77話 友達になりませんか?
よろしくお願い致します。
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今、俺はカレンという赤毛のショートカットの女の子に手を引かれ、王城内の何処かへと連れて行かれている。
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それにしても、このカレンって娘は、テンションが高過ぎてちょっと疲れる……おそらく、テンションの高さなら、そのスペックはノエルですら及ばないかも知れないな。
そんなくだらない事を考えている内に、どんどん腕を引っ張られて行き、やがて、ある場所に辿り着いた。
薄暗い少し広めの廊下に長椅子が設置してあり、そこに座っている人影と、両腕を組み、壁に背をもたれながら立っている人影が確認できる。
ソニアとダンだった。
「よう」
壁に背を預けたダンが片手を上げ、俺に声を掛けてきた。
「やあ」
俺もそれに手を上げ答える。そして椅子に少しうつ向き加減で座っている、ソニアにも声を掛けた。
「こんばんは、ソニア」
彼女は身体を少しビクッとさせてから、返事を返してくる。
「あっ、ああ……こんばんは……」
何か元気ないな……。
それとは関係なく早速、カレンとダンが言い合いを始める。
「おめぇ、おっせーよっ、どんだけ待たせんだよっ! 大体、俺はお前らに付き合わされてるだけなんだぞ!」
「黙れ、クマ! こっちはデュオとフォステリアさんが、何かいい雰囲気だったから、声を掛けるタイミングが分からなかっただけなんだよーっ!」
「だから……クマ言うな」
相変わらずの展開……まあ、それはともかく、そろそろ本題に入ろうか。
「三人揃って一体、私に何の用なんだ?」
すると、カレンが俺の両手を握り締めながら言ってきた。
「私達三人を、ユーリィとセシルに会わせてくれないかな?」
「………」
“何故会いたいのか”……その事に心当たりがあったが、わざと質問してみた。
「なんでふたりに会いたいんだ?」
その問い掛けにカレンは、握っていた俺の手をほどき、ソニアの横へと座る。そしてやさしく彼女の肩を抱き、頭をそっと自身の方へと寄せた。
ソニアは無言でカレンに身体を預ける。
───
「私達三人はデュオ、あんた達と戦ったのが、初陣だったんだ……」
ソニアを抱き寄せたカレンが、静かに話し始めた。
「この教国の辺境の地で、私達の部族は身を隠しながらひっそりと生活していた。幼く物心ついた時から、日々戦う訓練を強いられ、ひたすらに殺戮の技術を身に付けてきた。そして族長から毎晩、呪詛のように繰り返し、刷り込まれる復讐の言葉──」
カレンは項垂れるソニアの頭を、やさしく撫でている。
──人間は我ら、獣人にとって憎むべき敵! 討ち滅ぼすべき邪悪な存在! その昔、我ら獣人の一族は忌々しき人間の手によって滅亡まで追いやられた! 今はきたるべき復讐の時まで、他のものは必要とせぬ! ただひたすらに復讐の刃を研ぎ澄ますのだ!!──
「──そう教えられて育ってきた。私達はその事を己の信念とし、当然、それが当たり前の事だとずっと思っていた。やがて、獣人の王が突然、復活した。それにより私達、野に潜んでいた部族にも招集が掛かってきたんだ。私達は何の疑いも抱かずに、人間を殺す為にその戦いに身を投じた……そして初めての戦いで、デュオ。あんたに出会ったんだよ」
「………」
ソニアはカレンに身を委ねたまま、動かない。ただ時々、身体を小刻みに打ち震わせていた。
ダンは立ったまま目を伏せている。
「私とダンは結局、『人間を殺す』という行為を実行できないまま、私はあんたに、ダンはフォステリアさんにやっつけられて、『人間を殺す』という行為を実行できずに済んだ。だけど……」
その時、ソニアがビクッと身体を大きく震わせた。カレンがやさしくそれを宥めながら、言葉を続ける。
「だけど、ソニアはふたりの人間の命をその手に掛けてしまった……しかもユーリィとセシル、ふたりの前で……だから、ソニアを──」
