。』
俺は雷の妖術をまな板で受け止めた。
黒猫、オウリをどう止めればいい?
『コレを飲ませるっス。』
黒猫がラムネの瓶を出した。
『この中には液体の睡眠薬が入ってるっス。ただ・・・あの状態のあの人は嗅覚が鋭いから瓶を持った時点で中身が睡眠薬だってわかるっス。』
・・・それならば。
俺は口の中に液体を含み、オウリへ歩み寄り飲ませた。