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143.統合/施設


「ですね……そうなりますと、彼は……」



「回収するのは魔鉱だけで問題ないねー! まあそれに関してはー、抜かりないと思うけどー……」





ファブリカは(おもむ)ろに背を伸ばして、奇怪な物体の中心点を臨む。



それに釣られて背後を確認すれば……。

再度目にしたそれらに、改めて驚かされることとなった。





「……あの袋は」



「見た感じー、運べたみたいだねー」



「……みたい、ですか?」



「そうそうー、聞き忘れちゃったんだよねー……! また連絡しようと思ったら乱れててー」



「つまり、阻害が再び、ですか」



「そうなんだよねー! だから私としてもー、状況の把握に努めたいところなんだよねー!」



「ですね。彼がここから既に移動している可能性もあります。急ぎましょう」





馴染みのない会話を深く取り込み……。

彼女の内容を辿(たど)るので精一杯であった。



得られた環境から追放される前に、トーピード魔導騎士団という存在を有用なるものと理解し、カトブレパスとの再会を待つ。



それが、私と『彼女』にとっての最善なのであろう。





「よしー! 急ぐぞーって言いたいところなんだけどー……」



「……?」



「……忘れてないー? オネスティーくん。顔よー、顔ー!」



「顔……? って、あ」





私は依然として視界に共有していたファブリカの姿が変化しておらず。

何ら変わりのない様子にて事が進んでしまった影響により。



気付くべきことに────気付かなかった。



……この施設へと至るかなり前から。

メノミウスの肉を顔に当て、擬態を行っていたのだ。



そして、変化している装い。

それを思えば、今はそこに確認は出来ないトーピード魔導騎士団の面々は例の場所にて、衣服を取り戻したのではないかとの疑問が浮かび上がったのだ。





「……私、今どんな顔してますか?」



「それはー、あの時倒れてた男の人だーよー! そしてつまりつまりー!」



「服、取りに行かないとですね」



「そーゆーことー! 多分団長達もー、それを終えての急行なんだろうねー!」



「なるほど、では改めて行きましょう。出口は向こうで合ってますか?」



「乗り気だねー!」





二回程頷きながら、私が指し示した方向にて歩みを進めるファブリカ。



彼女が先立って出口と(おぼ)しき方面を目指したことにより、確認の「答え」を表したが、それがかえって小さく零れた言葉を正確に聞き取れる結果となったのは、改めて……言うまでもない。



何にせよ……見落としていた点と変わらぬ目的を再確認し、進行を「始めた」のであるからこそ────問題解決さておき、ひとまずは、良しとしよう。



……こうして私は、彼女の背を追う形にて。

この様々な出来事に出会えた、統合施設を後にしたのであった。


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