蝗害3
「オウリ、どうする?小さい飛蝗でも魔物だ。」
階級飛蝗種かな?
最下位の足軽から最上位の殿様までいるあの魔物ですよね?
「ああ、最下位の足軽、下位の徒士、中位の侍、上位の大名様、最上位の殿様だ。今目の前にいる大群の奥の方に殿様がいる。」
という事は・・・。
「悪いが、撤退だ。殿様だけでも厄介なのに、大名がかなりいる。群れの大半が侍だし、組合の方に増援依頼をした方がいい。」
組合で読んだ魔物について書かれてる書物によると、
群れを成した階級飛蝗を滅ぼすには対応した階級の風来者達が徒党を組んで倒すしかないらしい。
「そうだな・・・群れの規模から組合でも上位の風来者達を集めないと難しいな・・・。」
みんな別件で動いているらしいので無理では?
「そうだよな・・・せめて黒猫が来てくれれば・・・。」
クロ?あ、そういえば・・・。
クロが道中用意してくれた物を出しますか。
ここに来る道中でクロが虫取り網と籠を用意してくれたのでそれらを割烹着の袋の中から取り出した。
「虫籠と虫取り網?まぁ、取るならそれだよな・・・。しかし、籠は・・・」
『虫を網に入れれば自動的にその虫カゴに転送されるっス。虫カゴは無限に入るし、時間停止が掛かるんで封印と変わらないし、取り出す時はウィンドを開いて好きな数取り出せる優れものっスよ。本当ならアタシが行ければ説明しなくて済むっスけどね。』
クロの説明通りなら虫カゴは昆虫限定ではあるが貯蔵の壺と同様の効果があり無限に入れられる。
「なあ、この虫かごの時間停止って・・・それに虫取り網も2つあるんだが・・・。」
それ以上何も聞かないで下さい・・・。
(聞かれても詳しい事は解らないし)
2人で飛蝗を網で捕獲していく。
こちらに飛蝗が群がってくるが構わずに虫取り網を振り回して捕獲していく。
半刻(約1時間)もすると飛蝗はいなくなっていた。
『終わったっスね?』
完全に飛蝗が居なくなった所でクロがやってきた。
クロは私の頭の上に乗り虫カゴを見て何かを確認している。
『うわ・・・字面だけでも鳥肌が立つっスよ。・・・あれ?』
どうしたの?
『オウリさん、レイさん、周囲を警戒するっス。』
クロが慌て始めた。
『この蝗害、人為的に起こしてる奴がいるっス!』
「どういう事なんだ?黒猫。」
『画面上の虫には全て養殖って書いてあるっス。育てて放った奴が近くに潜んでる可能性が高いっス!・・・そこっス!』
クロが小判を投げると何かが動いた。
「へえ?よく気がついたね。じゃあ、飼い主ごと消えてもらうよ!」
魔弾が私とクロ目掛けて放たれた。
「おうり!」