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僕はその日、全速力で走っていた。

そして、通学路の途中にある本屋へ駆け込んだ。


「おや、どうした。そんなに急いで。」

「はぁはぁ……おじさん、注文してあった物、届いてますか?」

「あぁ、届いているよ。ほれ。」

「おおおおおおおお!やっと僕の手元に来てくれたんだね、愛しの"魔法使いマギー・キャラクター大全集"!!」


「本当に君はいつも耳が早いな、そこら辺の本屋スタッフより情報が早いぞ。」

「当たり前ですよ、伊達にオタクやってないですから。」


威張ることでも無いが、嬉しさのあまりついつい口も軽くなる。


「おじさん、いつも申し訳無いんですけど……。」

「わかってるわかってる。ほら、奥の椅子を使いなさい。」

「ありがとうございます!」


一刻も早く手に入れた本を読みたい僕は、いつも本屋のおじさんに甘えて椅子を貸してもらうのだ。


「ちょっと店長……、今から私あそこに座って検品しなきゃ駄目なんですよ。」

「ん、あぁ。君は新入りさんだったな。大丈夫大丈夫。」

「大丈夫って、定時までに終わらなくても残業はしませんから……」

「おじさん、ありがとうございました!」

「え!?」

「おぅ、今日は一段と早かったな。もう良いのか。」

「はい、全部楽しく読ませて貰いました。いつもありがとうございます!」


そういうと僕は、満面の笑みを浮かべて馴染みの本屋を後にした。


「て、店長。今の……読み終わったって。」

「ははは、驚いたろう。あの子はな、只の漫画好きの少年じゃない。"速読術"って知ってるかい?」

「えっと、確か本を読むのが早くなる技術ですよね。」


「そうだ。その速読のスピード、正確性、記憶力を競う大会で、あの子は高校生でありながら三年連続日本代表。今年は遂に世界大会でも優勝してしまった。つまり。」


「……つまり?」


「彼はいま、世界で一番本を読むのが速い男なんだよ。」


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