218.基礎/分解
境界への到達、対面的に存在する逆地点からの進行を終え、少しばかりの休息をとる。連続し、加速的に感じられる胸の鼓動を抑え、次なる動きに身を硬直させる。それは、疲労によるものではなく、次なる展開に向けた自己防衛であり、来る最悪の事態に備えるべく、固めたのだ。
先程の進行に際して、一歩一歩とより早く、尚且つ身体の軸……中心線を逸脱してしまわないよう尽力していた訳であるが。思考的な部分と実際に起こる不可解な現象を無理矢理にでも結びつけてしまった弊害か、その、本体についてを深く認識することが難しくなった。
これは浮遊の感覚における不安定さ、居心地の悪さからなるものであり、現在、本来ではあってはならぬ「静止」という全体を形作る方式には、つまるところ、引き伸ばしの意味を孕んでいる。
最も明確かつ、接近している目標は紛うことなく、この場からの移動である。それこそ向こう側へと赴くことを躊躇わず、この場において比較的計画的な思考を重ねる存在が存在を認識することが可能である以上、これより先の一切の静止は認められない。そう、そのはずなのだ。
自らの選択として半ば洗脳のように振り返る事が多々あるが、そのように捉え続けることによって不確定なる存在を確定し、行動の基盤、所謂これよりの指針と定めることが容易となるのだと、理解しているため……前後を知る自らとしては、確認出来るであろう矛盾を即座に見抜いてしまうのである。
内部に抱えた、あらゆる可能性を押し殺し、一切の事柄を極めて不透明なものへと変貌させる認識は、自らによって生み出されたものによって成されると知れば。今より先の道は自ずと明るく、そして深く示されるのではないか。そのように思うことこそが、基礎的な原動力を内包するのだ。
自身の行動に整理をつけ、背後を臨むことなどなく、多少の疑念と信念、薄らと浮かぶ彼女のことを思いながら。当て嵌めることの出来る様々な存在を良きものと定め、鎮座する。この乖離した一律の運動が、心の誘惑を掻き消す。そう、これは行きとは異なる。全く別の判断として、更に色濃く決心をし、橋の上から一歩を……踏み出した。




