空腹で生き倒れ
次の日、クロと一緒に食材の調達に卓状山に登ると小柄の女の子が倒れていた。
「お腹すいた・・・。」
「どうぞ。」
今朝握ったご飯を差し出した。
「足りない・・・。」
『この子何か変な感じがするっス。』
変な感じ?
『えっと・・・名前はメシダイスキ?イイダイスキ、転移した者・・・この子帝都に召喚されたとかいう・・・職が暴走しかけてるっスね。それで腹減り状態になり続けてるっス。』
何とかしてあげられない?
『うーん、ファイターって名前あるけど、これ戦闘職じゃないんだよな・・・。まぁ、異質だし切除しておくには越した事無いっスね・・・ってあれ?(この職業はゆ・・・)』
どうしたの?
『・・・・駄目っすね・・・。ファイター部分が外れないっス。うーん取り敢えず、彼女が戦える様にしておくっス。(本当はフードファイターという名の勇者だけど・・・)』
何とかなるんですね?
『これで丸く収めておくっス。戦えるのにしといたんで己の身一つで魔物も楽々狩れるっスよ。』
その後、女の子はお腹が減らなくなり、お礼として食材集めに協力してくれた。
その際、張り手だけで魔物を倒したり、魔物を投げ飛ばしたりしていた。
街まで一緒に戻り、宿の前まで来た。
「今日は、ありがとうございした。」
凄い力だったけど、何か悪いこと起きない?
『あの子に代わりに埋めた職業にデメリットあるっスよ?』
え?
『作った料理の名称っス。ちゃ・・・』
あんた、それって・・・何やってんの!?
『先に帰って下さいっス』
え?何で?
『用ができたっス。』
手伝いましょうか?
『いや、1人でやりたいっス。』
そうですか、珍しい。
『何の用だ?』
お瓜が先に家へ入るとクロは、そう呟いた。
「こわーい。」
ボーイッシュな少女が現れた。
『ふざけるな、クソ女神。』
「あれ?いつもの『っス』て語尾どうしたんですか?」
『用がないなら帰るぞ。』
クロが家へ入ろうとすると、赤髪と銀髪の女性が現れた。
「馬鹿が申し訳ない。」
「オウリ・ヨネトの末裔の者よ、私の・・・食の【勇者】を見つけた様ですね。」
『見つけたが、【勇者】の力が暴走しかけてた。適合者では無いな。』
「それで彼女を勇者から解放したと?」
『ああ。』
「でも、あなたは今持ってませんよね?勇者の力☆」
『持ってはいる。ご生憎様、誰かさんのお陰で人では無いのでね。勇者の力は使えなかった。』
「それでどうするのですか?」
『適性があり、あの人と敵対しない人を【勇者】にする予定。』
「そうですか、私はそれで構いません。オウリ・ヨネトに死なれると困りますから。」
『ただいまっス。』
クロ、どこに行ってたの?
思ったより遅かったけど・・・。
『ちょっと用を済ませに行ってたっス。』