籠の中身をどうするか
あービックリした。
魔法弾が直撃しそうになった時にクロが頭から降りて防いでくれた。
『オウリさんはここでレイさんといちゃついてるっス。夕飯までには帰るっス。』
クロは襲撃者との間合いを一瞬で詰めて拳を顔に当てるとどこかへ消えてしまった。
「大丈夫か?」
ええ。クロが護ってくれましたから。
「黒猫の事は心配いらんだろ?それよりも・・・。」
レインさんは虫カゴの方へ目を向けた。
「捕獲や討伐しても作物は戻ってこないしな・・・」
それなら飛蝗を食糧にしませんか?
「イナゴは食べるが飛蝗もいけるのか?」
前世の記憶が曖昧なので確かな事は言えないがいけると思う。
「天麩羅なんかどうですか?」
「無いなら粉は売りますよ?」
よく知っている(?)商人と宿屋の女将がやってきた。
アンタ達どこから・・・。
「オウリ、片栗が城の中庭にあるから、ぼったくり商人から買う必要はない。」
何であるんですか?
「数日前に玄米の発案で食用に使えそうな植物を研究する施設が創られてな。」
玄米・・・あの子ったら・・・。
それに母様も母様ですよ。
本来の城主は叔母なのだから無許可で改造はまずいでしょう。
「その点は問題ないらしい。ある方を介して確認を取ったとの事。」
ある方って赤髪の人?
「ああ、ここの所、城に出入りしている長身の女性だ。」
母様も叔母様も女神様に伝言を頼むなんて・・・。
お瓜は呆れた。
一方その頃
『アタシの言葉がわかるって事は転移か転生っスね。クホウトへの攻撃という事は例の帝都の転移者の1人っスか?・・・投降してくれると助かるっス。』
「は?たかが黒猫1匹に何で降参しなきゃならないんだ?」
『そうっスよね。命を奪わずにやるとなるとこの辺りっスね・・・。』
クロは黒猫から黒い服を着た人の姿へと変化していく。
「お前は一体何者なんだ!?」
『剣なき秤は無力、秤なき剣は暴力、顕現せよ見知らぬ誰かの思い、発動せよ固有スキル:異世界の誰か城!』
「これは!!」
『酌量の余地無いっスね。』
「いやだ!」
『装飾品の呪いに感謝するっスね。さて、オウリさん達の所へ戻るっス。』
クロは人の姿から猫の姿に変化し、お瓜の元へ帰った。