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境界の呪歌

掲載日:2018/09/23

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始めに石があった。

次に血と肉ができた。

ほむらが空を覆い、大地を繋ぎとめた。

風が吹き、穢れを清め魂が廻った。

冷えた大地に雨が降った。

雨は命を流し巡らせる。

石と血肉と魂を生命が包み込み、獣となった。

獣は大地の歌である。

歌は巡り廻り大地を覆う。

響く音は大地を縊り、世界を穿つ。

穴より出づるのは悍ましき虚無。

虚無は混沌の対極である。

虚無に呑まれれば何もない。

混沌はこの世界である。

世界には何もない。

あるはない、ないはある。

無は存在しない。

存在はある。

まやかしはない。

忘却はない。

喪失はない。

すべては巡り廻る。

ないはある。

あるはない。

闘争はある。

悲嘆はある。

歓喜はある。

喝采はない。

響き渡る歌曲に意味はない。

貴賤はない。

天の歌は神である。

神は全能である。

全能は全能故に失敗もする。

成功しかしないものは不完全である。

全ての可能性は等しく同価値である。

価値はまやかしである。

完全とは単一でのみ存在する。

完全とは孤である。

許されざる大罪。

天の焔が大地に根付いた。

戦禍は焔である。

焔は空の篝火。

導きの光は当人には届かない。

狂信は毒である。

足音は崩壊する。

痛みは焔になる。

酔夢に浸るのは悪漢。

代償は破滅の泡沫の夢。

星は地に堕ちては輝かない。

天性は相応しき場にてのみ輝く。

怪魔ありて天を穢す。

魔性は場を選ばない。

光はない。

闇はない。

願いはない。

望みはない。

妖満ちて地を惑わす。

風の歌、焔の歌、尽きぬ命の歌。

潰えた希望の歌。

絶望は石に宿る。

悪意は志に宿る。

流れ廻るは生命の理。

理は使命。

使命は天命。

天命は必ず訪れる終焉。

至命は巡り、移り変わる。

個は幻。

孤は現。

現の夢こそ幸福な幻。

存在とは移り変わるもの。

我執は苦の源。

執着は迷い。

惑迷は混乱。

天の杯から零れ落ちるは冥川の雫。

忘却と常若の清水は輪廻の呼び水。

外殻を形作るは心裏の瑕疵。

表裏は入れ替わり、攻守は反転する。

表も裏も等価である。

法則はない。

等則はない。

同一ではない。

愛とは執着である。

恋とは欲望である。

憎悪とは反転した愛である。

積み上げた執着の石は視界を遮り道を塞ぐ。

未知は可能性、不可能性。

奈落の天井に光はない。

崩壊は終焉。

時はない。

あるはある。

ないはない。

過去は存在しない。

未来は存在しない。

今だけが実存する。

時は虚像の投影。

記憶はまやかし。

実存は意識の陥穽。

惑乱の根源。

存在、非存在は本質的に等価である。

自我は幻影。

積み上げた法則の導く機構。

その取捨選択こそが個性である。

選択はそれまでの選択の作用である。

全ての法則、全ての機構を把握しているものはいない。

全知はない。

虚偽の幻想。

すべては勘違いである。

滑稽故に法則はない。

共感とは誤解である。

世界は誤解で周知される。

相互理解は相互不理解である。

己が誤解していることを承知せずに理解はできない。

光は世界を巡る。

廻る。

巡る。

最果てに届く光は星である。

星は軌跡を描き、時を導く。

再会はない。

境界は一定しない。

星辰は境界を照らす。

鏡の祭壇。

刻まれた印は切り落とされる。

波を呼ぶ笛が響き夜が落ちる。

夜と昼の境界に魔は満ちる。

魔は悪ではない。

選択こそが悪である。

魔は欲に宿る。

欲は生である。

生に意味はない。

大地の歌はただ響き続ける。

天の歌は既に途切れた。

音価は高く低く重なり合って届く。

沈黙は占有。

共鳴は鏡写し、夢見る神の雫。

有限の試行では届かない。

無限は神の業である。

全ては巡り廻る。

獣の業はこの世の地獄。

地獄は人間じんかんにこそある。

業は人の間を巡る。

世は押しなべて詮もなく、是非もなく、ただ流れるのみ。

ここは業の吹き溜まり。

魔の集積場。

地獄の顕現を待つ場所。

呼び覚まされしは阿鼻叫喚。

今、別れを告げよう。

終焉の刻がきた。

幼少期に決別を。

さようなら。



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