幕間 家族の企み:クホウトが動く日
私の名前はフランチェスカ。
クホウトという国の城主をしております。
本来ならば【魔王】に覚醒した三女が国主になる筈ですが、当人は料理人として生きると決めているので、私が生きている限りは国主で居ようと思います。
お瓜の元服の祝いを盛大に行い、お瓜がトコに着くのを確認して家族会議に入った。
「孫の顔を見たいわね。」
長女も次女も未婚で2人とも誰かと一緒になるなんて考えていない。
いくら長命種の妖精族の血を引いているとはいえ、孫の顔は見たい。
「孫なら此処にいるじゃないですか。」
この人はオオバコ・ヨネトといって前世の私達の孫に当たる。
まぁ、前世の記憶の持ち主が大葉子さんの祖母に当たる人だから、あながち間違ってはいないのだけれど。
「そうじゃなくてね・・・今のお瓜ちゃんの子供が見たいのよ。」
「・・・それなら見合いさせてみるのは?」
お茶を啜りながら老婆が呟いた。
この老婆はお瓜の前世の孫のイチョウ・ヨネト。
数日前に人族最高齢の風来者になった凄い方だ。
「なぁ、曽祖父さん見つかったって本当か?」
この大柄の人はソータツ・ヨネトといい、女人でありながら凄腕の鍛治師である。
お瓜ちゃんの前世の曽孫であり、うちの裏の竹林の奥に工房を構えている。
「母さん、女王様の前なのだから礼儀くらい弁えて!」
この女の子はお瓜の前世の玄孫。
名前はゲンマイ・ヨネト。少女の姿だが、三十路を過ぎていると言う。
「それで誰がご先祖様でした?」
この鳥人族の子はヒビといいお瓜の前世の昆孫の転生体だという。
「私が迎えに行くと男の人と言ってもまだ少年ですけど、母さんは私に紹介する際にこう言ったんです。『私の旦那様です。』って。」
大葉子さんが嬉しそうにお瓜ちゃんを迎えに行った時の話をしている。
「へえ〜料理にしか興味ないあの子がね。」
「やるわね、お瓜ちゃん。」
長女と次女は冷静に茶を飲んでいる。
まぁ、母親の私からしてもあの子は、色恋に興味が無くて料理一筋だと思って心配はしていた。
その憂いが少しだが取り除かれたと思う。
むしろ今1番心配なのは・・・
「!?・・・オウリニダンナ?」
大葉子さんの一言で衝撃を受けすぎた夫は口から魂が出かけていた。
それでどこの馬の骨なの?
お瓜ちゃんの護衛を務めている黒猫に問いただしてみた。
『ちょ!殺気ダダ漏れっスよ!城で門番やってるレインって男っスよ。』
「そう、レインね。クロちゃん、明日のお瓜ちゃんの予定は、一日中お店よね?」
『そうっスよ・・・?ちょ・・・何でみんなして口元がにやけてるんっスか!?ヒビ、こういう時はアンタ止める側じゃないっスか!?トラジロウさん、正気に戻るっス!みんな何か企んでるっスよ!?』
夫とクロちゃん以外はみんな同じ事を考えたのであった。