さーべらす
犬ですかね?
『藪から棒にどうしたんっスか?』
食べたいなって。
『・・・』
クロが引いている。
前世の若い頃は食べてたんですよ?
「オウリお祖母様の仰る通りだよ、一時期は食べるものがなくてね。」
狩った動物の肉を納品しに来た公孫樹が珍しく口を開いた。
『イチョウさんが言うなら間違い無いっスね。』
クロ?(笑顔で)
『オウリサン、もうそろそろ焼き上がるっスね。』
あ、そうでした。
あの人に食べたいってお願いされたからクロに作り方を聞いて「ぱん」を焼いている。
焼き上がった、ぱんを風呂敷で包み一旦、店を閉めてあの人に、届けに行く。
あの人に、ぱんを届けに行くために城まで行く道中、仮面で顔を隠した人物が何かを行っていた。
『!?オウリさん、急いで、ここから離れるっス。』
え?
「いでよ!」
地面に陣が浮かび上がったと思ったら巨大な犬が現れた。
犬と言っても、首は3つあるのだが。
『何てものを召喚したっスか!』
あれって・・・!?
「サーベラス、わがしもべよ、この国を滅ぼすのだ!」
仮面の人物の命令を無視して巨大な犬は居眠りを始めた。
「言う事を聞ヴェ!」
仮面の人物は無理に巨大な犬を起こそうとして吹き飛ばされてしまった。
『完全に命令無視してるっスね。放置するわけにいかないし、どうするっスか?』
倒して良いんですよね?
『討伐して組合に持ち込めばお金になるっスけど・・・オウリさん、涎出てるっすよ・・・。』
へ?
『って危ないっス!』
クロのおかげで躱す事はできたが、背負っていた風呂敷事、ぱんを全て食べられてしまった。
『あ・・・』
あの人の為に作ったのに・・・。
許さない・・・。