厄災出現(ヒビ視点)
突然だった。
城の隣に大蛇が現れた。
「王里お祖母様達が打ち損じたわけじゃ無さそうだね。曹達、兵士達の武具はまだかい?」
「今終わったところだ。お袋の銃や俺の武器が、まだ調整できてない。大葉子ばあーさん、物資の方は?」
「滞りなく。ただ、よりにもよって結界をすり抜けてここに出現するとはね。」
ご先祖様方は、だいぶ焦っている。
「ご先祖様方、私が・・・。」
そう言って立ちあがろうとしたら頭を叩かれた。
「ヒビ、貴方は、この国のクイーンの命令通りに動きなさい。貴方の役割は何?」
玄米お祖母様が私に言う。
「ここは大人達に任せればいいの。アタシ?当然、命令無視して攻撃しに行くわよ。」
この人カッコいいのか、おちゃらけているのか良くわからない。
「私も行きます。宿への避難は従業員達にお願いしました。」
「あなたが倒れたら宿はどうなるの?」
「入り口は閉ざされるだけです。出口は消えません。」
私が倒れても『私の城』は消えない。
ただし、出たら最後、2度と入れなくなる。
ご先祖様達と大蛇の近付いた。
『妾の前に鳥人族の娘と異界人か。む?汝等、オカシなモノが混じっておるな?』
オカシなモノ?
『鳥人族の娘、お主だけは理解してないようだな?まぁ、良い。お主が覚醒していたら我を倒せたかもしれんのぉ。』
え?覚醒?
『瞬間移動か。うむ、数は・・・』
大蛇の首のいくつかが反対側を向いていた。
大蛇の視線の方を見ると、討伐に向かった面々が佇んでいた。
「ウタコ、ジュンコ無理させて済まない。退避してくれ。」
「ヒビちゃん、この子達を・・・」
女王様とこの町のギルド長が自分の娘を退避させようとしている。
「お前さん方、阿呆か?」
陶芸家のお爺さんは呆れている。
「何の為に修行してたと思いますにゃ?」
「前とは違いますわよ?おいで、私の精霊さん!」
巫女様とアイドルの人の能力が格段に上がったのが判る。
『ほお?乱入か。[八乃異常]』
そう大蛇が叫ぶとその場にいた全員が地に伏せてしまった。
体が少しだるい。
「何だ!?」
「コイツは・・・」
『そうだ、我は汝等に負けた後、封じられながら考えた。考えた結果、固有の異能を覚醒させる事に成功した。首の数だけ出来ることが有るのではと考えてな。』
「毒、麻痺、眠り、呪い、視界、幻惑、鈍化、空腹の8つの状態異常・・・この場に居る皆、多少耐性があったから軽傷で済んでるみたいだにゃ・・・。」
巫女様が大蛇の異能を詳しく分析して解説をしてくれた。
私自身は空腹以外は中〜強耐性、空腹だけ、弱耐性を持っているから皆を回復しに行ける。
けれど、幾ら回復役がいても治す度に状態異常をかけられたらキリがない。
それどころか、こちらの魔法力が底を尽きて・・・。
ジリ貧で確実に・・・。
「みんな大丈夫ですか?」
オウリお婆ちゃんが巨大な胡瓜に乗って現れた。