魔物の来訪
今日の朝餉は珍しく家族全員揃っていた。
隣にいるクロと今日の予定を話し合う。
巨大な魚を釣りに行くために活きの良い虫を捕まえに行きましょうか。
『嫌っス。』
クロは白目を剥きながら即答した。
『だって魚の餌だとミミズとかっスよね?』
ええ、まぁ。
『嫌っスよ。アタシが昆虫嫌いなの知ってるっスよね?行きたくないっス。』
ですよねー。今日はレインさん暇らしいので誘ってみようかなー
とか考えていたらウタコ姉様が突如立ち上がった。
「大変ですわ!」
「どうしました?ウタコ姉様?」
「そうね・・・魔物が侵入してる。」
「おい、それって緊急対策案件マ号だろ!避難等は間に合うか?」
家族が慌て始めた。
「あれ?おかしいですわね?」
何がです?
「この家の前で止まったわ。」
母様と姉様は魔物の位置を察知しているので首を傾げている。
「そうか。なら俺たちでやるか。扉を開けたらオレとクロ介が仕掛ける。お前達は中にいろ。」
そう言って父様はクロを頭に乗せて扉を開けた。
『行くっス・・・ア゛ぁ゛ぁ゛ァ゛』
クロは魔物の姿を見ると断末魔を上げて泡を吹いて気を失ってしまった。
「クロ介どうした!?ぐはぁ!」
クロを心配した隙だらけの父様は吹き飛ばされてしまった。
『魔王様は御在宅でしょうか?私、巨大蚯蚓の魔物なんですが、配下に加えて頂きたく馳せ参じました。』
「・・・(ウタコ絶句)」
「・・・(ジュンコ絶句)」
「ふふ、すごい状況ね。」
姉様方は血の気が引いて固まってしまい母様は笑っていた。
私が家族を守らなくては。