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049.把握/特異


「おっと、その話は直接聞いた方がいいな。……さて、特能について話を戻そうか」



「……」





(直接って……それは)





「つまるところ特能とは、その名の通り特殊能力の略称だ。これも重複と同様に希少なもので、普段から使えるものとは大きく異なり、本人のみにしか扱えないという魔術の(ことわり)から外れた唯一無二の()なる存在であることから、特能は大賢者が(のこ)した固有魔術とも言われている」



「────……」



「さらに、特能にもいくつか(くらい)があり、例えば『捕食』の中にも対物捕食と万物捕食があり、万物と名がつく方が規模が大きく強力なものが多い。また、そのような区分分けがされていない、それこそ『粒子化』のような『化』とついた特能は、その能力を最初に発現させた術者の死亡と共にその特能は永久に消失する故に、他の特能とは比べ物にならない性能を秘めているそうだ」





(対物や万物という文字が含まれているものが特能で、化とついているものはその中でも強力ということか)





「それでだ。オネスティ」



「……ええ。なんですかへーネルさん」



「私は先程。帰還者はその特異性から、この世界に降り立った時より潜在的な体内魔素が活性化し、重複や特能がその身に宿る……と言ったよな」



「……確かに、言いましたね」



「察しのいい君なら、薄々気づいていると思うが。私が何故、出会ったばかりの見ず知らずの他人である君を王国最重要の基地であるこの場に、入れたのだと思う?」



「それに関して……ここで、先程の謎……というか、ネメシスが関わっているのですよね」



「ああ、そうだ」



「なるほど。敢えて基地に侵入させたと、あれは彼女からの指示……芝居だったのですね」



「まあ芝居というでもないが、たしかにあれはやりすぎだったな。……まあ。オリヴァレスティは召喚された帰還者を奪還するべく行動し、我々の拠点に誘導。そして我々は君を以後保有していたことになる」



「……オリヴァレスティは魔導騎士団の団員……私の訪れは彼女が把握していたということですか」



「……そうだな。もしかしたら君も、あのネメシスのように重複や特能が使えるはずなんだ。王国としては、帰還者であるネメシスとの永続的な友好関係構築に失敗しているから、君という人材の確保に躍起(やっき)になっているだろう」



「まさか、今後、へーネルさんは私を王国に引渡すために────」



「いいや、そんなことは頼まれても……しない」



「?」



「実はここに帰還者が来るという情報は、ネメシスと我々トーピード魔導騎士団しか知らない。君がここにいるという情報は王国騎士団の均衡を崩しかねない重要なものなのだ。もし、君が王国の手に渡れば、どうなるかは目に見えている」



「……戦うことになるのですね。それも王国の意思で」



「ああ、そんなことはさせない。たとえ、君があの時の彼女の戦力を削ぐような協力や力を保有していたとしても、王国の被害は一年前のそれを上回るだろう。やっとの事で訪れた、この落ち着きを崩す者は何であれ排除するつもりだ────……ってそんな固まらなくていいだろう。別に君を殺そうなんて考えてはいない。私は王国から君の存在を隠蔽(いんぺい)し、その為に身の保証をする。それが彼女からの要求だからな」



「つまり、あなたにとって私は、危害を与えられないための為の保険ということですね」



「ああ、だから君が私ももとから離れて、仮に王国の傀儡(かいらい)になんてなろうものなら、彼女は君を求めて王国なぞ破壊の限りを尽くすだろうしな」



「────」





・・・・・・





「私はただ、森の中で……。そうだ。一年前……そう言いましたよね」



「言ったな」



「私が目覚めたのは、彼女が現れる一年後。その一年間で彼女は、どうなったんです?」



「まあ、気にはなるよな。その後ネメシスは王国と同盟を結び────」


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