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137.儀礼/分離


攪拌。

まさか、その言葉を彼の口から聞くことになるとは。



一括(ひとくく)りにされた私と彼との共通点。



それは、この世界の者ではないことに加え……。

機関についてを、知り得ている事が、挙げられる。



知り得ているにしても、彼の話……自らを名乗った名称は存在し得ないものであり、外部の人間であることを疑っていたがその望みは潰えた。



彼が口にした攪拌。

それは機関における「第五次調査」の総称であったのだ。





「……皆さん。ここは私に任せて下さい。ア号姉妹が危険ですので────」



「それならー! 私も残るよー!」



「……え」





これ以上の外部的情報を垂れ流してしまう前に、彼と私との間での解決を(はか)ろうとの提案であったが、深々なる「誤算」が生じる。



トーピード魔導騎士団が欠けることなくこの場から離脱し、襲撃を受けている可能性がある「拠点」へと戻ることこそが私にとっての安全であった。



そうであるはずなのに、含みの無いようにも見えてしまうほどに向けられた、決意なる表情に全てを砕かれるような印象を受ける。



彼女の提案を退ける明確な理由は明かせず、最早(もはや)潰えた打開の道に、単騎ではなく()を含んで……臨まねばならない。





「当然だよー! 合流するのにオネスティーくんだけじゃあー難しいだろうしー、魔術には魔術だよねー! 団長ー?」



「……ああ。ここは任せよう。拠点に一足先に向かう」



「確かに心配だよね!」



「=うん。足止めが目的ならば……。うん」



「同意見なのですよ。ここに残ることは得策ではないかと思うのですよ」



「そうだな。あとは奴次第、だろうが」



「ええ……それで、お決まりのようですね?」





腰を折り、前へと突き出した顔にて笑みを浮かべ、尋ねるカトブレパス。



彼が行った一度(ひとたび)の動作。

それによって完成された現状。



そこから動き出した「第一の現象」とは、先程生み出したばかりの生物を勢いよく上へと投げ、落下し接触するなり足で踏みつぶしたことであろうか。



彼は奇妙な姿勢のままこちらを臨み、自身の両腕を大きく広げ、無を弄り引き込むと、正しく、眩い六角輝星(ろっかくきせい)顕現(けんげん)させる。



辺りを燃やすように照らし、影さえ呑み込まんばかりの「物質」は、今にも彼の手から(こぼ)れ落ちようとしていたのだ。





「まあ、だとしても私はそれを阻止しなければならないのですが……ッ!」



「ッ!? 団長ー……!」





巨星へと変貌した光源は彼の手から離れ、一直線にて加速する。



進行の目標とされた私達は、現在の地点より前部後部と別れ、迫り来る魔術を引き止める役割をファブリカが引き受けた。



放たれた閃光。

前部から応対する如く打ち出された魔術は手前で接触。

相殺的反応を大いに見せながら、燃焼をする。



衝撃は軽微、辺りを焦がし、噴煙を生み出す。



この出来事により、ファブリカ以外……。

トーピード魔導騎士団を認知することが出来なくなったのだ。


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