「──待ってくれ!」
ソニアが急に立ち上がり、会話を中断させるように声を上げた。
「これから先は、私が自分で言う……」
彼女は何かを決断したかのように、キュッと表情を引き締める。そしてゆっくりと話し出した。
「あれはユーリィとセシルの結婚式が終わった後だった……その中である話し声が聞こえてきたんだ……」
◇◇◇
「ユーリィさんとセシル様、本当に嬉しそう。おふたりには是非、幸せになって欲しいわね」
「ええ、私も本当にそう思う……ニコライもきっと、誇りに思ってるに違いないわ。自分の命と引き替えに守ったふたりが結ばれた事に……これで亡き夫、ニコライも浮かばれる事でしょう。でも、できればあのおふたりの幸せそうな姿を、あの人にも見せてやりたかった……生きて私達、家族と一緒にいて欲しかった……」
!!………。
「お母さん、泣かないで……」
「ママ、泣いちゃやだ……」
──あっ……。
その声を聞き、私は身体が凍り付くような感覚に襲われた。そして声がした方向へと振り向く。
そこにはしゃがみ込み、泣き崩れる女性と、それに小さな幼子ふたりが、泣きながら抱き付いている姿が目に飛び込んできた。
「もう大丈夫……ふたり共、心配させちゃってごめんね。これからは、お父さんの分までお母さん、がんばっちゃうから、だから……これから三人で力を合わせて、一生懸命に幸せに生きて行こう……ね?」
「「うん」」
……ううっ
私はその会話を聞き、息が詰まり、胸が張り裂けそうな感覚に陥るのを感じた。
とにかく、あの人達の元に行って謝罪しなければ……。
私は彼女達の元へ行こうと試みる。だが……怖かった! 勇気が出なかった!……戦場では恐怖も感じず、勇気を奮い立たせ、戦う事ができた私が、一歩も踏み出す事ができなかった。何故なら──
私は一族の復讐を目的に、今までを生きてきた。人間は奪う邪悪な存在なのだ……その信念の元に。だが今、あの母子にとって、私自身が大切な者を奪った略奪者……私は“復讐されるべき邪悪な存在”になってしまったのだと──
──ああ
その時、私は思ったんだ……戦場で奮い立たせる勇気なんかより、人に対して何かをやり遂げる。思いやる勇気の方が、何倍も難しく、そして困難な事に──
◇◇◇
「結局、私はその家族に声を掛ける事ができなかった……それでも私はもう、忌まわしい過去の信念とは決別した! 少なくとも私はそのつもりだ!……だが、あの時。私は身体を動かす事ができなかった……もう、過去に捕らわれたくはないんだ……私は先に進みたい。だから、ユーリィとセシルに会って謝罪して……そして未来へと進みたいんだ! だから……頼むっ!!」
ソニア。彼女は泣いていた。そしてただ懇願するようにその言葉を口にする。見ればカレンも涙を流していた。
ダンは変わらず、立ったまま目を伏せている。
………。
俺はそんな三人の姿を見て、そしてゆっくりと声を出した。
「ソニアの覚悟は良く分かった。付いてきて、ユーリィとセシルに引き合わせてやるよ」
それを聞いたソニアは、涙でくしゃくしゃになりながらも、笑顔の表情を見せた。
「……ありがとう、デュオ」
───
俺達、四人はユーリィとセシルがいる場所へと進んで行く。
やがて、会合が行われていた部屋の前に辿り着く。その扉の前で、ひとりの若い神官戦士が警護として立っていた。
俺は早速、声を掛ける。
「ユーリィとセシルは、まだいますか?」
「あっ、これはデュオ様、ユーリィ様とセシル様は、システィナ様と共に、まだ中で会議中です。何かご用でしょうか?」
神官戦士は、少し緊張した面持ちでそれに答えてきた。
「ユーリィとセシル、ふたりに少し用事があるんだけど、いいかな?」
「はい、デュオ様であれば。少しお待ち下さい」
そう言って彼は扉を開き、中へと入って行く。
───
しばらくして再び姿を現し、声を掛けてきた。
「どうぞ、デュオ様。中へとお入り下さい」
その声を聞き、俺は少し部屋の入り口から離れて立っている三人に声を上げた。
「さあ、三人共、来てくれ」
「いいの、私達が入っちゃっても?」
