厄災退治弐(虎次狼視点)
『トラジロウさん、急にどうしたっスか!?』
事情は後で説明する、早く退去させろ。
『オオバコさん、後払いになるけど、半紙を売って欲しいっス。それと、ウタコさん清めの塩を。』
「もう、準備しましたわ。」
「支払いは終わったらしますね。」
『流石っス。』
クロ介はウタコから塩、オオバコから半紙を受け取り、そのまま胡瓜の馬に塩を振りかけ半紙で包んだ。
『ありがとうっス。』
『ヒヒィン!』
クロ介にお礼を言われると胡瓜の馬は満足そうに鳴いて居なくなった。
この場から精霊馬を避難させろという意味であったのに送り還した。
おかしいだろう?あの馬はお瓜が契約している。
なのでお瓜本人にしか送還は出来ない筈だ・・・。
いや、今はそれどころでは無い。
お瓜を止めなくては。
お瓜の空腹よる暴走は生態系的な意味で世界を壊しかねない。
魔物であろうと動植物であろうと生物であれば、人と猫以外は食糧と見做され狩られる。
例え毒を持っていても。
『妾の勝ちだな。人間ども妾に平伏せ!』
「皆んな立てるか?」
周りを見渡すと皆、頷いている。
「わー!へびだ!」
『小娘、ただの包丁では妾に傷をつけられんぞ?神器の剣なら・・・え?』
お瓜は包丁を取り出し大蛇の頭を1つ縦に引き裂いた。
『馬鹿な!ただの包丁の一太刀で頭が1つ両断されただと!?じゃが、妾には再生の異能がある。』
大蛇の切られた頭が再生していく。
『切られた部分は残るタイプの再生スキルっスね。』
クロ介のこの発言によりこの場にいる皆がこう思った。
その再生の異能は悪手だと。
「こんばんのこんだては、やいたり、あげたり、なべなんかもいいですね♪」
お瓜は鼻唄混じりに再生する度にその頭を真っ二つにしていった。
大蛇は無限に再生する食材扱いされていた。