表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
103/138

誰の見合い?

「おはよう、お瓜ちゃん。」

おはようございます。セリカさん。

お弁当の件ですか?

「その件の事で謝りに・・・御免なさい。フランさんからの連絡で、お頭が使い物にならないから組合所属の風来者達に念話で採決して組合自体を休業にしたの。」


採決に参加したらしいクロが今日は弁当を作らなくて良いというので、仕込みは行ってない。

(あれ?私も所属している筈なのに連絡来てない?)

私が首を傾げているとクロが何かを察したようだ。


『念話は距離と人数によって身体に負担が掛かるっス。だから常にオウリさんと一緒にいるアタシが聞いていれば良いって判断っス。(本当の内容はオウリさんが見合いするから皆で協力しようって内容だから本人に言うわけない。)』


成る程、それなら仕方ないですね。



セリカさんが帰っていくと、入れ違いで日比がやって来た。

「お見合いの会場で出す料理の手伝いをして欲しいのです。」

へえー、誰かのお見合いですか。


『レインさんの見合いっスよ。』

え?誰だって?

『レインさんっス。あの家老の息子で門番の。』


レインさんは、この国の家老であるグッド様の息子であるので政略結婚なのかと思う。


『鈍いっスね・・・。(政略結婚なら姫が筆頭っス。)』


・・・相手は誰なの?

「気になるなら見に行くのが良いのでは?」

「お仕事なら入り込めますからね。」

そうですよね・・・あれ?姉様方、今日のお勤めは?

いつの間にか姉達もやって来ていた。


「今日はお休みさせていただきます。たまには私達も1日中ゆっくりしたいですから。」

そうですか。


「あ、これを渡しておきますわね。」

御守り?

「恋愛成就ですわ。」

ちょっと姉様!?グッド様と私はそういう関係ではありません。(前世ではそうだったけれど、今世では違うから。)

それにグッド様とそのお見合い相手に失礼では?

「・・・え?それ本気で言ってますの?」

「鈍いわ、お瓜ちゃん。」

姉様2人の表情は残念な子を見るような感じになっている。


「王里婆さんいるか?」

曹達もやって来た。

今日は朝早くから来客が多い。

「お、いるな。預かってた物に関してだがな。お袋に爺さんが見つかったって聞いて、これを渡しておいてくれ。」




鍵?

「工房の鍵だ。■■に頼んで一度限りの使い捨てのものを造って貰った。爺さんに包丁を打ち直して貰うんだろ?」


そうだけど・・・レインさんはあの人であって、あの人ではない。

頼むのは気が引ける。



宿に向かうとヒビはおらず案内係の喋る雀がいた。

「お!来ましたね。ご案内いたします。」

『案内は不要っスよ。乗り気じゃないけど、アタシが案内するっス。ヒビに()()()()()()()()って伝えて欲しいっス。』


珍しくクロは私の頭から降りて歩き始めた。




『今回の見合いは仕組まれてるっス。レインさんの見合い相手はオウリさん、貴女っスよ。』

へ?

『タチの悪い事に国中(トラさんとアタシ以外)が共犯っス。』

それってどう言う事?


詳細を聞こうとしたらクロが立ち止まった。

クロが案内したのは《休暇人(きゅうかびと)の間》と書かれた和室だった。




『休暇人の間っス。アタシが案内しなくともヒビが本気を出せばこの部屋に飛ばされるっスよ。そもそもこの宿屋自体があの子のスキルっスからね。この宿に入った時点で詰みっス。』

そんな・・・。あの子も共犯なの?

『勿論、そうっスよ。』


この後、部屋に入って来たレインさんに土下座をして謝ったのは言うまでもない。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