「はあ? 何言ってんだよ、カレンらしくもない。いつもは所構わず猪突猛進なくせに」
「あーっ、はいはい、どうせ私はバカですよっ!」
そうやり取りしながらも、神官戦士に事情を説明し、俺を含めた四人は部屋の中へと入った。
その姿を目にした司祭システィナが、声を掛けてくる。
「デュオ様、如何なされたのですか? おや、あなた方は……」
俺の後ろに立っているカレン達を見て、システィナは何か思案をしている様子だ。そして──
「ユーリィ、セシル。私は少し席を外します。残った分は、また明日の勉強会に回す事としましょう」
「はい、分かりました。お疲れ様です。システィナ様」
「ありがとうございました。システィナ様」
ふたりがそれに答えた。そしてシスティナは部屋から出て行く。すれ違いざま、小さな声で彼女は俺に言う。
「ユーリィとセシル。ふたりをお願いね、デュオ様」
やがて扉が閉まり、ユーリィが声を掛けてくる。
「デュオさん。僕とセシルに、ご用とはなんでしょうか? それと後ろの人達は?」
俺がそれに答えるよりも早く。
「確か、カレンさんとソニアさん。それとダンさんでしたね? この度は救助活動を含め、色々と力をお貸し頂き、ありがとうございました」
セシルがユーリィに代わり、そう答えた。その声に少し戸惑った様子のカレン達、三人。
「あっ、いえ、急にごめんなさい。あなた方の事はエリゴル様よりお聞きしていたので……」
彼女はそう付け加えた。
「ユーリィ、セシル。実はこの三人が君達と話がしたいそうなんだ。だから、ここに連れてきた」
「そうでしたか。それでは立ち話もなんですので、どうぞ、席にお着きになって下さい」
ユーリィは俺達、四人に席の方へと勧めた。そしてユーリィとセシル。それに俺。その対面にソニア、カレン、ダンがそれぞれ席に着く。
「それでお話とは?」
まずユーリィが声を発してきた──誰も何も答えず、少し沈黙の間が空く。
───
やがて意を決したようなソニアの声。
「ユーリィ殿、あなたは私の顔と名前を覚えているか? 私の名はソニア……」
ソニアがユーリィの目を真っ直ぐ見ながら、そう声を上げた。
「……!!──あ、あなたは……あの時の、白い狼の獣人……?」
ユーリィは驚愕の表情を浮かべる。
「………」
一方のセシル。彼女は比較的落ち着いた様子で、憂いを帯びた視線をユーリィに向け、送っていた……もしかすれば、彼女は既に知っていたのかも知れない。
「……そうです。私はあなた方ふたりに、酷い仕打ちをしたあの狼の獣人、ソニアです……わ、私は!」
急に彼女は立ち上がり、卓上に頭を擦り付けるようにして頭を下げた。
「私は……あの時の私は、人間は殺されて当然の存在だと……そんな愚かな妄想を抱き、そして現にふたりの人間をこの手で殺してしまった……それにより、ユーリィ殿とセシル殿に深い傷となる大きな悲しみの感情を与えてしまった……それに対して私は謝罪したい!!」
ガンっと自らの頭を机に打ち付け、ソニアは謝罪の言葉を続ける。
「……どうか、どうか、この私の謝罪の言葉を受け入れてくれないか? 許してくれなくてもいい! ただ、受け入れてくれるだけでいいんだ! でないと、私はもう前に進めそうに……ない……」
「……ソニアちゃん」
「ソニア、お前……」
漏れてくるカレンとダンの声。
……ソニア。
その様子を見ていたユーリィは、ゆっくりと立ち上がり、ソニアの手に自分の手を添えた。そして静かに話し出す。
「ソニアさん、もう充分です。さあ、顔を上げて下さい」
ソニアは頭を上げ、泣き腫らした顔でユーリィの方へと目をやる。
「あなたの気持ちは良く分かります……僕も幼い頃に育ての親と姉を、獣人の一族によって失った過去があります。その時から僕は獣人を酷く憎み、復讐を誓い、その事が自身の生きる信念となった時がありました」
「ユーリィ……」
隣のセシルが呟く。
「もしも、その時にあなたと同じ立場になっていたのならば、僕は間違いなく復讐の対象となる獣人に、その刃なるものを突き立てた事でしょう……現に負の感情に支配されていたとはいえ、あろう事かセシルに対し、その復讐となる刃を──」
