討伐めんばー
「今回、討伐に当たる高位の風来者は、先代、フラン、ジュンコ、ウタコ、オウリ、クロ介、俺、あとは・・・。」
「バブ〜」
え?赤ん坊?
確かこの子は平八郎さんの所の・・・。
皆んなの悪ふざけで名前が長くなってしまったので呼び方に困る子なんですよね。
『ジュピターちゃん、っス。ぶべ!』
赤ん坊にクロは殴り飛ばされてしまった。
え?クロを殴り飛ばした?
「虎、いくらなんでも上位の風来者が少ないとは言え、赤子を連れて来るとは血迷ったか?」
氷山様の言い方は、かなり怒気を含んでいた。
私も父様の事を見損なっている。
「氷山様、違います。うちの旦那は血迷ってなんかはいません。」
「あー先代にはまだ言ってなかったですね。この赤子、試練を受けて通ったんですよ。」
「それについては私とセリカちゃんで不正が無い事を確認してます。」
ジュンコ姉様も組合からの仕事をしてるんですね。
「いや、試練を超えたのは良いが、赤子の両親は?」
「平八郎と珠子ちゃんは、好きにさせたいと言っていたわよ?」
母様が虚空を見つめながらそう言った。
あの一家に一体何があったんだろうか?
『人様の家庭の事情は知らないほうがいいっス。』
「大分特殊な固有異能で我々に匹敵する強さを持っていまして・・・この子の力が必要と判断したんです。」
「そうか・・・虎、オレはこの戦いが終わったら本格的に風来者に復帰しよう。若い衆を鍛えてやらんとな。」
氷山様の背後に鬼が見えた気がした。
『【陶芸家】、【イタコ】、【偶像】、【女王】、こう見ると討伐メンバーが戦闘向きとは言えないっスね。』
「これ、父様(とお瓜ちゃん)以外、非戦闘職ですが、大丈夫ですの?」
『少なくとも、陶芸家の爺様や、結界が決壊する巫女よりは自称料理人の駆け出し【魔王】、黒猫、無職の赤ん坊の方が戦力になるッスよ。』
「あんまりですわ〜」
こら、クロ!ウタコ姉様を虐めない!