威圧?(クロ視点)
『誰かぁぁ、妾を助けてくれ!!』
大蛇は悲鳴を上げている。
「皆、立てるか?」
トラさんが、皆を鼓舞している。
勿論、私は余裕で立てる、が・・・。
私は本来はこの世界に存在しない。
だから、この世界の事柄に極力手を貸さない。
けれど、あの人・・・王里さんが、ピンチならば力を貸す。
今回は、どうしたらいい?あの人が世界の脅威になりかけている。
私はどうしたらいい?
「トラジロウさん、私たちは母のすきるで呼ばれた使い魔です。だから直接攻撃する事は出来ません。なので、ヒビちゃんに、やって貰います。」
「え・・・!?私ですか?」
ヒビと自身を除く、オウリさんの子孫達は彼女のスキルにより呼ばれているので召喚主に攻撃できない事のは仕方ない。
「承知した。ヨネトの一族はヒビが決め手を打てる様に護衛、残りは俺がお瓜を気絶まで持ち込める様に補助を頼む。クロ介、迷ってるなら下がってろ。」
・・・。
「珍しいですわね。言い返さないなんて。」
「あらあら、本当ですね。」
ここぞとばかりにウタコさんと、ジュンコさんは意地悪だな・・・。
「そうね。クロちゃん、何となくだけど嫌な予感がするの。」
嫌な予感?それって何?フランさん。
「万が一私達がこの世界に牙を剥く様なら、その時は・・・。」
オオバコさん・・・。
「みぃちゃん、お腹減ったでしょ?はい、お肉。」
イチョウさん?減ってねえよ!何で今なんだよ!!
「そう言ってやんなよ。おふくろなりにお前の事気にしてんだ。受け取っとけ。」
ソータツさん・・・。
「そうだよー。公孫樹お祖母ちゃんなりの緊張の解し方だよ。」
は?アンタ誰?
「何で私だけそんな扱い!?」
「おかあ・・・クロさん、私達が倒れてしまったら、お婆ちゃんをお願い。」
ヒビ・・・。
皆が武器を構えるとオウリさんがこちらに気がついた様で、こちらを睨みながら、
「じゃまするなあ!」
と大声で叫んだ。
オウリさんが叫ぶと頭が痛くなった。
何これ・・・威圧?
ドサっと音がしたと思ったら、その場にいた自分以外の人は倒れてしまった。
え、何これ・・・?
生命探知を行うとクホウトに居る全ての生命は風前の灯火になっていた。