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050.提案/約束


・・・・・





団長はイラヘーネルと同盟を組む。一年前彼女が始めて降り立った時に戦闘が起こった。その時に、これから訪れる男の保護を頼まれる。以下、私が出現したことや場所、その全てを彩花……。「ネメシス」が知っていたと知る。つまり。イラ・ヘーネルは彼女に連絡をしていたということになる。



イラ・へーネルに蓄積された情報、この世界の基礎知識、この世界のどこかに消えた冬月不悠乃、そしてそれら全てに関連している……ネメシス。様々な話を織り交ぜながら続け、幾許の時間が経つ中で。イラ・へーネルから、空中に存在する「ツェッペリン」というネメシスの拠点には向かうことは出来ないが、調査の手助けは可能であるとの提案があった。



私としても、彩雲彩花が頭上に存在していることが判明し、少しばかり落ち着きを取り戻した中で、()えて団長に対し、どのような連絡手段を用いてネメシスと繋がっているのかと尋ねる。答えとしては、団長が所有している思念伝達能力による感覚共有の(たぐい)であり、私がそこに付け入る隙はないという。



そして、その会話以来。ネメシスとの通信が一方的に遮断され、連絡手段が消え去ったことを告げる。これが、彼女の意思なのか。それとも目の前の彼女の意思なのか、知る術はない。



会話の区切り。イラ・へーネルの提案を軸にした、新拠点の調査の後。この基地を出発することが決まる。……こうして、私とイラ・へーネルは。足を動かし、口を動かしながら、搬入口を目指し始めた。





「そういうことだ。君も気になることはあると思うが、ネメシスとの通信が遮断されたのがやはり気にかかる。今しばらく、……そうだな、力を貸してもらうことになりそうだが、大丈夫か?」



「はい、その点は問題ありません。私は、この世界について分からないことだらけですし。せっかくへーネルさんやファブリカさん、ダルミさんに……オリヴァレスティに出会ったことで、それらを知ることが出来るなら、調査の準備になります。……それに」





私は手首に付けられたティブライユールO-3を見る。目標である搬入口に辿り着き、そこを抜けると、ファブリカとオリヴァレスティが、清々しく立っていた。





「私、彼女達のような力が使えるのかどうか、一人では不安ですから」



「ああ……それもそうだな、それといってはあれだが、王国で、自らの力について調べてみてもいいかもな。……これでいいんだなオリヴァレスティ」



「そ、そうだね、兄ちゃんには悪いことしたし、お礼するって言ったしね」



「=うん。仕方ないね、でも……うん」



「?」



「合図だよ合図。こいつ、恥ずかしいのかなんなのか分からないが、ずっとやってたぞ」



「ちょ、それは言わないでって……」



「=うん。悲しい。うん」



「そうか……覚えていてくれたのですね。……分かりました。その気持ち受け取らせてもらいます」



「そう来ないとな、さて、そうとなれば、先程決まった通りにこの基地を出発し、オネスティの調査を支援する為に我が基地へと向かおうじゃないか」



「おー!」



「=うん。実は楽しみ。うん」



「決まりですねー! でしたらー、へーネル団長ー!」



「お、なんだ? ファブリカ」



「オネスティーくんにはー、シュトルムさんとの約束があるみたいなのでー向かってもらったついでにー、出発の報告をお願いしてはどうでしょーかー!」



「ああ。そうしよう。オネスティ……早速だが頼めるか?」



「……はい、問題ありません。では、シュトルムさんを呼んできますね」



「ああ、頼んだぞ」





通信が途切れた彩花の詳細を探るために、あのツェッペリンを目指すことを目標とし、任務である監視対象との合流と、先遣隊の調査。彩花と彼女との繋がりを探り、魔術書を所持した状態にて元の世界に「帰還」することが今後の動きだ。そのために、この世界の情報を吸収できるだけ吸収し、トーピード魔導騎士団を仮の拠点と定め、調査にあたって必要な準備を進めることにする。



一年前、先遣隊と共にこの世界に向かった彩花の壮大な記録といい、先程逃した冬月不悠乃といい、彼女らが使用したという特能・重複について、私が所持しているのか否か、確かめなければならない。そして、その使用に関して一切を知り得ていない為、今は、彩花……ネメシスが作ったイラ・へーネルとの協力関係の中で生き長らえることを念頭に、今後の調査における「力」をつける必要あると考える。





・・・・・・





ファブリカの提案により、先程シュトルムから告げられた通りに、彼が姿を消した扉の前に立つ。そこで私は、入室許可行動(ノック)をしようと一歩を踏み出すと、扉が自動で開き、まるでそれがあの世界の自動ドアのようであるとの印象を覚える。





「お疲れ様です。オネスティさん。出発なされますか?」



「はい、団長と……を助けていただきありがとうございました」



「いえいえ。お互い様ですよ。……オネスティさん。約束のものが完成しました。是非ご覧になってください。使用方法についても変更点がありますので……」


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