ユーリィは添えていない方の手のひらを見つめている。
「何よりもセシル。彼女の誓いを果たせぬまま、僕は一度、死んでしまった。彼女ひとりを残して……負の感情に染まってしまった僕……そんな自分が、一番許せないんです」
「……ユーリィ……」
悲し気な声で、セシルは再びその名を呼ぶ。
「だから……そんな僕に、あなたのその謝罪の言葉を、受け取る資格なんてありません」
そのユーリィの言葉に、ソニアは立ち上がり、叫ぶように声を上げた。
「そ、そんな! ならば、私は一体どうすれば……だったら、頼む! せめて、私が手に掛けたふたりの家族と会わせてくれないか……?」
「亡くなったおふたり。ゴルドーさんに母親が残されていましたが、元々、重病に侵されていた彼女は、その後を追うようにお亡くなりになりました。ニコライさんの残された三人の家族は健在ですが、会わない方が良いでしょう……お互いの為にも」
「そ、それでは、私は一体どうすれば……いいんだ……」
ユーリィは再び、今度は添えた手でソニアの手を握り締める。
「僕とセシルを守る為に死んでいったふたり。ニコライさんとゴルドーさんの事を思うと、僕個人的にはソニアさん。あなたに対して、まだ、許すという感情を持つのは難しいかも知れません。自分でもあまり自信がないんです……だから、まずは……」
泣き腫らしたソニアに、ユーリィがやさしく微笑み掛ける。
「──友達になりませんか?」
「……えっ?」
「まずは友達になって、それから、どれだけ時間が掛かってもいい。その許すという感情を、お互いに育てて行きたいんです。そして協力して、この国をふたつの種族が共存して行く国を作って行きたい。その為に力を合わせ、苦難と喜びを共にして進んで行く同志、仲間……やがて、互いに許し合える関係に。それが、共に信じ合い共感できる存在、“親友”だと僕はそう思っています……ソニアさん。どうですか?」
ソニアの目に再び涙が溢れる。今度は悲しみではなく、喜びの涙が──
「友達になってくれませんか?」
「はい……ううっ、ありがとう……これで、ようやく前へと進んで行ける。本当にありがとう……」
ソニアはユーリィの手を握り返し、涙を流しながら感謝の言葉を繰り返していた。
「ありがとう……」
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「え~っ、ちょっとソニアちゃんだけ~? 私は~?」
半泣きのカレンが涙を拭いながら、わざと陽気な声を上げた。
「勿論、カレンさんとダンさんもよろしくお願いします」
ユーリィに代わり、今度はセシルが微笑みながらそう答える。
「うわぁ~い、いやったぁーっ! これからよろしくねーっ! ユリっちにセシたん!」
無邪気に喜ぶカレン……。
うん、いきなりのあだ名呼び。一気に友達としての距離詰め過ぎっ! さすがハイテンション上位スペック保持者、カレンだけの事はある。
「えっ、ええっと……ユリっち?? セシたん??」
ほら見ろ、セシルが目を丸くしながら、少しうろたえているじゃないか。まあ、そうなるだろ、普通……。
「あっ、私達の事も呼び捨てでいいよ~、勿論、敬語もなしで。何なら好きにあだ名つけちゃってくれてもいいんだよーっ」
「おいっ、カレン。お前、これはいくら何でもはしゃぎ過ぎだろっ!」
さすがのダンも止めに入る。
「ああ、ちなみにこやつの事はクマと呼んでやって下され」
「……だから、クマ言うな……」
そんな様子を見てセシルは、クスッと笑いの声を漏らす。
「ふふっ、楽しそうですね。それにクマって言うのも何だか可愛いです」
その声を耳にしたダンが急に背筋を伸ばし、表情をキリッと引き締めてセシルの手を取った。そして彼女の目を見つめながら、低い声で囁くように言う。
「わたくしの事はダンとお呼び下さい。美しい姫君、セシル嬢……貴女さえよろしければ今度、ふたりで御一緒にお食事でもいかが──って、ぐっ、ぐおおおっ!!」
──バキッ!
