①
「出た……!出たわ!」
「アリア、しっかりするんだよ。」
なんだろう、周りが騒がしい。
それに何だか息苦しいし……、真っ暗だ。
「先生、赤ちゃんが泣きません!」
「かして!」
な、なんだ。
何か身体がグルグル回って……。
「ほら!しっかりするんだよ!泣きな!しっかり泣きな!」
泣きなって、僕に言ってるのか?
そんなこと急に言われたって……
「ファ……」
「ファギャァー!!ウギャァー!!オギャァー!!」
な、なんだ!?
喋ろうとしたら変な声が出る、てかこの声、これじゃまるで……。
「よーし、泣いた!アンタ、お父さんを呼んできてあげな!」
「はい、先生!」
「おー、よちよち。元気な子だね。アリアしっかりしなよ、大丈夫かい?」
「だ、大丈夫です、それより先生……。」
「あぁ、安心しな。ほら、元気な男の子だ。アンタの赤ちゃんだよ。」
「あ、あああ、ああ。」
「アリア!!」
「カルロス……。見て。」
「お、おおお。」
「私達の赤ちゃん、元気な男の子よ。」
「男の子か、でかした。でかしたぞアリア!!」
「みんなー!!俺の子だ!俺達の息子が産まれたぞぉー!!」
お、おい。ちょっと待ってくれよ。
赤ちゃんて、一体……。
やっと、うっすら周りが見えてきた。
「私の可愛い赤ちゃん。」
な、なんだ。ここ。誰だよこの人。
僕がこの人の赤ちゃん?
ちょっと待ってくれ、僕はもう高二で。
今日は待ちに待ったキャラ本の発売日で、帰ったら新作ゲームの続きをして……。
ぼ、僕。一体どうなっちゃったんだよ……!