──ドカッ!
響き渡る打撃音と姉妹の怒声。
「「この腐れ外道!!」」
……ドサッ。
そして地面に崩れ落ちるダン。
もうお決まりになりつつあるいつものパターンだ。
「あんた、一体、何考えてんのよっ! セシたんは人妻なのよっ!」
「さすがにそうだ! 人の道を踏み外すにも程っていうものがある。いくらモテないからといって、手当たり次第に手を出すなっ!」
ふたりの攻撃を食らい、地面に伏せっていたダンが、痛そうに腰の辺りを擦りながら上半身を何とか起こそうとしていた。
「……くっそーっ、痛えぇ~っ! ソニア。てめぇ、落ち込んでたんじゃないのかよっ!─って、まっ、いいか。良かったじゃねぇかよ、いつもの調子が戻ってきてよ」
その言葉に突然、顔を赤らめ、ソニアは棒立ちになった。そして両手を前に突き出しながら、言い訳を始める。
「い、いや、これはだな……反射的につい──」
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騒がしくも穏やかと感じる時……不意に聞こえてくるユーリィの笑い声。
「ぷっ、あは、あははははっ……あ~、楽しいですね、皆さん。きっと僕達、良い友達同士になれますよ。改めてよろしくお願いしますね?」
「あ~っ、ユリっち、敬語ダメって言ったじゃん! ちゃんとタメ口で話してよねー」
「ああ、ごめん、えっと……じゃあ、改めてよろしく。カレン、ソニア、ダン」
「あいあいさー、よろしくねっ」
「ああ、よろしく頼む」
「おう、よろしくなっ」
最後にセシルが一言。
「みんな、返事がバラバラだね……ぷっ、くすっ、あはははっ」
そして笑い合う五人達……そんな姿を、俺とノエルは微笑ましく眺めていた。
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『まあ、取りあえず良かったな。こっちも上手くまとまってくれたみたいで』
『うん、そうだね……でもさ、何かひとつだけ気になってる事があるんだよね』
『うん? 何だよ』
『いや、カレンってさ、名前呼ぶ時って、ちゃん付けとか、あだ名呼びじゃない? 今回もユーリィとセシルにもあだ名つけてたし。フォリーさんはともかくとして私達、デュオは同じ年頃なのに、なんで普通に呼ぶのかな~、なんて』
『別に深い意味なんて、ないんじゃないの?』
『……いや、もしかしたら。彼女、デュオに対して何か特別な感情でもあるんじゃないのかなーって、思ってみたり……』
『げげっ、まさか、デュオは女だぞっ!─って、カレンってだけにあり得なくもない……』
『取りあえず……』
『『考えない事にしよう……』』
最後に俺とノエルが出した結論は、久しぶりに一致したのであった。